天井内の設備工事が完了し、天井下地を軽天屋さんが組み、下地ボードをボード屋さんが貼った後に行うのが、天井ボードに吹出口やエアコンのフェイス、照明器具やスピーカーなどの開口の墨出しです。
この作業は主に多能工さんが行いますが、場合によってはサブコン社員が行うこともあります。規模が大きい現場では天井の墨出しだけでも結構な作業量になり、未だに人海戦術で多能工さんの人工に頼っている状況です。私も現役の現場職員時代から、何とかこの墨出し作業を機械化できないかと感じていました。その理由は、多能工の人工数を減らし工事費を削減すること、それに伴う社員の段取りの手間を省き効率化することの2点です。
そんな手間のかかる天井ボードの墨出しを機械化する手がかりになりそうな記事を見つけたので、ご紹介します。
「プロジェクションマッピングを利用した墨出し技術を開発 大成建設」
大成建設はプロジェクションマッピングにより原寸大図面で墨出しを行う技術「T-iDigital MARKING」を開発し、実証実験でその有効性を確認した。今後は、土木と建築分野の全建設工事で必要となる墨出しで、積極的に適用していく。
2022年1月18日 BUILT
記事で紹介されていたプロジェクションマッピングは、建物の外壁などに映像を投影し、さまざまな視覚効果を与える技術やパフォーマンスのことを言います。この技術を墨出しという建築分野に応用するというのは画期的ですし、建設DXの足音が聞こえてきているという感じがします。
記事の写真では、トイレの平面詳細図が便器などの器具も含めて原寸大で投影されており、器具芯の寄り寸法も分かり、そのままその場で施工ができるようになっています。
これを使えば、現場での配管の墨出しや器具の位置出しなどの人為的な間違いが無くなり、
作業効率が上がることは間違いありません。
ここでは床面への投影についての内容に限っていますが、壁面や天井面への投影も可能になると、設備における墨出しの効率化も考えられるでしょう。
特に、天井ボードの墨出しについては、足場上での不安定な姿勢での長時間の作業になるため、プロジェクションマッピングで正確に天井面に開口の墨が投影されれば、大幅な作業人工の削減になるでしょう。
また、トイレの壁面のタイル割付についても、ミリ単位の正確さが要求されるため、墨出し違いによる手直しを考えると、手戻り工事の削減が期待できます。
今回はプロジェクションマッピングを利用した、建築現場での墨出しの効率化のお話をしました。これが広く各現場に行き渡り、実用化されるのはまだ先のことかも知れません。
しかし、建設業界でも少しずつDX化の動きが出てきているのは間違いありません。
このような設備が、いち早くコスト面での折り合いがついて一般化されることを期待したいです。
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