あるサブコンの社長様から、若手社員向けに工程表の書き方の研修をやってもらえないか、というお問い合わせをいただきました。
工程表は工事の規模、新築か改修か、建築下か元請か、建物用途、その会社の特質などいろいろな要素で変わってきます。若い社員の方たちに、何を目的として工程表をマスターしてほしいかをはっきりさせることが重要と考え、研修プログラムを組み立てました。
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工程表の書き方が分からない
私自身の経験で思い起こすと、入社して数年の頃は、工程表の書き方を上司から教わったことがなかったように思います。施工図の書き方も、材料の拾い方も、見積りの作り方も
その都度、自分で聞いて分からないなりに試行錯誤しながら覚えた記憶があります。あの時は、そういう状況だったからか、マスターするのにかなりの時間が必要だったように思います。
工程表を書くにしても、目的、書くときのノウハウとしての注意事項、どういう要素を考慮するのかなど、抑えるポイントが事前に分かっていれば、習得も断然早かったでしょう。
現場でのOJT教育における若手の技術や施工管理のノウハウの習得はやはり、教える側の部下を育成する姿勢と受け手側の学ぼうとする意欲がマッチすれば、強力に成果が出ますが、それは稀なケースです。
ほとんどの若手社員が現場で上司から工程表の書き方を教わらずに自己流で書いて、予定通りに行かず、書き直しを繰り返しながら自分のスタイルで身に付けていくということだと思います。
工程表の書き方を学ぶ
では、工程表を書いたことがない若手社員にはどんなポイントを教えたら、工事を効率的に進められる工程が書けるようになるでしょう。
まず、工程表の目的から考えていきましょう。
【工程表の目的は】
・工事の全体のつながりを一つの表に表し、工期の中で完結させる
・すべての工種を漏れなく記載し、客先へ工事を完成品として納める
・工事のクリティカルパスを押さえ、全体工期を想定する
・各工種の施工順序、前後関係を明確にし、効率的に工事を進捗させる
・工事内のすべての段取りのタイミングを明確にする(機器、材料、工事)
・協力会社へ施工時期を事前に知らせる
・現場スタッフの工期内での人員配置を予想する(繁忙期に増員)
・出来高カーブで工事の繁忙期を知る
・管理する自分自身の仕事の予定を立てる(マイ工程表へ)
【工程表を書くときのポイントとして】
・工期
・客先要望(民間、施設・店舗使用開始日)
・建築工程
・人工計算(物価本歩掛り、経験、協力会社に聞く)
・工種
・作業手順(建築工事と設備工事のそれぞれの工種の流れを把握)
【工程表を書くときの注意点として】
・建築下か元請か(建築下の場合、建築工程に準ずる)
・新築工事か改修工事か(新築の場合上記に同じ、改修の場合一部設備主体の場合あり)
・時期(真夏、真冬、台風時期、盆休み、正月休み)
・現場の立地(近隣、住宅地・学校、騒音対策、交通事情、搬入)
【工種ごとに何日かかるか】
・工事歩掛り(基準として参考値)
・経験値(経験を積まないと判断できない部分あり)
・会社の実績(上司に相談)
・協力会社に図面を渡し、人工数を算出してもらう
・客先や建築に設備工事の工程を主張できる根拠として
上記のように、工程表を書く目的やどういうポイントに注意するか、何を根拠にして書くかということを事前に知っていると、初めて書くときも上司に聞く回数が減るでしょう。
これらのポイントを踏まえ研修では、ある事務所にカセットエアコン2台を設置し、冷媒配管とドレン配管を施工する場合と、小規模のトイレ改修工事において、衛生器具撤去から内装も全面改装する条件の場合の2つの工事の工程表を例題として、作成してもらいました。
工程表を一度も書いたことがない人がほとんどでしたが、それぞれの工事の流れを考えながら、自分なりに日数を想定し、工程表を組み立てていました。
自分の手を動かし、考えながら書くことが今回の目的の一つだったので、何かしら得るものがあったのでは、と期待しています。
工程表が書けるようになると施工管理が楽しくなる
曲がりなりにも工程表が一通り書けたときのことを思い出すと、私自身達成感があり、とてもうれしかった記憶があります。
何ごとも、できなかったことができるときというのは、自分自身が一段階レベルアップした充実感があり、成長を感じるタイミングです。
これにも増して、工程表が書けるようになるとどういう効果があるでしょうか。
工程表が書けるようになると、その現場の施工管理(工程管理はもちろんのこと、品質管理、安全管理、原価管理も含めたトータルとしての)の設計図がスケジュールとともに書けたことになり、自分が現場の責任者として、この工事を完成させるという使命感が生まれます。
この使命感とともに、工程表が指針となってこの工事を進めていく過程で、施工管理が楽しくなることが期待できます。私が指導させていただいている若手社員の一人も、自分が書いた工程表で施工管理をし、工程表通りに工事が進んだことで、「仕事が楽しく、達成感があった」とコメントしていました。
まとめ
工程表を書く(作る)ことは、施工管理において第一歩であると同時に、最も重要な計画とも言えます。ある程度の規模の工事工程表が効率的に、かつ経済的に考えられ、無駄なく書けるようになれば一人前の現場代理人と言えるでしょう。
その代理人を早く育成するためには、早い段階での若手社員への基礎知識の教育と、現場での実習(工程表を早く実際に書かせる)が必要です。
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