週休2日でも利益を出す会社は、何が違うのか

2026.08.04

週休2日定着とそれに伴う問題点

今回のテーマは「週休2日制定着と生産性向上」です。日本建設業連合会(日建連)の会員企業アンケートによると、国土交通省直轄工事では9割以上の現場が「4週8閉所以上」を達成し、前年度から約1割改善しました。

このように土日閉所が建設現場の標準的な働き方として定着しつつあり、高速道路会社や地方自治体の工事でも週休2日の取り組みは着実に広がっています。

一方で、機構・事業団や電力会社、民間鉄道などでは達成率が6割前後にとどまり、発注機関による取り組みの差が課題となっています。

しかし、休日確保の裏側では新たな問題も浮き彫りになりました。国交省直轄工事の約5割の現場が、「4週8閉所を実現するには工期が短い」と感じており、休日を増やす一方で平日の残業が増える懸念が指摘されています。また、完全週休2日の導入により、作業期間が長くなることで機械損料や労務費が増加し、工事費への影響も大きくなっています。

そのため、柔軟な工期延長や積算基準の見直し、設計労務単価や間接工事費率の引き上げを求める声が多く挙がっています。

工期が不足する理由としては、施工条件と現場条件の不一致、積算歩掛かりと実態の乖離、設計図書の不備、施工体制の想定が現実的でないことなどが挙げられました。また、約3割の現場では、入札時の条件や必要な情報の開示が不十分だったと回答しています。特にトンネル工事では、発注者が想定する工期と受注者が必要とする工期に大きな差があり、工程設定の見直しが必要とされています。

日建連は、時間外労働規制と完全週休2日を両立するためには、発注当初から十分な工期を設定し、工事前の準備期間や設計照査、用地取得の遅れなども考慮した工程計画が不可欠であると提言しています。

さらに、施工自動化や新技術・新工法の活用を進めるとともに、昼間作業を基本とした新たな働き方へ転換することで、生産性向上と働き方改革を同時に実現する必要があるとしています。

<引用>
「直轄9割超で8閉所達成/工期不足の懸念も/日建連調査」:建設通信新聞(2026/5/8)

 

工程を先読みして、待ち時間を減らしムダをなくす

このように建設現場では、週休2日制の定着で、さらなる生産性が求められています。そのためには担当者の経験や努力に依存する仕事の進め方から脱却し、「誰が担当しても同じ成果を出せる仕組み」を構築することが重要です。

今回の日建連の調査では、休日を確保するために平日の負担が増えている実態が明らかになりました。この課題を解決するには、着工前から完成までの仕事の流れを仕組み化することが欠かせません。

まず重要なのは、着工前の準備を徹底することです。施工条件や設計図書の不備、現場条件との相違を事前に確認し、問題点を洗い出して発注者と早期に協議する仕組みを整えることで、工事開始後の手戻りや工程の遅れを大幅に減らすことができます。工事が始まってから課題に対応するのではなく、着工前にリスクを見える化することが、生産性向上の第一歩となります。

また、工程管理の考え方も見直す必要があります。進捗状況を確認するだけの工程会議ではなく、数週間先に発生する課題を予測し、資材や機械、協力会社の手配を前倒しで調整することで、作業の中断や待ち時間を減らすことができます。建設現場では、作業そのものよりも「図面待ち」「資材待ち」「他業者待ち」といった待機時間が生産性を低下させる大きな要因となるため、こうしたムダを計画的になくしていくことが重要です。

さらに、作業手順や品質管理を標準化することも欠かせません。施工手順や品質チェック、安全確認の方法を統一し、ベテラン社員の経験やノウハウをマニュアルやチェックリストとして共有することで、担当者が変わっても一定の品質と作業効率を維持できます。これにより若手社員の早期育成にもつながり、組織全体の生産性が向上します。

加えて、施工図や工程表、品質記録などの情報をクラウドで一元管理し、現場・事務所・協力会社がリアルタイムで情報を共有できる環境を整えることも重要です。情報共有の迅速化は確認作業や手戻りを減らし、現場全体の意思決定を速めます。

このように、生産性向上の鍵は、残業や個人の頑張りで工期を守ることではなく、着工前の準備、先を見据えた工程管理、作業の標準化、情報共有を一体的に仕組み化することにあります。そのような仕組みが定着すれば、限られた時間の中でも品質と安全を維持しながら4週8閉所を実現でき、持続可能な働き方改革と生産性向上の両立につながります。

まとめ

今回の調査で注目すべき点は、「週休2日制」が進んだことではなく、「週休2日でも利益を確保できる会社へ変わること」が企業の課題として明確になったことです。

4週8閉所は多くの現場で実現しつつありますが、その一方で約半数の現場が工期不足を感じ、休日を確保するために平日の残業やコスト増加が発生しています。このままでは、働き方改革が利益を圧迫する結果になりかねません。

だからこそ、これからの建設業界に求められるのは、社員一人ひとりの経験や頑張りに頼る経営から脱却し、「仕組みで利益を生み出す経営」へ転換することです。

今後は、施工自動化やDXを活用しながら、生産性を高める仕組みを継続的に改善できる企業だけが、人手不足や働き方改革の時代でも利益を確保し、選ばれる建設会社として成長していくのです。

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著者プロフィール

宮本 一英

宮本 一英

株式会社シエンワークス 代表取締役

首都圏・関東周辺を対象に『サブコン専門 人材育成支援サービス』(現場サポート・現場巡視・集合研修)を提供しております。35年間現場管理一筋で培った経験を活かし、サブコン様における「人材の育成・成長」「離職率の低減」「安全・品質の向上」を支援しています。

【資格】建築設備士/1級管工事施工管理技士/消防設備士(甲種1類)/空衛学会設備士(空調・衛生)/給水装置工事主任技術者