お役立ちコラム

建築設備 2年目で納まり施工図が書けるようになる研修 建築図編 

入社して1年目の新人が現場でやることは、安全書類の作成、スリーブの墨出し、職人さんの手伝い、穴埋め、掃除、材料の移動、ゴミ出し、仮設材の運搬など、いわゆる雑作業がメインです。私も新人の頃、なぜか一日中、斫りガラを集めネコでコンクリートガラ集積場に運んでいた経験があります。
それが1年の経験を経て2年目になると少しステップアップし、いろいろな施工管理業務や施工図作成などの重要な仕事を任されるようになります。特に施工図作成については、1年の現場経験を経た早い段階で身に着けておくべきスキルと言えます。その意味では2年目でしっかりと施工図作図のための基礎を身に着けるための教育が必要です。
建築図の見方から始まり、設備設計図の読み解き、施工図の納まりの考え方の基本を学ぶことが図面を書くためのポイントになります。
今回のコラムでは、弊社で行っている「2年目で納まり施工図が書けるようになる研修」
の建築図編の一部をご紹介したいと思います。

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入社2年目で図面の基礎を学ぶ意味

入社後5年経過しても、客先へ提出できる施工図、職人に渡したあと職人がいちいち聞きに来ない施工図、いわゆる注意が行き届いていて、納まっている施工図が書けていない
人が少なからずいます。私が現役だった手書きの施工図の時代は、書く人の技能や品質がもろに図面に出ていたので、パッと見ればその図が納まっているのかどうかは一目でわかったものですが、CADで書いた図は見た目がきれいなため、書いた人の技量が分かりづらいです。入社後5年くらいの経験で一人前に施工図が書けると思ったら、「あれっ?」
ということもたまにあります。
そのようなことがないように、入社間もない時期の新人のうちから、一人ひとりフォローし、早めに施工図を書くための基礎教育を施す必要があります。そして、納まる施工図が書ける準備をしておくことで、実践での作図がスムーズに進むようになります。

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建築図の読み解きから学習する

1.躯体図

設備施工図を書くにあたって、まず建築図が読めないと始まりません。建築の空間の中に設備を納めていくので、その空間がきちんとイメージできることが第一歩となります。
施工図の第一段階として、スリーブ検討から始めるので、躯体図の読み解きから説明していきます。
・躯体のそれぞれの部位、梁、フーチン、耐圧盤、スラブ等の記号が躯体図に表記されている数字の意味を理解すること
・断面図の基準ライン、GL、SL、CLの意味を理解すること
・柱や梁のフカシ(増し打ち)部の表記方法とその意味を理解すること
・スラブに断熱材を貼る場合、その意味と図面上での見落としが無いようにすること
・平面図から断面図が頭でイメージできること

2.構造図

構造図はスリーブ図を書く上で構造上の制限を確認したり、鉄骨図にスリーブ位置を記入するなど
スリーブとの直接的な関連があるため、見忘れてはならない図面です。
構造図を読み解くポイントとして
・梁にスリーブを貫通させる場合の、構造位置制限の確認
施工図初心者が知らずに梁スリーブ位置を決めてしまうと構造的に問題が発生し、スリーブ位置の検討し直しになってし
まいます。
・スリーブのかぶり厚さの確認
スリーブが鉄筋に近すぎると、鉄筋が充分にコンクリートに保護されず、酸化し強度が低下する恐れがあります。
・鉄骨の耐火被覆厚の確認
鉄骨図にスリーブを配置し、スリーブ径を確定する場合、耐火被覆厚を考慮しないと、それに見合う開口を空けなければ
ならないので、注意が必要です。

3.仕上図

仕上図、あるいは平面詳細図は建築の仕上げに関わる図なので、躯体面から最終の仕上がり面の寸法やトイレのタイルや外壁の割付図など、設備機器、設備器具が取りつく位置を
決定するための図です。
・部屋記号や建具記号の確認
部屋記号は部屋名、天井高さ、スラブ天端高さ、床仕上げ高さが記載されているので、天井内空間に設備を作図する際、
特に高さについて確認できます。建具記号も同様で、扉の上部の高さ的な納まりを確認するときに注意が必要です。
・シャッターについて 
シャッターの断面図があると、垂れ壁にダクト等を通したいとき、そこにシャッターBOXがあると干渉する場合があるの
で、確認できます。

建築図を総合的に見る訓練が必要

設備施工図を書くとき必要な建築図は構造図、躯体図、意匠図、平面詳細図、建具製品図、
天井伏図、割付図、その他建築詳細図など、多岐に渡ります。どれも必要な建築図で、
どれが欠けても完全に近い設備施工図が書けません。
平面図だけで安易に納まりを検討していて、現場で施工してみたら思わぬところで建築とバッティングしていた、ということもよくある話です。だから、納まりが気になるところは何度も建築図を見直し、その部分のディテールを探しながら注意して見ることが大事です。いろいろな建築図、いろいろな角度から納まりを総合的に確認していくようにしましょう。

まとめ

設備施工図を書くにあたって、いかに建築図の読み解きが重要かを改めてお話しました。
躯体図だけとか、平面詳細図だけで設備施工図を書こうとすると納まっていないばかりか、
あとからコア明けしなくてはならないような大きな問題になってしまいます。それだけ、建築図を正確に適正に読み解き、その知識を学んでおくことは入社2年目で早すぎること
はありません。正しい施工図の知識を学び、作図する機会を早く多く与えることで、少しでも早く現場代理人になる人が増えてくると思います。

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宮本 一英
株式会社シエンワークス 代表取締役

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【資格】建築設備士/1級管工事施工管理技士/消防設備士(甲種1類)/空衛学会設備士(空調・衛生)/給水装置工事主任技術者/コーチング資格(GCS認定コーチ)

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