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建設業で熱中症が増加している現状

今回のテーマは「熱中症対策」です。建設業における熱中症被害の状況について、厚生労働省が公表した2025年の調査結果が明らかになりました。建設業の熱中症による死傷者数は292人となり、4年連続で増加しています。一方で、死亡者数は5人と全業種で最も多いものの、前年の半数まで減少しました。この背景には、熱中症への注意喚起や現場での初動対応が浸透し、重症化する前に適切な処置が行われるケースが増えたことがあると考えられます。

全業種で見ると、熱中症による死傷者数は前年比43.4%増の1,803人となり、統計を開始した2005年以降で過去最多を記録しました。一方、死亡者数は19人で、前年から38.8%減少しています。2025年に改正された労働安全衛生規則により、事業者には熱中症の恐れがある作業に対して報告体制の整備や対応手順の策定が義務付けられました。こうした制度改正が、死亡災害の抑制に一定の効果をもたらしたとみられています。

発生時期を見ると、7月の死傷者数が718人で最も多かったものの、増加率では6月が前年同月比370.2%増の268人と急増しました。このことから、熱中症の発生時期が従来より早まっている傾向がうかがえます。また、発生時間帯は午後3時台が233人で最多でしたが、午前0時から9時台に229人、午後6時から11時台にも145人が発生しており、熱中症対策は日中だけでなく一日を通して徹底する必要があることが示されています。

<引用>
「建設業の熱中症、4年連続増加も死亡者半減 厚労省25年データ公表」:日本経済新聞 (2026/6/22)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC041WH0U6A600C2000000/

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建設現場の猛暑対策の具体例

それでは、最近の具体的な現場での熱中症対策とはどのようなものかを調べてみました。
日本建設業連合会(日建連)は、変形労働時間制を活用した働き方を提案しています。具体的には、猛暑期間である7月から9月は1日6時間勤務、週休2日、さらに10日間程度の夏季休暇を設定し、身体への負担を軽減します。一方、猛暑期間以外は1日8時間勤務を基本とし、休日を調整することで年間総労働時間を維持する仕組みです。また、午前6時から正午までを基本とする早朝作業も例示しており、気温が上昇する前に作業を終了することで熱中症リスクを低減できるとしています。

大林組では、実際に7月から8月の作業時間を「午前7時から午後1時」へ前倒しする取り組みを進めています。WBGT(暑さ指数)や気温が高くなる時間帯を避けて施工することで、作業員の安全確保と施工効率の向上を図っています。工程への影響は、気温の低い時期に作業時間を調整することで対応し、全国約180現場への展開を予定しています。

大東建託は、2026年度の熱中症対策費を約1.5億円に増額し、身体を直接冷却する「ペルチェ式ベスト」を導入しています。このベストは、電気の力でプレートを急速に冷やす装置を内蔵しており、皮膚温度の上昇を抑える効果が期待されています。また、強制換気機能とミストファンを備えた仮設トイレを試験導入し、熱や臭いがこもりにくい快適な作業環境の整備を進めています。さらに、高齢作業員の増加を踏まえ、加齢による身体機能の変化を理解する安全教育にも力を入れ、「工期より安全を優先する」という方針を徹底しています。

積水ハウスでは、「現場クールプロジェクト」を展開し、エアコンを完備した移動式休憩施設「ひんやりBOX」を建設現場へ設置しています。作業員が十分に身体を冷却できる休憩環境を整備することで、熱中症予防と作業効率の維持を図っています。

また、2025年の労働安全衛生規則改正により、元請企業は協力会社や一人親方を含めた現場全体の安全管理が求められるようになりました。そのため、WBGT(暑さ指数)の活用、水分・塩分補給、計画的な休憩、作業員同士の声掛け、熱中症の初期症状を把握した迅速な対応などを現場全体で徹底することが重要です。

これらの事例から、猛暑対策では「作業時間の見直し」「冷却機器・休憩施設の充実」「教育・健康管理の強化」「現場全体での安全管理体制の構築」を組み合わせて実施することが、熱中症の防止と生産性の確保に最も有効であると考えられます。

<引用>
「変形労働の活用例提示/猛暑作業回避に生かす/日建連」:日刊建設通信新聞社
(2026/6/23)

https://www.kensetsunews.com/archives/1249317

「建設現場の猛暑対策転換期 「全員守る」環境整備や朝型シフトで重症化防ぐ」
:産経新聞(2026/6/18)

https://www.sankei.com/article/20260618-W565PS76OFMT7CFMWAMHI3XGAQ/

まとめ

近年の猛暑は、建設会社にとって単なる季節的な問題ではなく、従来のやり方を抜本的に変える課題になっています。厚生労働省の調査では、建設業の熱中症による死傷者数は4年連続で増加しており、人命を守ることはもちろん、生産性や企業の信頼を維持するためにも、熱中症対策は最優先で取り組むべき課題です。

2025年の法改正により、元請企業は協力会社や一人親方を含めた現場全体の安全管理を担うことが求められるようになりました。今後は、自社だけが安全であればよいという時代ではありません。現場で働く全ての人を守ることが、企業の責任となっています。

今後の取り組みは、「工期よりも安全を優先する」という経営判断が必要となります。安全への投資はコストではなく、人材を守り、生産性を高め、企業価値を向上させるための重要な経営投資です。

これからの建設会社には、作業時間の見直し、冷却設備の充実、WBGT(暑さ指数)を活用した現場管理、安全教育の徹底を組み合わせ、熱中症を「防ぐ仕組み」を構築することが求められます。社員や協力会社の命と健康を守ることが、持続可能な事業の継続につながると私は考えています。

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ABOUT ME
宮本 一英
株式会社シエンワークス 代表取締役

首都圏・関東周辺を対象に『サブコン専門 人材育成支援サービス』(研修・現場教育支援・コーチング)を提供しております。大学卒業後、35年間中堅サブコンにおいて現場管理一筋で培った経験を活かし、サブコン様における「人材の育成・成長」「離職率の低減」「売上・利益の向上」を支援しています。

【資格】建築設備士/1級管工事施工管理技士/消防設備士(甲種1類)/空衛学会設備士(空調・衛生)/給水装置工事主任技術者/コーチング資格(GCS認定コーチ)