労働時間に関する興味深い記事を見つけました。
厚生労働省の毎月勤労統計調査によれば、パートタイム労働者を除く一般労働者の月間実労働時間は2018年に167.5時間でしたが、2022年には162.3時間に減少しました。この減少は働き方改革関連法が施行された2019年以降、特に顕著になり、2020年のコロナ禍の影響でさらに労働時間が短縮されました。しかし、2021年以降は再び労働時間が緩やかな上昇傾向に転じています。
労働時間の減少は、法改正が一定の効果をもたらした証拠ですが、その後の上昇傾向は、改革が持続的な効果を確保していないことを示唆しています。企業が労働時間短縮の取り組みを導入する際、例えば「ノー残業デー」の設定など、制度を導入することは容易かもしれませんが、実際の運用は複雑であり、単に労働時間を減らすだけでは本質的な働き方改革とは言えません。
実効性のある働き方改革を実現するためには、管理職が率先して残業を減らすため「残業するな!」とハッパをかけるだけでなく、働き手一人ひとりが効率よく働ける環境を整える必要があります。単に時間を削減するだけではなく、働き方そのものを見直し、質の高い労働時間の確保を目指すべきです。このような取り組みが、表面的な改善ではなく、持続可能な労働環境の改善につながることとなります。
<引用>JBpress:「職場は「残業するな!」の号令番長だらけ、帳尻合わせの働き方改革の大誤解 2024年問題に取り組む物流業界こそお手本、このままでは「失われた5年」に」
(2024.1.19)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/78971
建設業の時間外労働の推移を見てもコロナ渦で一旦大きく減りますが、現在は以前の水準に戻りつつあります。
<引用>株式会社帝国データバンク:「建設業の時間外労働に関する動向調査(2023年8月)」(2023.9.26)
https://www.tdb-di.com/special-planning-survey/sp20230926.php
まもなく2024年問題の「働き方改革関連法」を完全に導入しなければならない状況です。サブコンの現場管理職の方が、「ノー残業デー」を設けたり、「残業するな!」とハッパをかけるだけでは抜本的な解決ができるとは思えません。
「建設業界2024年問題」とは?
「建設業界2024年問題」とは、2024年4月までに「働き方改革関連法」を完全に導入しなければならない課題を指します。この法律は大企業や中小企業に段階的に導入され、特に建設業界には5年の猶予がありました。主要なポイントとして、時間外労働に上限が設定(月45時間、年360時間が基本、特例で年720時間まで)され、中小企業でも60時間超の時間外労働には割増賃金率が25%から50%に引き上げられます。違反時には罰則があり、建設業界にとって労働環境改善は切迫した課題となっています。これはサブコンにおいても重要なターニングポイントと位置づけられます。
サブコン現場社員の労働時間を短くする対策
サブコン現場の労働時間を短くし、残業時間を減らすための対策は、効率性の向上、新しい技術の活用、そして従業員の健康管理、教育・トレーニングが重要です。
そして、2024年問題を控え注目されているのが、現場支援部門の設立です。
建設業未経験社員を雇い入れる、あるいは現場未経験の管理部門社員を対象に会社組織内で新たに現場支援部門を作るのです。これで、現場での書類作成、また工事写真の撮り方、写真整理の方法などの補助業務を担うことになります。
弊社では現場支援部門のスタッフを教育するベテランの指導員が在籍しています。これにより、現場支援部から派遣された未経験者を指導する現場スタッフの負担を減らし、未経験者がやり方を聞きたくても現場スタッフも多忙なため、充分な指導を受けられないといった問題をなくします。
指導員の外注化により、現場の負担を少なくしながら、未経験者を育成することで、早期の戦力化が可能となり、現場社員の労働時間を短くすることにつなげるのです。
【サブコン社長・経営幹部の方へ】
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まとめ
「建設業2024年問題」はサブコンの現場社員の労働時間を短くする絶好の機会です。
サブコン現場での労働時間短縮には、効率化、新技術活用、従業員の健康管理及び教育が重要となります。特に、現場支援部門の新設が注目されています。未経験者が補助業務を担うことで、現場の負担軽減と労働時間短縮が期待されます。外部指導員による指導で、未経験者の早期戦力化を可能にします。