人は強要されることに抵抗を感じる
もし、あなたのお宅に突然リフォーム業者が訪ねてきて、「あなたの家はかなり築年数も経っているようですね。早めに外壁のリフォームをしないと雨漏りしてきますよ」などと、強引な営業をされたら、違和感を感じるでしょう。人には「安全・安心欲求」があり、強要されることで抵抗を感じるのです。
人間は決定権を欲しがっている
例えば、現場で部下の机の上が乱雑になっていたとき、上司が部下に対して、
「机の上が散らかっていたら仕事がはかどらないだろう、整理整頓しろ」と言ったとします。そうすると、上司が勝手に「机の上が散らかっている=仕事がはかどらない」と決定していることになります。このとき、部下に決定権はなく、価値観を押しつけられていることになります。決定権がないということは、コントロールできないことを意味し、安全でないと感じることがあります。
決定権をもつと安全・安心が満たされる
ここで、上司と部下の会話での、決定権を与えない場合と与える場合の比較をしてみましょう。
決定権を与えない場合
上司:○○君、この現場では雑作業費のコストを下げるために、多能工の人工数を
実行予算の2/3に抑えなくてはならないんだ。君にも頑張ってもらわな
ければならない。いいな?
部下:はい、分かりました。
(部下は「はい」と返事をしたものの、納得していない)
決定権を与える場合
上司:○○君、会社からの指示で、この現場の雑作業費のコストを2/3に抑えると
いう目標を掲げているが、これについてはどう思う?
部下:実行予算での多能工の人工数は、月数に換算すると妥当な工数だと思います。
ここから1/3をカットするとなると、かなり厳しいですね。
上司:なるほど、そうだよな。
部下:それに、建築の工期が遅れると設備にしわ寄せが来るのは目に見えているので、
予算としては多めに見ておきたいですね。
上司:確かに、現場の状況が変わって多能工の人工数が多くかかるのは予想として
考えられるね。そのうえで雑作業費を2/3にするために、○○君にできることは
何だと思う?そして、それを実現できたとしたら、現場としてどんないいことが
あると思う?
(より自発的に取り組める。上司からの提案に前向きな姿勢に変わる)
このように、部下に対して決定権を移譲することで、部下が上司の提案に対して自発的に考えるようになり、考えることで自分が主体的にこの内容について取り組んでみようと意識が生まれるようになります。
仕事の難易度で、あらゆることで決定権を与えることは難しいですが、部下の力量や技術力を推し量って、上司はケースバイケースで部下に決定権を与え、仕事を任せる姿勢を持つことが部下の成長につながるのです。
まとめ
上司が部下に四六時中、強制的な指示命令を繰り返してばかりいると、部下は上司からの指示が途絶えたとき何も行動できない指示待ち人間になってしまうのは明白です。
常日頃から上司は部下に対して適正に決定権を与え、自分で考えるように仕向け、行動できるような環境を整えることを考えましょう。
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