お役立ちコラム

サブコンの中小規模の現場事務所は不要か?

都内のマンションの現場や、敷地いっぱいに建物が立つ現場など、敷地内に現場事務所が設置できないという場合が多く見られます。ゼネコンさんは近くのマンションの一室に事務所を借りますが、サブコンさんは中小規模の現場の場合、一人で数現場管理するノルマと経費節減から、事務所を設けない場合が多いです。
このような状況では現場事務所を設置しないことが一般的ですが、設置しないことのメリットと、会社が見過ごしているデメリットについて再確認してみたいと思います。このデメリットについて再考することで、現場の管理体制を見直すきっかけになれば幸いです。

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現場事務所を設置しないメリット

現場単位での実行予算書を組む時に工事を担当するスタッフの人数つまり人件費をかけないようにすることを考えます。会社としては少ない人数で複数の現場をやりくりしてくれる優秀な社員がいればそれだけ経費を削減できます。もう一つ削減対象として上げられるのが固定費としての現場事務所でしょう。一人のスタッフで複数現場受け持つ場合、一つの現場に長くいる必要がないため、腰を据えている暇があったら現場で動き回るべきという考えもあるでしょう。また、工事費の削減は協力会社との兼ね合いがあるため、あまり大きな成果は見込めないのが実情ではないでしょうか。
そのように考えると、経費節減という視点で見ると一番手っ取り早い施策は固定費である現場事務所を設置しないということになります。

現場事務所を設置しないデメリット

会社は経費節減の視点から現場事務所を設置しないことを前提条件で実行予算を組みますが、現場で起こるデメリットについては確実に把握できていない場合もあるのではないでしょうか。つまり、社員から不満の声が上がっていないため見過ごされていないかということです。やはり、現場事務所が現場付近にないことの不具合を社員が口に出しにくい環境があるとすれば、それは社内に「心理的安全性」が確保されていないと言えるので、このことについては別のコラムで解説しているので譲るとして、 今回はそのデメリットについてお話します。
会社や拠点事務所が近くにある場合は問題ありませんが、それでもその事務所が往復で1時間以上かかるとなると、時間的なロス以上に心理的なストレスがかかり、やるべきことを先送りしてしまいがちです。
デメリットとしては、やはり事務作業がタイムリーに処理できないことです。現場管理の作業の中で一番時間がかかる安全書類作成や写真整理、あるいは職人さんに渡すA1での図面の打ち出しや、その図面の保管など事務所が近くにないと苦労することが結構あります。
事務所が近くに無い状況で若手社員、場合によっては新入社員が入社間もない時期に、これらの作業を現場を見ながらやろうとすると、どうしても夕方から、近くない事務所に戻ってからの残業になってしまいます。現場での品質や安全のチェックが一段落したら、事務所で写真整理や安全書類の段取りをしたいところなのに、ちょっと建築の監督に呼ばれ事務所に戻れないまま何となく時間が過ぎ、トータルしたら残業時間が嵩んでしまっているということもあります。つまり、経験が浅い若手社員ほど、時間が効率的に使えていない状況が生まれています。
ベテランの社員であれば、経験から要領よく複数現場を行き来し、部下に指示をし、書類を任せ効率よく動くこともできるでしょう、しかし、若手社員はそこまでできない人が多いので、書類作業の分担が多い若手社員のためにこそ事務所が必要であると思います。

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若手社員の心理的安全性を確保するためにも事務所は必要

先ほど、社内における言いたいことが言える環境として「心理的安全性」のことをお話しました。実は、このような精神面での安全性とともに物理的な「安全基地」のような、安全性の確保がこれからの人材確保を考えるうえで重要な要素になると思います。その代表的なものが現場の近くに設置する仮設事務所なのです。
現場で建築の監督から文句を言われた。職人さんに怒られた。自分の荷物の置場もない。
というような状況から一人になって落ち着いて考えたり、一休みしたいという気持ちになるのは誰しも同じなのではないでしょうか。

まとめ

会社としては、いかに経費を削減して一現場当たりの粗利を確保することが命題だと思います、しかし一歩引いて考えたとき、これからの人材である若手社員の心理的安全性を確保し、それを基本にして教育を充実させて、その結果として組織全体として効率よく現場管理が実施されるとしたら、事務所の固定費はそれほど高くない投資ではないかと思います。

 

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ABOUT ME
宮本 一英
シエンワークス代表 ★サブコン社員が楽しく活き活きと働ける環境を作りたい!★★ 【資格】 ・建築設備士 ・1級管工事施工管理技士 ・消防設備士(甲種1類) ・空衛学会設備士(空調・衛生) 東京都出身/55歳にして自我に目覚める/筋トレ/ピアノ/人間観察/瞑想/お笑い
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