建築設備の若手社員研修のなかで、重要なポイントしてクライアントの担当の方からご要望があるのが、消防法規と建築基準法に関する内容です。
私自身の学び直しも含めて、何かいい書籍がないかと探して見つけたのが、この
「消防・建築法規のドッキング講座」です。
建物が完成するとまず消防検査があり、その後に建築主事の検査を受検し、合格であれば
検査済証が下り、建物を使用してよいということになります。
建築設備に関わる法律として、大きくこの消防法と建築基準法の2つがありますが、私の印象として、ある問題が発生したとき、この内容はどちらの法律だったかと迷い、両方の資料を探す、ということも多くあります。独立しているこの2つの法律をドッキングさせ、
分かりやすく解説しているこの書籍について、ご紹介したいと思います。
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延焼のおそれのある部分
延焼の恐れのある部分というのは、建築基準法に定義があり、消防法でもそれを引用している。しかし、なにも法律で定めたところだけが延焼のおそれがあって、それ以外の部分は全く延焼のおそれがないかといえば、決してそんなわけではない。
と著者が言っているように、法律というものはあいまいな表現やまわりくどい言い回しが
多く見られます。
この延焼のおそれのある部分というのが、建築基準法第2条第六号に記載があります。
引用「隣地境界線、道路中心線、建築物相互の外壁間の中心線から、1階にあっては3m以下、2階以上にあっては5m以下の距離にある建築物の部分をいう。」
ここで、3mと5mの根拠についてこの本では解説があります。
この本では、実験によって「延焼限界曲線」というものが考えられ、その内側にある部分は、延焼のおそれがあると判断された、とあります。また、参考図として延焼のおそれのある考え方を分かりやすい断面図で表記してあるため、その根拠が理解しやすいです。
それに加えて、読者が法律についてツッコミを入れたくなるようなことに、読者を代弁して語ってくれているので、読み物としても面白い内容になっています。
この延焼のおそれのある部分に給排気ダクトのベントキャップが設置される場合は、FD付になっているかの確認が必要です。
防火区画
設備のダクト、給水管、排水管等が防火区画を貫通する場合の建築基準法の考え方が詳しく記載されています。
防火区画を貫通する場合、鋼管等の不燃材料製のパイプであれば安全であるが、問題はビニールパイプなどで十分な肉厚のないものや径の大きなものは防火的に危険である。そのため、建設省告示(建設省告示第1422号「準耐火構造の防火区画等を貫通する給水管、配線管その他の管の外径を定める件」)では、一定の太さ以下の準不燃材料、難燃材料、又は硬質塩化ビニル製のものに限り、その使用を認めている。
塩ビ配管でいくつ径以下の配管だったら、法的な決まりの防火区画貫通処理をしなくてよいかといったことが、現場で判断が迷うところですが、その情報も丁寧に記載されています。
参考:建設省告示「準耐火構造の防火区画を貫通する給水管、配電管その他の外径を定める件」
https://www.mlit.go.jp/notice/noticedata/pdf/201703/00006477.pdf
排煙設備
排煙設備についての規定は、消防法にも建築基準法にもあるので、果たして「消防用設備等」であるのか、「建築設備」であるのか、とこの本でも疑問視しています。私は建築基準法上で定められているのでは、と認識していましたが、消防法上ではどのような位置づけなのでしょうか。
引用 消防法第17条では、「消火活動上必要な施設」とされており、その種類として、消防法施行例第7条第6項に「消火活動上必要な施設は、排煙設備、連結散水設備、連結送水管、非常コンセント設備及び無線通信補助設備とする」
とあり、消火活動上必要な施設との位置付けということは、排煙を事前に行うことで消火活動がしやすくなるということなのでしょうか。
まとめ
この本では、消防法と建築基準法の違いや、法令の読み方、また消防の観点から建築基準法をメインに解説してあり、一般の技術書にはあまり見ない、分かりやすい文章(私見も含め、ユーモアを交えた)で構成されています。
とても読みやすく、改めて知識の深堀りができ、建築設備の研修教本として役立っています。
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