お役立ちコラム

建築設備研修 排水ポンプ揚程計算編

入社5年が小さい現場の責任者、いわゆる現場代理人になる目安の年次であるというのが、私がお手伝いさせていただいているサブコンさんの多くの担当者の方の希望です。
これも、個人差があるので3年目で代理人が務まる人もいれば、5年以上かかる人もいます。
5年目というのは、建築設備の知識、システム、機器、材料、施工管理のノウハウが一通り理解でき、技術屋として自分自身のやり方の基本が出来上がってくる時期ではないかと思います。
ところが、入社以来忙しい現場業務の連続で現場の追い回しに時間が取られ、建築設備の基本的な設計計算の部分では、理解できていないという人が多くいるのではないかと案じています。事実、クライアントのサブコン様の担当者の方から、入社3~5年目の社員に
ポンプの揚程計算や給水配管サイズの求め方、ダクトの静圧計算の研修をやってもらえないかというご要望があり、それにお応えすべく、まずはポンプの揚程計算について研修の準備を始めました。

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現場で簡単なポンプの揚程計算ができない

現場でよく発生する事案として、設計図における水中ポンプの配置が変わり、ルートが変更になった、あるいは排水する外部の桝の高さについて実際の地番面の高さが設計より高い場所になり、揚程計算する必要が出た、というケースが多くあると思います。
このくらいの簡単なポンプ揚程計算では、会社の設計部に依頼するより、現場でやってくれと言われるのがオチです。ところが、現場でやりたくても、その知識がないため専門書を引っ張り出したり、ネットで調べたりするのですが、その理論的な考え方がよく分からないため、正確な計算ができず困ってしまう、ということになりかねません。
それが、結構な経験を積んでいる方でも理論を理解できていないまま現場を任されていることが多くあるようです。

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ポンプ揚程計算は理屈が分れば簡単

ポンプの揚程計算は、ファンの静圧計算もそうなのですが、理屈が分れば簡単に計算できるようになります。要は、そのことを理解しようとする気持ちの問題で、実際にちょっと
計算することに取りかかってみる、ということが肝心です。最初の一歩が大事です。

研修での計算するときの3つのポイント

では、ポンプの揚程計算はどのポイントに気をつければよいのでしょうか。

水頭とは何かを知る

ポンプの揚程計算の考え方の中で必ず出てくるのが、「水頭」という言葉です。水頭とは、水の持つエネルギーを水柱の高さに置き換えたものです。高さなので単位はmです。
ある一定の水位から高い位置の水位まで、ポンプで水を汲み上げるには、力(エネルギー)が必要で、その高さの差を水頭といい、ポンプがくみ上げる水頭を揚程と呼びます。


エバラポンプハンドブックより

配管抵抗の仕組みを知る

水頭の高さ分、水を汲み上げる力を揚程と説明しましたが、それだけでは不十分です。高さ以外の要素、つまり配管の抵抗も考えなくてはいけません。配管の抵抗は大きく分けて2つ。配管の長さと、エルボやバルブ類の局部の抵抗です。配管抵抗の計算では、配管の長さが何mかと、エルボなどが直管の長さに換算すると何mになるかという相当長で、それらを合算して抵抗を求めます。
例えば、直管の長さが10m、エルボ1個が直管に換算すると3mだとしたら、合計で配管抵抗は13mになります。エルボやバルブの抵抗を直管の長さmに換算するということがポイントです。

出口水頭を知る

3つ目のポイントは出口水頭について。これは、汲み上げるべき水位(高さ)以上に水を押し上げないとその水位(高さ)には達しないという意味で、余裕をみた水位差(水頭)ということです。
例えば、水中ポンプで外部の地上の排水桝に水を汲み上げるとき、桝の高さまでの水頭分しか揚程を見ていないと、水が桝に排水されないので、余裕を見た水頭ということです。

この3つのポイントを抑えて、研修では水中ポンプの揚程計算をやってみました。
下図参照


建築設備設計計算書作成の手引き(令和3年版)より

この計算では、
1.排水量を求める
2.全揚程を求める(下記3点の合計)
 ・釜場の吸込水位から外部桝の排水高さまでの押上高さ(m)
 ・出口水頭(m)
 ・配管抵抗(m)
  配管抵抗算出では、配管摩擦抵抗線図で、流量からmあたりの摩擦抵抗を求める
  エルボなどの局部抵抗は相当長の換算表で長さ(m)に換算する
  上記合計に余裕係数をかける

上記の手順で揚程計算をしました。

ポンプ揚程計算ができるようになるメリット

現場では、水中ポンプの釜場の位置が変わった、排水する先の桝の位置が変わった、汲み上げるべき高さが高くなった、などがよく見受けられるケースです。このようなとき、現場のスタッフが簡単に揚程計算できると、いちいち社内連絡して設計部に依頼を出さずに、煩わしくなく確認できて、メリットがあります。
例えば、その計算結果が現状のポンプの設計仕様の能力で納まっていたとしても、その確認する作業の過程において、現場スタッフの揚程計算の練習にもなり、技術や知識の習熟度が確認できるという効果もあります。

まとめ

ポンプの揚程計算を、入社3~5年目の社員研修で実施した内容をご紹介しました。
揚程計算をする際のポイントは、ポンプが水を汲み上げるときにどんな力が必要で、どういうところに抵抗があり、それらの力をどういう単位で統一して合計していくかのプロセスが理解できるかということです。この過程が理解できると計算自体はそんなに難しいものではありません。いかに計算の仕組みが分かるかにかかっています。
ポンプ揚程計算やその他の現場に役立つ計算の研修を実施しています。研修のお問い合わせ、ご相談はこのサイトのトップページの「お問い合わせはこちらから」からご連絡ください。

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宮本 一英
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【資格】建築設備士/1級管工事施工管理技士/消防設備士(甲種1類)/空衛学会設備士(空調・衛生)/給水装置工事主任技術者/コーチング資格(GCS認定コーチ)

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