お役立ちコラム

建築現場で考える部下の叱り方のコツ

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間違った叱り方

現場で上司であるあなたが部下に、来週から始まる衛生配管工事の手配を協力会社に連絡するように指示したとします。しかし、部下は間違えて空調配管工事の協力会社へ手配してしまい、当日来た協力会社が違う会社だったとします。
間違って手配しまった以上、当日の空調配管はまだできない状況なので、帰ってもらうしかありません。また、今日衛生配管の協力会社を手配するにも、明日急に来てもらえるのは難しいでしょう。
この部下にどのようにフィードバックするか。上司の多くは、
「何やってるんだ。なぜそんなバカなことをした?」
「なんて、おまえはバカなんだ!」
といったように、頭ごなしに叱り飛ばすか、感情を露わにして怒鳴ってしまうのではないでしょうか。

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ニューロロジカルレベルで考える問題の見つけ方

ニューロロジカルレベルとは、NLP(神経言語プログラム)のトレーナーであるロバート・
ディルツが体系化した理論で、「意識のレベル」に関する研究です。
ニューロロジカルレベルでは、浅いレベルから
「環境」→「行動」→「能力」→「信念・価値観」→「アイデンティティー」
と意識が5段階の階層になっていると考えます。

さて、今回の事例でこの部下は、ニューロロジカルレベルで考えると、どのレベルが問題だったのでしょうか?そして、先ほどの例で「何やってるんだ。なぜそんなバカなことをした?」と「なんて、おまえはバカなんだ!」はどのレベルを叱ったことになるでしょうか?
部下が問題だったのは、「行動レベル」あるいは「能力レベル」と考えることができます。
従って、「What(行動)」を意識して、「何(What)がいけなったんだい?」と聴いたり、
「How(能力)」を使って、「どのようにすればよかったかな?」と聴いてあげるといいでしょう。
しかし、2つめの叱り方のように、「なんて、おまえはバカなんだ!」と言ってしまったら、どのレベルにどのような影響を与えることになるでしょうか。
「おまえ=バカ」というふうにアイデンティティーを決めつけてしまうと、人間の根本的な部分を傷つけてしまうことになります。そうすると、その人自身が否定されたと思い、
「自分はダメな人間だ」と自己否定してしまうことになります。

また、「なぜ、そんなバカなことをした!」もニューロロジカルレベルでいうところの上位の階層に当たるため、「Why(なぜ)」は、大切な部分を詰問されていると部下は感じ、言い訳しか出てこなくなるでしょう。

適切な叱り方とは?

この事例での、適切な叱り方を考えてみましょう。
衛生配管の協力会社へ手配をかけなくてはいけなかった状況で、なぜ空調配管の協力会社へ間違えて手配してしまったのか。
「What(行動)」を使って、「何が間違えた原因だったんだい?」と聴いたり、「How(能力)」を使って「どうすればよかったと思う?」と聴くことで、自分のアイデンティティーや信念、価値観といった大切な部分を責められているのではなく、行動や能力面での表面的な部分が問題だったと反省できるでしょう。
適切な叱り方(質問の仕方)をすることで、例えば
何が間違えた原因だったか?
→「上司からの指示を曖昧に聞いてしまった」
どうすればよかったか?
→「上司からの指示を間違えないようにメモを必ず取る」
というように、部下が自発的に問題に対して意識を向け、次は失敗しないように建設的に考えられるようになるのです。

まとめ

パワハラはもう昔の話として、「部下を叱ったり怒鳴ったりしたらすぐ辞めてしまうから、あまり叱るのもなあ」と考えるのも、部下の成長を止めてしまいます。
部下の失敗に対して上司は適切に叱るということは必要です。しかし、ただ闇雲に感情に任せて叱るのは軽率です。部下の失敗を好機ととらえ、さてどんなレベルで叱って(質問して)みるかと、客観的に自分の心を観察できればしめたもの。
部下のアイデンティティーを傷つけず、行動、能力の部分にフォーカスして愛情をもって
叱ってあげてみましょう。

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宮本 一英
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【資格】建築設備士/1級管工事施工管理技士/消防設備士(甲種1類)/空衛学会設備士(空調・衛生)/給水装置工事主任技術者/コーチング資格(GCS認定コーチ)

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