空調設備、衛生設備工事の施工管理を業務としている現場の若い技術者の方、あるいは設計事務所で建築設備の設計業務を担当している方で納まりのスペースを検討したい方、また設備施工図作図を本業としているCADオペレーターの初心者の方などを対象とした
施工図作図の手引書です。
今回は、「施工図マニュアル 衛生設備工事編 NPO設備システム研究会 著」をご紹介しましょう。
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建築図の見方
パソコンを使ってCADソフトで作図する以前は、ドラフターという図面板に定規がセットされた道具?を使用して手書きで図面を書いていました。私なども現役時代はドラフターを使用していたアナログ世代でCADが登場した頃は作図からは卒業していましたが。
手書きで施工図を作成する場合、必ず建築の裏トレース図をいうのを書きます。これは、
トレーシングぺーパーという半透明の薄い紙の裏に建築図をトレース(余計な記号や線などは省略)し、裏返した建築図に表から設備施工図を書くということをしていました。今はもう昔話になりますが。
CADの場合、建築図のデータが事前にあり、シート分けして設備図をそこに重ねていくという手順で作図します。手書きの場合は自分でトレースするので、建築図はどうなっているかということをある程度考えながら書きますが、CADの場合はどうしても設備のことに重点を置き、建築図の詳細を考えない傾向にあります。
そこでこのマニュアルでは、建築図の見方として初心者に分かりやすいように、最初に解説されています。
特に衛生設備では「見上げ図」と「見下げ図」の考え方が重要ですが、その場合の建築図の表現方法についても説明されています。
また、躯体図、鉄骨図、意匠図、天井やタイル割付図などについて注意すべきポイントが書かれており、梁貫通の構造制限の注意点、防火区画における設備の対処法なども説明があります。
建築図についての解説が要点をまとめて記載されているので、設備の施工図を作図する上で建築との納まりを考える手助けになると思います。
図面表示方法
施工図を書くとき人によって個性が出る場合もありますが、個性が強すぎて見にくくなってしまったら、施工図として完成品とは言えませんね。誰が見ても、この施工図は見やすい、美しいという基準があります。その基準をまとめたものがこの表示方法集です。
図面作成上の要点として、通り芯バルーンの大きさ、縮尺(図面内容によって変わる)、機器表・器具表の明記、キープラン、配管高さ表記方法、図枠についてなど。
寸法表示方法として、通り芯間→間仕切り間→器具取付け芯→配管芯→詳細寸法の順に外側から内側に記載するなど、基本的なことですがこれが守られていない場合が見受けられます。また、竪管の引き出し線についても角度(60°)、流れ方向矢印、配管用途、配管サイズの記入方法なども、これを基準にして作図すれば問題ないでしょう。
異種管接続方法
衛生配管の場合、施工場所の条件や器具廻り接続などにより、異種管同士を接続するケースが多くみられます。排水鋳鉄管(CIP)と鋼管(SGP)、排水塩ビライニング鋼管(DVLP)と鋼管(SGP)、鋼管(SGP)とビニル管(VP)など、代表的な排水用継手の写真が掲載されており、異種管同士の接続のイメージが分かりやすくなっています。
また、給水・給湯配管における、ステンレス鋼管(SUS)と塩ビライニング鋼管(VLP)、
銅管(CU)と塩ビライニング鋼管(VLP)、ステンレス鋼管(SUS)と銅管(CU)など
異種金属間での腐食対策としての絶縁処置も含めて記載されており、施工要領も併記された優れた内容になっています。
継手接続の最小寸法
各種直管と継手の組み合わせによる口径別の最小寸法が、配管の図解入りで表にまとまられており、配管の納まりを検討する際に便利です。CADソフト上でも、継手の接続が規定の寸法より少ないとエラー表示されますが、この図と表があると理解しやすいです。
各所納まり詳細図
衛生配管における代表的な、それでいて「この箇所の納まり図があって助かった」と思わせるような、現場で役に立つ詳細図集になっています。
地盤沈下対策例、変位対策例、量水器廻り、公設メーター納まりなどが参考寸法表も含め、記載されています。
配管べからず集
便所廻り、受水槽、ポンプ廻りでの配管施工の良い例と悪い例を併記して解説しています。
設計図通りにPS内の納まりを安易に決めない、トンボ配管の禁止、原則として配管途中にニップルを設けない、通気配管のアップダウン禁止、衛生器具の梁直上での配置禁止など、基本的なことですが初心者には良い教科書となるでしょう。
また、給水、給湯、排水、通気、外構配管の用途ごとあるいは、配管の支持方法、メンテナンスに関することも図解入りで説明されています。
悪い例を上げて、このことがなぜ問題なのかを知ることで施工図作図の精度が上がるでしょう。
まとめ
更に巻末には、便所、受水槽、高架水槽、貯湯槽、排水ポンプ廻り、電気給湯器廻り、消火設備、集合住宅のそれぞれの納まり図が標準図として記載されています。衛生配管の施工図を作図するとき、これらの図があれば参考図としてとても便利ですし、実践でなくても初心者の練習のための教科書としても活用できます。
施工図マニュアルとして、施工図初心者及び若手の育成には是非手元に置いておきたい一冊です。
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