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はじめての現場代理人
私が新卒で会社に入り、はじめて一人で現場を任されたのは4年目のときだったと記憶しています。とある自衛隊駐屯地の敷地の中で、官舎か何かの建物で2階建ての新築工事でした。小さい規模の建物でしたが、自分が現場代理人だということを強く意識していたので、かなりプレッシャーを感じ、頑張らなくてはという自覚はあったように思います。
確か上に課長がいましたが、ほとんど現場に来ることもなく任せっきりだったようです。
でも、そんな緊張感のなか大きなトラブルや事故もなく、無事に工事を終わらせることができたので、運もよかったのかと思います。上司については部下をほったらかしにさせておくというのは、当時はそれが当たり前でしたが、もう少しフォローの姿勢があってもよかったのではと、複雑な気持ちです。
今までの教育方法の弊害
私が新入社員の頃からバブルの時代にかけて、都内ではあちこちクレーンが立ち並び、
建設関係の会社もどんどん社員を入れ、言い方は悪いですが駒としてこき使い、ふるいにかけていくという状態でした。社員教育というものは入社したての数か月は会社で制度として行いますが、あとは現場に配属し、現場の業務で仕事を覚えさせるという流れでした。若いうちは上司の課長や主任から怒鳴られながら仕事を覚えていったものです。
まあ、「24時間働けますか」のコマーシャルに象徴されるような、建設関係だけでなくともどんな業界でも、そんな何か殺伐とした、でも活気があった時代でした。
今のこの時代、前時代風にやっていたらそれこそパワハラだとか言われ、部下の教育がまともにできない上司というレッテルが貼られてしまうでしょう。
そういう風潮から、前時代風の上司も遠慮して部下に「強く言えず」腰が引け、自分の主張したいことですら、口ごもってしまうということはないですか?
新米現場代理人へのアドバイス
私が入社4年目で初めて現場代理人になったときのことを思い出して感じたことは、2つです。1つは上司からほったらかしにされたことで、自分で何もかも考えて自分で判断しなければならないというひっ迫感が生まれ、若いなりに主体性が心に芽生え、指示待ちしているという状態ではない緊張感があったということ。
もう一つは、現場を最初から最後まで管理するというフローが描けていなかったため、いきあたりばったり毎日をただ忙しく過ごしていたということ。
今、私が入社4年目の自分にアドバイスするとしたら、3つのことに注意して指導すると思います。
1.現場が始まる前に、施工管理するうえでの大まかなフローを指し示す。
2.そのフローの項目ごとに更に業務を細分化し、部下と一緒に考え業務手順書を一緒に作る。
3.現場が始まったら、定期的に現場に足を運び、現況がそのフローのなかのどの部分にあるか、またその進捗と今の問題は何か、改善策は何かを話し合う。
この3つです。3番目のフォローを、どれだけ充実させて部下と一緒になって現場のことを考えるかが鍵なのです。
私のときは、現場がそんなに大変な状況ではなく、設備もシンプルで簡易だったし建築さんや電気屋さんも優しい人だったため恵まれていて、上司がほとんど来なくてもなんとかなっていましたが、ほったらかし状態では部下は育ちません。
部下は上司から目をかけてもらっているという安心感が一番仕事をするうえでのモチベーションにつながると思うのです。
まとめ
若い社員は必ずしも優秀な人たちとは限りません。優秀の定義が難しいですが、頭がいいからといって、この建設業界は特に仕事が出来るということにつながりません。また、心がタフな人は少数派と言っても過言ではないでしょう。
多少頭の回転がのろくても、心が折れやすくてもいいんです。人を育成するための正しい方法を会社として組織的に作り、いろいろなことが吸収できる若いうちにその教育を施すことで、離職防止にも寄与するのだと思います。
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