「特にありません」で終わらせない、若手社員との1on1

2026.08.08

1on1が形だけで終わる原因を知り、対話を成果につなげる

今回のテーマは「1on1ミーティングのコツ」です。顧客企業の所長が困っていることの一つとして「1on1のやり方」がありました。月に1回、現場巡回しながら若手の部下と実施しているが、うまく話を聞きだせないとのことです。会社が推奨するので取り入れたものの1on1の効果を感じないという課題は、よく聞く話です。そこで今回はそのコツをお話します。

若手社員との1on1ミーティングで「特にありません」という返答ばかりが返ってくると、「やる気がない」「問題意識が低い」と考えがちです。しかし、その原因は若手ではなく、上司の関わり方にある場合があります。経験や知識が十分でない若手は、「何がわからないのかがわからない」状態にあるため、「困っていることは?」と聞かれても答えられないのです。そのため、経験豊富な上司と同じ問題意識を求めることは適切ではありません。

1on1がうまくいかない上司には、「傾聴すれば相手が気づく」「1on1を実施すれば本音を話す」といった思い込みがあります。しかし、若手が話すようになるためには、「話すことで自分の意見が活かされる」という実感が必要です。その方法として有効なのが、上司から部下へ進捗を伝える「逆・報連相」です。部下の提案がどのように活用されたのかを伝えることで、「話す価値がある」と感じ、自発的な発言につながります。

また、経験の浅い部下には、傾聴だけでなく積極的な働きかけが重要です。具体的には、ヒントを与えて気づきを促す「示唆」、別の視点や選択肢を示す「助言」、行動内容や期限まで明確に示す「提案」の3つを、相手の成長段階に応じて使い分けることが効果的です。

さらに、やる気は高いものの能力が十分でない若手には、傾聴よりもティーチングを重視し、具体的な知識や経験を積ませることが必要です。小さな成功や失敗を重ねることで初めて疑問や相談が生まれ、1on1も実りある対話へと変わっていきます。

「特にありません」という言葉は、決して意欲の欠如を意味するものではありません。適切な経験や指導を求めているサインと捉え、相手の経験や状況に応じた関わり方を実践することが、若手の成長と信頼関係の構築につながるのです。

<引用>
「「また『特にありません』か…」Z世代との1on1が”虚無な15分”で終わる上司が根本的な
間違っている理由」:東洋経済オンライン(2025/9/9)

https://toyokeizai.net/articles/-/902841?display=b

経験不足の若手を育てるために、1on1の進め方を見直す

建設現場でも、若手社員との1on1で「困っていることはある?」と聞いても、「特にありません」という返事で終わることが少なくありません。しかし、それを「やる気がない」と判断するのは誤りです。入社間もない若手社員は経験不足のため、「何がわからないのかがわからない」状態にあり、自分でも課題を認識できていないことが多いからです。

例えば、職人への指示の出し方や工程管理に不安があっても、それを相談すべきことだと気づいていません。そのため、上司は「困っていることは?」と漠然と聞くのではなく、「今日の職人との打ち合わせで迷ったことは?」「工程表と実際の作業を比べて気づいたことは?」など、現場の出来事に沿って具体的に質問することが大切です。

また、若手には傾聴だけでなく、ヒントを与える「示唆」、改善方法を伝える「助言」、具体的な行動を示す「提案」を成長段階に応じて使い分けることが重要です。例えば、「明日は一緒に出来形確認をしよう」「来週までに施工図と現場の違いを3つ見つけてみよう」と具体的な行動を示すことで、経験を積み、自ら考える力が育ちます。

さらに、若手の提案が採用された際には、「君の改善案を採用したよ」と結果を伝える「逆・報連相」を行うことで、若手も「相談すると現場が良くなる」と実感できます。

建設現場の1on1で最も重要なのは、経験不足の若手に傾聴だけを求めるのではなく、具体的な指導と経験を積ませることです。その積み重ねによって、若手は現場を見る力や考える力を身につけ、自ら課題を発見し、成長していくのです。

まとめ

1on1ミーティングは、単に部下の話を聞く場ではなく、人材を育成し、社員との関係を深める方法です。建設業では、若手社員は経験不足のため「何がわからないのかがわからない」状態にあることが少なくありません。そのため、「困っていることはある?」と尋ねるだけでは十分な対話は生まれません。

経営者や管理職に求められるのは、傾聴だけで終わらせるのではなく、具体的な質問や「示唆・助言・提案」を通じて、若手が考え、行動し、経験を積めるよう支援することです。また、若手の提案を採用した際には、その結果を伝える「逆・報連相」を行うことで、「自分の意見が現場を良くした」という成功体験が生まれ、主体性や挑戦意欲が高まります。

1on1が機能すると、若手の成長スピードが上がるだけでなく、現場の安全性や品質、生産性の向上にもつながります。さらに、上司と部下の信頼関係が深まり、離職防止や次世代の現場監督の育成にも大きく貢献します。つまり、1on1は単なる「面談」ではなく、重要な人材育成の時間なのです。

弊社、シエンワークスでは、建設業に合った「人材育成プログラム」を提供しています。詳しい内容をお知りになりたいという方は、下部の「お問い合わせはこちら」からご連絡ください。無料相談を実施しております。

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著者プロフィール

宮本 一英

宮本 一英

株式会社シエンワークス 代表取締役

首都圏・関東周辺を対象に『サブコン専門 人材育成支援サービス』(現場サポート・現場巡視・集合研修)を提供しております。35年間現場管理一筋で培った経験を活かし、サブコン様における「人材の育成・成長」「離職率の低減」「安全・品質の向上」を支援しています。

【資格】建築設備士/1級管工事施工管理技士/消防設備士(甲種1類)/空衛学会設備士(空調・衛生)/給水装置工事主任技術者