国土交通省の資料によると、建設業界での若者の離職理由に関して、企業側と実際の離職者の間に大きな認識のズレがあることがあるようです。企業側は「作業がきつい」「若者の意識が低い」と見ているのに対し、実際に会社を辞めた若者は「雇用の不安定さ」「遠方作業所への移動負担」「休みが取りにくい」といった労働環境を離職理由として挙げており、給料の問題は4位になっています。このような認識のズレを解消し、会社が若手社員の真のニーズを理解する方法について、が今回のテーマです。
クラフトバンク 作成
「建設業の働き方として目指していくべき方向性(参考資料)」 国土交通省
https://www.mlit.go.jp/common/001171558.pdf
「実は若者世代が増えている建設業。誤解だらけ「人手不足」の本当の理由」
ビジネスインサイダー(2023/12/3)
https://www.businessinsider.jp/post-279268?fbclid=IwAR3l1HeFUijXNZSrpBtqClyRg14Pzk0VyGv2MtQUbDJlyi5RMnYH3EiqyrU
上記は職人を含めた調査であり、サブコンの施工管理の社員には該当しない「雇用が不安定」といった離職理由もありますが、この認識のズレはなぜ起こるのでしょうか?これではいくら会社が離職対策を立てても解決には至りません。医者が患者の病気を誤って判断して、治療をしているようなものです。
24年4月から「働き方改革関連法」の施行で、これから一層深刻になる人手不足となる「2024年問題」を乗り切るためには、まずは自分の会社の若手社員がどんな気持ちで仕事をしているのかを知る必要があると考えます。
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目次
「建設業界2024年問題」とは?
「建設業界2024年問題」とは、2024年4月までに「働き方改革関連法」を完全に導入しなければならない課題を指します。この法律は大企業や中小企業に段階的に導入され、特に建設業界には5年の猶予がありました。主要なポイントとして、時間外労働に上限が設定(月45時間、年360時間が基本、特例で年720時間まで)され、中小企業でも60時間超の時間外労働には割増賃金率が25%から50%に引き上げられます。違反時には罰則があり、建設業界にとって労働環境改善は切迫した課題となっています。これはサブコンにおいても重要なターニングポイントと位置づけられます。
若手社員の本当の気持ちを知るための方法とは?
若手社員の仕事に対する本当の気持ちを知るためには、信頼に基づくコミュニケーションの構築、匿名性を保障したフィードバックの導入、定期的なエンゲージメント調査(企業が従業員からどれだけ愛着を得られているかの調査)の実施など、複数のアプローチを組み合わせることが有効です。以下に、それぞれの方法について詳しく説明します。
1.オープンなコミュニケーションの促進
定期的な1on1の面談: 直属の上司、外部スタッフを活用して社員が定期的に面談を行い、キャリアの進展、職場での課題、個人の目標について話し合う。
フラットなコミュニケーション文化の醸成: 上下関係にとらわれず、自由に意見を交換できる文化を作ることが重要です。
2.匿名性を保障したフィードバック
匿名のアンケートや意見箱: 社員が名前を出さずに意見を提出できるシステムを設けることで、より正直なフィードバックが得られます。
第三者機関による調査: 中立的な立場からの調査を行うことで、社員がより安心して本音を話せる環境を作ることができます。
3.定期的なエンゲージメント調査
職場の満足度調査: 定期的に職場環境、チームワーク、仕事の満足度に関する調査を実施する。
4.メンタルヘルスのサポート
カウンセリングの提供: 職場内でのストレスや個人的な問題に対処するためのサポートシステムを整える。
ワークライフバランスの推進: 業務の過負荷が離職の原因となることが多いため、適切なワークライフバランスの保持をサポートする。
5.キャリア開発の支援
個別のキャリアプランの策定: 若手社員の将来の希望に合わせた個別のキャリアプランを作成し、それに基づいて支援を行う。
スキルアップの機会の提供: 研修やセミナー、メンターシッププログラムなど、スキルアップの機会を積極的に提供する。
これらの方法を組み合わせることで、若手社員の本音や不満をより深く理解し、会社として対応策を講じることが可能になります。
社員の気持ちを引き出した事例
弊社が実施した、サブコンの社員の方から仕事や会社に対する本音(あるいは本音に近い気持ち)を引き出した事例をご紹介します。
ギャラップ社のQ12(キュー・トゥエルブ)という社員のエンゲージメントを計る質問があります。エンゲージメントとは、社員の会社に対する愛着や貢献の意志の度合いのことで、
この値が高いと社員と会社との関係性が良好で高いパフォーマンスが発揮させているということになります。
Q12の中の質問を3つ挙げてみます
・私は仕事の上で、自分が何を期待されているのかが分かっている
・最近一週間で、良い仕事をしていることを褒められたり、認められたりした
・仕事上で、自分の意見が考慮されているように思える
これ以外に9つ質問があり、完全に当てはまるが5点、完全に当てはまらないが1点で、
合計点から平均点を割り出し、平均点が3.6でエンゲージメントを計ります。
このQ12を私がお手伝いさせていただいているサブコン様の現場の社員、数名に解答してもらいました。この結果を実名で会社に提示することの了解を得て、会社へ提出しました。結果は記載しませんが、会社にとって貴重な資料になったことは、役員の方のその後の行動が物語っています。
若手社員を離職させない環境が会社の未来を創る
これから一層深刻になる人手不足の環境で、入社した若手社員を安易に退職させないことが重要となります。仕事の適性、社風との相性など会社の取り組めることには限界もあります。しかし、入社した社員と真摯に向き合うことが離職を減らし、次世代の現場を支える人材を育成することになります。そして、それが会社を持続可能な発展することになります。
まとめ
「建設業2024年問題」は若手社員の離職対策に取り組む絶好の機会です。まずは若手社員の本当の気持ちを聞き出し、真摯に向き合いことが離職を減らすことになります。離職対策を社内や社外の知恵を集めて、再構築してみることが大切かと考えます。
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