お役立ちコラム

建築設備 新入社員研修での成果(工程表を自分で書く)

あるクライアントのサブコンさんの新入社員研修が昨年の6月から始まり、今月2月に終了予定です。 新入社員が6名。この会社では、座学の集合研修が6月と7月、 現場報告会を毎月末に月1回、 現場教育サポートを月2回実施しています。
この研修内容については別のコラムでご紹介していますので、ご興味がある方はこちらから

新入社員 建築設備現場報告会の報告

新入社員 建築設備現場教育サポートの実例報告

これら一連の研修が終了するにあたり、6名の新入社員に一人ひとり、研修の振り返りをインタビューしています。研修を受けた感想、学んだこと、現場で役立ったこと、あるいはもっとこういう研修だったらよかった、他にこういうことを学びたかったといったことを聞き、忌憚のない意見を言ってもらいました。

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新入社員研修での振り返り

そのうちの一人、A君の場合の振り返りをご紹介します。
彼が今回の研修でよかった点として上げてくれたのが、いくつかありました。その中でも実際の現場での工程の考え方として役に立ったのが、自分で工程表を作るという課題を与えられたこと。座学研修で「工程管理」についての講義の中で、「実際に工程表を作成してみよう」という課題を出しましたが、工程表を作成する意味と考え方を学ぶというものでした。
この研修の時点では、新入社員の彼らが各現場に配属されてから3ヶ月が経過しており、
まったく現場というものを見ていないという状況ではなかったため、何となくでも工事現場というものが時間軸でとらえるとどのように進んでいくのかというイメージは、少しは持てたのではないかと思います。

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現場で役に立った工程表の書き方演習

まず、講義では工程表にはどのような種類があり、マスター工程表では、準備→着工→躯体工事→仕上げ工事(設備工事)→器具付け(外構工事)→試運転調整→検査→引き渡しの全体の流れを表現すること、月間工程表、週間工程表と期間を短くすることで詳細工程になることなどの概要を説明。
その後に、2週間のスパンで建築工事と設備工事の関連と前後関係を考えて工程を組み立てるという演習を行いました。

建築工事は躯体工事、耐火被覆工事、天井工事。設備工事は配管工事、ダクト工事、保温工事の全6工種ごとにバーチャート工程表が提示されています。工程表を作成するための
条件を示し、建築工事の中で設備工事がどのタイミングで入り、いつまでに終了させなければならないかを考え、日数をバーチャートで記入するという課題です。
これには一つ問題点を仕組んであり、工程表を書きながら工程上の問題点を見つけ、その対策も考えてみるという工夫をしました。これは示された設備工事の日数をそのまま入れていくと、天井工事の開始日に間に合わないという問題です。その対策として、設備工事のそれぞれの予定人工数を増やす、あるいは土曜、祝日を作業日に当てるなどの対策を考えてもらいました。

実際に自分で工程表を作ることの意義(マイ工程表)

前記の工程表作成課題に加えて、もう一つ新入社員にやってもらったことがあります。それが、マイ工程表の作成です。これは自分の現場の設備工程表を簡易的に作成し、自分がやるべき内容を項目欄に書き、スリーブを取り付ける日やコンクリート打設日、材料搬入日、床工事や天井工事の開始日などポイントとなる日程を入れ、いつまでに何をやるかを
記入するというものです。
これを毎週更新することで、少なくとも1週間先を見て工事の予定を把握し、自分が与えられた仕事の準備はいつまでにすればいいかが理解できるようになります。
この表に自分の資格取得のための勉強の日程やプライベートの予定も入れ、生活全体のスケジュール表として活用することをアドバイスしました。
A君が工程表の作成方法を学び、マイ工程表を毎週更新することで、現場での工事の流れと工程管理の基本的なことが理解できた、と研修の中で役立った点を上げてくれたのは、
大きな収穫だったと思います。

新入社員A君が現場で工程管理を任された理由

A君自身が工程表を自分で作成し、建築工程のポイントを押さえ、設備工事において何をいつまでにということが理解できたという話をしましたが、誰しも新入社員のときから
ここまで自分の中に吸収できるものではありません。やはり研修においても、理解力、吸収力については個人差があり、いち早く吸収できる人もいれば、時間をおいてからだんだんと理解が進む人もいるでしょう。A君の場合は理解が早かったため、上司の方も新入社員とはいえ、簡単なところから仕事を任せてみようと考えたのではないかと思います。
工事途中で、ある一部の配管とダクトの材料の手配と施工時期の段取りを任されていました。A君自身も職人とのコミュニケーションには自信があると言っていたこともあり、
そのことも含め、現場での段取りが彼の適正に合っていたのでしょう。

まとめ

新入社員研修を昨年6月から9カ月間継続で、現場サポートも含め実施してきました。
その振り返りということで、このコラムを書いていますが、今回はその中でも「工程表を自分で書いてみる」という課題から、実際に現場で成果があったというお話をしました。
研修を提供する立場の人間からすると、実際提供した研修が受講者のためになっているだろうか?ムダなところはなかったか?など、常に考えながら改善すべきところは改善するように心がけています。今回も6人全員にヒアリングし、よかった点、改善の余地がある点、感想などまとめて、次年度の新入社員研修に活かすことができればと思います。

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宮本 一英
株式会社シエンワークス 代表取締役

首都圏・関東周辺を対象に『サブコン専門 人材育成支援サービス』(研修・現場教育支援・コーチング)を提供しております。大学卒業後、35年間中堅サブコンにおいて現場管理一筋で培った経験を活かし、サブコン様における「人材の育成・成長」「離職率の低減」「売上・利益の向上」を支援しています。

【資格】建築設備士/1級管工事施工管理技士/消防設備士(甲種1類)/空衛学会設備士(空調・衛生)/給水装置工事主任技術者/コーチング資格(GCS認定コーチ)

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