お役立ちコラム

建築設備の若手現場監督が身につけたいスキルは?

建築設備の施工管理をするうえで、特に若手社員が身につけておきたいスキルは、どんなものがあるでしょう。会社として若い社員に望むスキルは建築工程の中でいかに上手く自社の工程管理ができるか、その他の施工管理能力、あるいは技術的な判断力、施工図が書けるといったことがあるでしょう。一方、私がお手伝いさせていただいているクライアントの若い社員の方が口をそろえて言う、自分が身につけたいスキルの第一位がコミュニケーションスキルです。これは建築業界に限らず、いかに仕事をするうえで基本となる人と上手に会話し、相手を動かすことが大事か、またそのことで悩んでいる人が多いかということが言えると思います。

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コミュニケーションスキルがなくて悩んでいる若い人が多い

弊社シエンワークスのサービスに、「現場教育サポート」というものがあります。これは、
新入社員から入社5年目くらいまでの若手社員の方を対象にした、現場においてマンツーマンで施工管理の方法や技術的な指導を行うというものです。
あるクライアント様では、入社3年目の方に指導をするにあたり、事前に目標設定会を開催しました。この方は小規模の新築飲食店舗を担当し、自分で計画から施工管理までを任されるということでした。施工着手前に上司の方と私と3人でこの現場での目標を立てました。目標は、現在自分が課題と感じていること、もっとこの能力をアップさせたいと思っていることを3つ上げてもらいました。その中で一番自分が不得意で悩んでいることが
「コミュニケーション能力がない」ということ。他社の新入社員の方の指導でのヒアリングでも、コミュニケーションが上手くできないということが、自分が思う苦手なことの
第一位でした。これは若い人に限らず、経験のあるベテランの方でも誰しも同じ答えが返ってくるのではと思います。それほど、人とコミュニケーションを図り相手を動かすということが難しいかということが分かります。

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現場でのコミュケーションスキルの発揮の場面

では、コミュニケーションスキルは生まれながらに特定の人に備わっている特技みたいなものでしょうか。確かに、話し上手で周りの人を笑わせたり、場の雰囲気を盛り上げることが得意な人はある一定数はいます。しかし、そのことだけがコミュニケーション能力が高いとも言い切れません。なぜなら、仕事をするうえで必要なことは、仕事をする相手に
こちらが要求することを伝え、それをやってもらうための行動を起こしてもらわなければ
ならないということです。つまり対人関係を良好に保ちつつ、人を動かす能力ということだからです。
建築設備の現場で必要なコミュニケーションの例はどんなものがあるでしょうか。
・大工さんに、スリーブが多く入る壁を優先して建ててもらう
・鉄筋屋さんに壁にダクトの実管スリーブが入るので、補強のお願いをする
・建築の若い担当者に設備の材料置き場の交渉をする
・軽量屋さんに壁にスリーブが入るところの床墨について、確認のお願いをする
・ボード屋さんから床立ち上がり配管の納まりが悪く、文句を言われた
・建築から急に、雑コンクリート打ちの相番を一人出すように言われた

など、上記の内容はどちらかというと、お願いしたり、文句を言われたりしたときの対応の仕方に比重がかかっていますが、現場ではこのようなことが日常茶飯事に起きています。
これらのことに対して、いかにコミュニケーションを取り、相手との関係をいい状態で保ちつつ、自分の要望を相手に伝えて動いてもらうかが重要です。

コミュニケーションスキルは学ぶことで習得できる  おすすめ本の紹介

このような現場での事象において、コミュニケーションを上手に取るにはどういう点に注意したらいいでしょうか。
そこでおすすめの本を紹介します。

まんがでわかる 伝え方が9割 佐々木圭一著

 

私はクライアントの若い社員の方たちの現場サポートをするとき、その人が悩んでいることを本やマンガを参考にして考えてもらうために、「これ、読んでみて」と渡すことがあります。この本も、コミュニケーションに悩む、ある若い社員の方にプレゼントしました。

この本のポイントを2つ紹介します。

1.相手の頭の中を想像する

この本の例では、

男性が女性に「デートしてほしい」と思ったとして、相手がどう思うかを想像する、そして「ノー」になりそうだとします。そこで、自分のお願いから離れて、相手の頭の中を想像し、何が好きか?どんな性格か?を考える、そして相手の頭の中の文脈でコトバを作っていくこと。すると、「驚くほど美味しいラーメン屋見つけたんだけど、行かない?」となります。相手のメリットと一致するお願いをつくる方法です。

この例は、よく言われる「相手の立場に立って考える」ことの応用であると思います。
現場では、どうしても建築の職人さんが上位で設備が下位という立場があるため、設備からの要望を言うときは難しい場面も多いのですが、相手の立場に立って、相手のメリットも考えながら会話していくことが、交渉をスムーズに進めるポイントだと思います。

2.チームワーク化

相手が「面倒くさい」「やる必要がそこまで見つからない」と言っているときに効果を発揮します。お願いを相手任せにするのではなく、「いっしょにやりましょう」とあなたと相手をチームワーク化するのです。飲み会の幹事をお願いいたいとき、
「飲み会の幹事やって」
→あなたのメリットでしかない。相手は、面倒だなと思う。
「いっしょに幹事しよう」
→「いっしょに」と頼られると、ちょっと嬉しくも感じる。これが「チームワーク化」です。

現場では、例えば建築の材料が部屋に山積みになっていて、明日からその部屋の設備工事が入る予定だったとします。以前から建築の担当者にお願いしていたのに、なかなか片づけてもらえません。そんなとき「いっしょに片づけましょう、手伝いますよ」と言えば、
「分かった、分かった」と言ってやってくれるでしょう。
この2つの例のように、「相手の立場に立った」一言や「いっしょにやりましょう」という
一体感が相手を動かす、まさに強いフレーズになるのです。こういった話すときのコツを知っているのと知らないのでは、まったく結果が違ってきます。

習得後のメリットと現場で期待できる効果

この本で書かれているポイントは、今回は2つだけご紹介しましたが、まだたくさんあります。現場においてコミュニケーションで悩んでいる若い監督さんがいたら、ぜひ一読して、自分が使えそうなものがあったら、試してみるといいのではないでしょうか。また、そのような若い部下を持つ管理職の方も、ご自身で読んでみて部下に薦めてみてもいいかも知れません。
私も、このような「まんがでわかる」シリーズは数多く読んで、いろいろな仕事上での悩みを抱えている方々に、薦めたり、プレゼントしています。実際にプレゼントした本を読み、その本の内容を一つだけ試したら、「現場で効率よく仕事が進みました、ありがとうございます」と感謝の言葉をいただいたことがあります。
コミュニケーションも生まれながらに持った才能ではなく、学んで習得するものであるということを知って、少しずつ現場で意識しながら試していくと、きっと効果が現れてくると思います。

まとめ

現場でコミュニケーションが上手く取れずに悩んでいる若い監督の方は多くいます。だからといって、自分は苦手だからとあきらめていませんか?おとなしい、控え目な性格だから、コミュニケーションはダメだ、と考えるのではなく、上手くなるにはどうすれば、どのような言葉を相手にかければ、どういう気持ちで相手に接すれば、を意識してそのことを学んで、ちょっとずつ現場で試してみましょう。
すると、ある時期から現場での仕事が少しずつ面白くなってくることに気づくと思います。

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ABOUT ME
宮本 一英
株式会社シエンワークス 代表取締役

首都圏・関東周辺を対象に『サブコン専門 人材育成支援サービス』(研修・現場教育支援・コーチング)を提供しております。大学卒業後、35年間中堅サブコンにおいて現場管理一筋で培った経験を活かし、サブコン様における「人材の育成・成長」「離職率の低減」「売上・利益の向上」を支援しています。

【資格】建築設備士/1級管工事施工管理技士/消防設備士(甲種1類)/空衛学会設備士(空調・衛生)/給水装置工事主任技術者/コーチング資格(GCS認定コーチ)

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