お役立ちコラム

新入社員 建築設備現場教育サポートの実例報告

前回のコラムでは新入社員の現場報告会の内容をお伝えしました。この報告会と並行して実施しているのが、現場教育サポートです。これは、新入社員の座学の集合研修を実施した後、それぞれの現場に配属された彼ら一人ひとりに、個別の施工管理の指導を行うものです。
建築の施工現場に初めて足を踏み入れた彼らが、どのように技術的な知識や現場のルール、安全、職人さんとの関わり方を学び、与えられた仕事をどのように進めていくかを、新入社員一人ひとりに向き合って、指導していきます。

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現場教育サポートとは?

前年度から今回は2度目になります。クライアントのサブコンさんの新入社員は6名。彼らが配属された各現場に月2回のペースで赴きます。各人の「現場教育サポート記録表」というシートを使用し、毎回次週までに行う目標を決め(できるだけ本人に決めてもらいます)、その目標に向かって現場での作業や管理を進めていきます。
次回はその目標の進捗の確認と、できていなければその理由は何か、どうすればできるようになるか、解決できるかを考えます。新入社員自身で考え、なるべく自分の口から回答を導き出すように心がけています。そのシートには、今感じていること、悩みなども書いてもらうようにしているので、現場で上司には言えないようなことも吐露してくれ、そのことに対する相談にも応じています。

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現場教育サポートの目的

現場教育サポートの目的とは、どんなことなのか?目的は3つあります。
一つ目は、座学の集合研修だけでは身につかない、現場での実践におけるOJTを行うことで、学びの成果を得ることができるということです。
新入社員のA君がこんなことを言っていました。
「上司から仕事の指示を受けましたが、期限を切られなかったので少し放っていたら、明日提出なので、今日中に仕上げてほしいと急に言われ、困ってしまいました」と。
私は、「仕事を依頼されたときは必ず期限を確認すること、ということを研修のとき、お話しましたよ」と言うと、彼は、「そうでしたっけ?」という返事。
座学の研修では、そのとき聞いたことを理解しても、時間が経つとほとんど忘れてしまいます。それは自分が体験し、困った状況や痛い思いをしたとき、初めてそのことに気づいたり学んだりするもの。だから、実践における教育が必要なのです。
二つ目は新入社員の「分からないことが分からない状態」や上司に相談できない悩みなどを第三者に話すことで、少しでも心が軽くなるということ。
三つ目は、新入社員の主体性を育むということ。新人のうちは上司からの指示がないと動けないことが多いです、しかし、自分なりに目標を設定することで、次回までに何をやるかが明確になり、自ら動こうという気持ちになります。

ある新入社員の現場教育サポート事例

先ほど目的のところでお話した上司からの期限の提示がなかった件について、事例として取り上げたいと思います。
その新入社員は、上司から次々とたくさんの作業指示を出され、現在行っている作業が中断し一向に進まない状況に悩んでおり、自分の担当現場の作業が疎かになることが心配ということでした。その背景として、仕事の期限や優先順位を確認できていなかったことで
後になって急ぎの作業を慌ててやらなければならなくなったこと。
また、ある書類作成を上司から依頼されたが、指示内容が1から10まで事細かに説明されていないため、漠然とした印象で、どうやって手を付けたらいいか迷っているということでした。
この内容の新入社員の指導として、
一つ目の事象について。
上司も忙しい中で指示をするので、いつも期限をはっきりと言葉で言うかというと、そうでもない場合があります。自分の気持ちの中では急ぎのつもりで。「早めに頼む」と言っても、部下は「今の仕事が一段落したらにしよう」と後回しにするかも知れません。
上司の曖昧な指示については、「いつまでに終わらせたらよろしいですか?」あるいは、
「3日以内であればいいですか?」など、そのときの雰囲気で言葉を選び、でも必ず
どんな些細な作業でも期限を確認すること、と指導しました。
二つ目の事象について。
書類作成の進め方についてですが、新入社員に聞くと、上司からその書類作成の概要の説明はあったが、詳細の説明がなかったとのこと。このまま進めれば、漠然とした気持ちのまま時間だけが過ぎていきます。
では、どうしたらいいか。概要を聞いた段階で、まず自分で考えてできるところまでざっと作ってみる。そこまでできたら、「ここまでできたのですが、内容は合っていますか?」「それから、次の手順が分らないので教えてください」と上司に途中経過の報告がてら、質問する。そのことを何回か繰り返し、完成に近づけていく、というように指導しました。
上司も1から10まで時間をかけて丁寧には教えてくれないもの。上司もなるべく新入社員に自分で考える機会を与えている場合もあります。新入社員には、待っているのではなく、自分から進んで質問していく気持ちを持つようにと、重ねて話をしています。

まとめ

私が実際に現場に行き、新入社員の教育をやろうと思ったのは、やはり座学の研修だけでは研修の成果があまり実践の仕事に役に立っていないこと、人は耳から聞いたことは時間の経過とともに忘れていくということからです。
私自身も若い頃に集合研修を受けたことがありますが、ほとんど内容を早い段階で忘れていました。現場での実践に即した指導をしていて思うことは、新入社員が現場で実際に経験しながら、分からないことやつまずいていることに対して、自分なりにどうしたらいいのかを必死に考えているということ。そのことに私が耳を傾け、話を聞き、相談に乗る形で接することで、少しずつ彼らの心が開き、その人が思っている心の深い部分での気持ちや願望が言葉に出てきます。それに共感しながら指導することが彼らの成長に貢献できる最良の方法だということです。

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宮本 一英
株式会社シエンワークス 代表取締役

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【資格】建築設備士/1級管工事施工管理技士/消防設備士(甲種1類)/空衛学会設備士(空調・衛生)/給水装置工事主任技術者/コーチング資格(GCS認定コーチ)

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