お役立ちコラム

施工図作成マニュアル 空調設備工事編

空調設備、衛生設備工事の施工管理を業務としている現場の若い技術者の方、あるいは設計事務所で建築設備の設計業務を担当している方で納まりのスペースを検討したい方、また設備施工図作図を本業としているCADオペレーターの初心者の方などを対象とした施工図作図の手引書です。
今回は、「施工図マニュアル 空調設備工事編 NPO設備システム研究会 著」をご紹介しましょう。

ダクト設計図の見方

ダクトの施工図を作図するには、まず設計図が読めなければ始まりません。SA、RA、OA、EA、SMなどの用途によるダクトの種類の説明があり、工法によるダクトの種類の説明が続きます。この工法の説明が文章だけでなく、共板ダクト、フランジダクト、スパイラルダクトが図入りで、かつ部品まで詳細に記載されているので、実際にダクトを見たことが無いという方にもイメージが沸きやすいのではないでしょうか。
主要機器類については各機器の機能や特徴が説明され、またダンパーについては名称、記号、機能、主な取付け場所が記載されているので、空調設備初心者にも分かりやすい内容になっています。
また、設計図で表記されているシンボルも、ダクト用途、吹出し、吸込み、ダンパー、ダクト継手に応じて表記があり、設計図の読み解きの手助けになるように工夫されています。
ダクトフロー図の一例があり、ダクト系統図上にそれぞれダクトに関わる機器、ダンパー、制気口、ガラリ、フードなどの略図が系統的に網羅され、フローが一目で理解できるようになっています。
また、ダクト設計図を確認する上での着眼点が、図面の種類によってポイントを箇条書きで上げてあり、作図するための指標になると思います。

配管設計図の見方

配管についてもダクトと同様、配管用途別の記号、配管材料の種類、JIS規格番号、継手名称などが表記されています。また、配管用途別に適正な管材料が選定できるように表で確認できるので、例えば設計図に管材の明記がないときなど、作図の目安になります。バルブ類の設計図上でのシンボルも説明があり、初心者にはバルブ類の種類が分からないときなど便利です。配管のシンボルでは、設計図での表記のエルボの上向き、下向きや45°立上り、立下りなどの基本的なことも網羅されています。
また、配管の代表的な回路である、密閉回路、開放回路、リバースレタン、二管、四管のそれぞれの方式について、略図で系統が理解できるように解説されています。
配管設計の着眼点では、図面の種類別に着眼すべきポイントがまとめられており、配管
施工図作図の際の手引きになります。

ダクト施工図の書き方

ダクト施工図を作成するための手順、器具(制気口)の配置、ダクトルートやダクトサイズの決定方法が説明されており、作図するまでの準備がいかに大事かということがこの説明で再認識できます。
ダクトの作図については、天井仕上げと梁下間のダクト、間仕切りとダクトの間隔、配管や照明などの他設備とダクトの上下関係や間隔、ダクト同士の間隔、分岐方法、ダクトの内アールについて説明されています。
また、主ダクトから枝ダクトの取り出し方法、枝ダクトから制気口への接続方法、寸法・注記の記入方法、制気口リストの記入方法もあります。
排煙ダクトについては、排煙口の算定例から配置、ダクトルート・ダクトサイズの決定方法、排煙風量算定方法なども解説があり、設計関連図書をわざわざ開かなくても、この1冊で施工図作図が一連の流れでできてしまうという便利なマニュアルです。
一般的な事務所の平面図と簡単な空調機械室のダクト作図の見本が添付されており、この資料を見ながら作図練習ができるようになっています。

配管施工図の書き方

継手については、配管工法(ねじ込み、溶接、接着)と継手の種類(エルボ、チーズ、ソケット、フランジ、ユニオンなど)が表に写真付きで分類されており、初心者でも作図する上でイメージしやすいのではないでしょうか。
バルブ類や防振継手、伸縮継手などについても同様に写真付きで機能が解説されており、
設計図から施工図に作図する過程で、スムーズに納まり検討が進みそうです。
配管の接続方法が工法ごとに解説されているので、実際の施工をイメージしながら書くことで、ただCAD上で線をなぞるということではなく、深く考えることで作図が楽しくなると思います。
配管の作図については、天井配管と床下配管、曲がり・分岐の表現方法、交差部分の表現方法、弁類の表示、寸法・注記の記入、竪管の引き出し線の記入の仕方などが解説されています。
配管の納まりについては、配管とダクト、配管と配管、配管と天井内機器、配管と梁、配管と天井、シャフト内の配管などのそれぞれの間隔や上下関係、配置方法等が説明されていて、その基準値が分かり作図する際に参考になるでしょう。
また、空調機械室内配管施工図の書き方として、配管経路、配管高さ、配管間隔の基準及びエア抜き・水抜きの作図要領、弁組みの設置位置や詳細な作図要領が明記されています。

まとめ

空調の施工図作図初心者のための手引書として、ダクト、空調配管の作図の基礎がとても分かりやすく解説されています。
作図する前の準備段階からどこに注意してイメージしてから着手するのか、ということが
書かれています。設計図をよく理解して、その考え方をいかに納まりも考慮して肉付けしていくのかを教えてくれるマニュアルだと感じました。

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宮本 一英
シエンワークス代表 ★サブコン社員が楽しく活き活きと働ける環境を作りたい!★★ 【資格】 ・建築設備士 ・1級管工事施工管理技士 ・消防設備士(甲種1類) ・空衛学会設備士(空調・衛生) 東京都出身/55歳にして自我に目覚める/筋トレ/ピアノ/人間観察/瞑想/お笑い
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