日本企業で一般的なOJTの利点と限界について、グロービス経営大学院教授・内田圭亮氏による解説が興味深かったので今回その内容を取り上げてみました。
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現在のOJT教育の限界
日本では、昔からOJTが重視されていますが、この方法には限界も存在します。OJTは実務の中で直接的なスキルを習得できる一方で、業務外の新たな知識や技能を身につける機会は限られるため、より広い視野でのキャリア発展を支援しづらい側面があります。
これに対し、Off-JT(職場外研修)は、実務とは切り離された環境で学ぶことが可能で、異なるスキルや知識を習得する場として機能しますが、日本企業におけるOff-JTへの予算配分は限られているのが現状です。
日本企業がOff-JTに対して割り当てる平均的な予算が一人当たり年間3万〜4万円です。一方、欧米やアジアの一部国々では10万円前後、またはそれ以上を投じている事実を挙げ、日本企業の人材育成に対する投資が不足していると内田氏はいいます。
その上で、人材育成に対する社会的、経済的環境の変化も言及されています。かつては経済成長期にあった日本ですが、近年は成長が鈍化し、それに伴い社員が新たな挑戦を経験する機会も減少しています。また、働き方改革やコンプライアンスへの要求の強化など、企業が直面する外部環境の変化も人材育成に新たな要求をもたらしています。
このような状況の中で、日本企業における人材育成の再考を促しており、特にOJTのみに依存する現状から脱却し、多角的かつ戦略的な人材育成のアプローチを模索することが求められています。それには、個々の社員の可能性を最大限に引き出すための環境整備と投資の拡充が不可欠です。
今の企業環境は、リスク管理が厳格化するため、個々の裁量や挑戦の機会が減少しています。このような状況下では、従来のOJTだけでは、必要な知見や能力を身につけることが難しくなっています。失敗から学ぶことの重要性を考えると、Off-JT(職場外研修)が、失敗を許容し、学びを促進する有効な手段として必要とされているのです。
<引用>東洋経済:「「OJT偏重」の古い日本の人材育成がやばいワケ」 (2023.11.20)
https://toyokeizai.net/articles/-/711857
サブコンの現場まかせのOJTをやめて、若手社員を早期に育成する方法
これまで35年間、建築設備の現場に携わってきた私から見ても、従来のOJTでは社員の育成に今の時代、限界を感じることが多々あります。その説明をしてみます。
新人・未経験者対策
人手不足の現在、新人や未経験者をいかにして早期に戦力化するかは、会社にとって重要な課題です。しかし、現場任せのOJTでは、一人前になる前に辞めてしまうケースが多いのです。この問題点には、複数の要因が関係しています。
まず、技術と知識の基礎が不足していることが挙げられます。新人は実務経験を積むことで成長しますが、基本的な技術や理論を理解していないと、成長が鈍化します。次に、教育の質が現場によって大きく異なることも問題です。上司、先輩など指導者によっては、教育に不向きなケースもあり、新人のスキル成長にギャップが生じます。
また、経験の偏りも新人の成長を阻害します。特定のタイプのプロジェクトの経験しかできないため、多様なスキルが身につきにくいです。さらに、現場にいきなり送りこむことで
情報過多により新人の混乱し、強いストレスを感じます。フィードバックと評価の欠如は、OJTの効果を低下させているのです。同時にプロジェクト・リーダーで、スケジュール管理の責任者でもある上司にとっても、新人指導は大きな負担となっています。
これらの問題を解決するためには、OJTだけでなく、会社全体で組織的な育成プログラムを設計し、実施することが重要です。
プログラムには、業務スキルの基礎だけでなく、企業文化、ビジネス倫理、チームワーク、コミュニケーションスキルなど、広範囲にわたる内容を含める必要があります。新人の進捗状況を定期的に評価し、適切なフィードバックを提供することで、継続的な学習と成長を促進することが求められます。これにより、新人の早期戦力化とともに、会社全体の質の向上が期待できることとなります。
例えば、新入社員研修における、「現場報告会」というプログラムがあります。
これは、現場に配属された新入社員が、月1回会社に集まり、それぞれ自分の現場の工事概要、工程の進捗状況、自分が行っている業務内容、失敗したこと、悩み、職人さんから叱られたこと、など工事写真をまとめたものをパワーポイントで映しながら、一人ひとり発表するという場です。
これを全員で共有することで、他の新入社員がどんな現場でどんな仕事をしているのか、
を確認できたり、自分と同じような悩みを抱えていることを知ることができ参考になったりと、孤独になりがちな彼らが月1回会うことで、その不安が和らぎ、気持ちが前向きになって現場に戻れるという効果があります。
入社2年~5年の若手社員対策
入社2年から5年の若手社員の教育には、現場上司のOJTだけではなく、さらなるサポートが必要です。このサポートは社員の成長を促し、離職の防止にもつながります。教育内容は具体的に以下のように構成されます。
まず、現場での実務経験を深めることが重要です。例えば、社員には一週間の工程を自ら計画し、それに基づいて日々の業務を遂行する「マイ工程表」の活用を推奨しています。これにより、個々のプロジェクトにおける役割を理解し、主体性を育むことができます。
次に、目標設定を通じて自己成長を図ります。社員が自分の経験や能力に応じた目標を設定し、社内で共有することで、自己効力感の向上やモチベーションの維持が期待されます。小さな業務改善でも、日々の目標にすることが重要です。
進捗管理では、定期的に業務の進捗と目標達成度を確認します。これにより、計画通りに業務が進んでいるか把握し、必要に応じて修正を加える機会を得ることができます。
専門知識と技術の向上も重要です。実践的な技術や知識は、現場のアドバイスを受けることで、さらに深まります。計画立案や施工管理のスキルを磨くことが求められます。
時間管理と組織効率化については、緊急ではないが重要な業務に時間を割くことで、プロジェクトの効率化やワークライフバランスの向上に寄与します。また、上司との進捗共有は組織効率化にも役立ちます。
最後に、成長の可視化が大切です。サポート終了時には、社内報告会を実施し、社員が自身の成長を振り返ることができます。この報告会は、他の社員にも学びを提供し、モチベーション向上に繋がる機会となります。
以上のような現場サポートによって、若手社員は実践的なスキルだけでなく、問題解決能力や自己管理能力、チームワークを養うことが可能となり、キャリアアップや将来の課題への対処能力が向上します。このようなサポートが若手社員のモチベーションを維持し、離職防止に繋がり、最終的には人手不足の解消に寄与することとなるのです。
まとめ
新人や未経験者の早期の戦力化は会社にとって重要な課題です。現場任せのOJTでは新人が辞めてしまうことが多く、基礎的な技術や知識の不足、教育の質のばらつき、経験の偏りなどが問題とされています。これに対し、企業文化やビジネス倫理、チームワーク、コミュニケーションスキルを含む広範囲な育成プログラムの導入が必要です。また、定期的な評価と適切なフィードバックを通じて、新人の継続的な学習と成長を促進します。これにより、会社全体の質の向上が期待できます。
同様に、入社2年から5年の若手社員に対しても、目標設定や進捗管理、専門知識の向上を促すサポートが必要であり、これがモチベーションの維持や離職防止につながります。
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