入社2年~4年目の若手社員が最初に書く図面は、インサート図やスリーブ図だと思います。いきなり施工図を書けと言われても、施工管理の経験が少なく、納まりがイメージできないと難しいですね。
今回は、スリーブ図を書くうえで、まず躯体図を理解して読めるようにならないと、いきなりはスリーブ図を書けない、ということをまとめてみました。
これからスリーブ図を書こうとしている、あるいは初めて上司からスリーブ図を書くようにと指示された、という方に読んでいただけたらと思います。
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スリーブが貫通できる梁の構造的範囲を理解する
今回はRC構造で説明します。
鉄骨造(S造)の場合も同様ですが、梁貫通スリーブの場合、梁を貫通するスリーブの範囲が構造的に決まっています。また、複数のスリーブが連続で貫通する場合も、そのスリーブの間隔に制限があります。
引用:現場で役立つ管工事の基本と実際 秀和システム
柱面からの距離を確保する
柱付近の梁は構造上、スリーブを設けてはならない部分になります。この資料では、柱面から1.2D以上離隔を取るようになっていますが、建物の規模や柱のスパンなどによって構造計算が変わってくるので、一概に決まっている訳ではありません。
それぞれの現場の建築構造図に柱面からの距離制限が記載されているので、それを確認しましょう。
柱の直近の梁にはスリーブを入れてはいけない、ということを理解しましょう。
梁の高さの1/3以内に納める
梁の高さ方向についての制限です。
いくら、柱から一定の水平距離を確保できたとしても、梁の高さ(梁せい)に対して入る大きさだったらいくらでもいい、という訳にはいきません。
高さに対しても構造の制限があります。梁せいに対して、1/3以内の範囲にスリーブを納めなくてはいけません。つまり、梁せい900の梁であったら、スリーブ外径を1/3の300以内にしなければならないということ。
また、梁の高さに対して、梁の上端及び下端からの寸法をいくつ以上確保しなければならないという決まりもあるので、注意が必要です。
参照図の右側の断面図では、梁せいD=900の場合、梁の上端、下端からスリーブ面までの距離D=250以上としています。この距離を「へりあき」といい、梁の主筋に対して、コンクリートの「かぶり」を適正に確保するために設けられています。
スリーブ間のピッチは3d以上確保する
梁に入れるスリーブが連続で複数本並ぶ場合は、それらのスリーブ外径の平均値の3倍以上離すことが決められています。
例えば、外径が200φと100φの2本のスリーブが並ぶ場合、200+100/2=150 から2本のスリーブの外径の平均値が150になるため、平均値の3倍で150×3=450、この場合、2本のスリーブの芯〃のピッチは450以上確保する、ということになります。
ここで、注意しなければならないのは、スリーブの径を外径で計算するということです。
一般的にスリーブ径はそのスリーブの内径で表現されます。例えば、100φであれば、内径が100φ(VUの場合107)です。ところが、梁スリーブの配置を考えるときは、外径で計算し位置を決めるルールになっているため、100φのVUのスリーブであれば、外径が114となります。そのため、100φが2本並ぶ場合は、114×3=342から、342mm以上離隔を取る必要があります。
スリーブ図は躯体図が読めないと書けない
スリーブ図を書くうえで、もう一つ重要なことは建築躯体図をいかに正確に読めるか、がポイントになります。躯体図には、要所要所で断面図が起こされていますが、肝心のスリーブを入れたい箇所の断面図がない場合があります。その場合は他の断面図から推測して、判断しなければなりません。その判断をするにしても躯体図を読めて理解できなければ、間違った判断になり、現場の期待する場所にスリーブを入れることは難しくなります。
例えば、下図のような躯体平面図があり、ブルー斜線の表記の位置にスリーブを入れる場合、高さがどうなっているかを、自分で断面図を書き、スリーブの高さを検討することが必要です。
この場合、躯体平面図のスラブの表記(四角で囲んだ枠内)と梁の表記(楕円で囲んだ枠)から断面図をイメージして書けるようにしましょう。
バルコニー側のスラブがSLから20下がって、180+15=195の厚み、居室側のスラブがSLから90下がって180の厚みで、SLから830の梁せいのG2梁に、SL―400の高さにスリーブが入ります。
このように、CAD上でもいいので躯体断面図が書けると、スリーブが梁せいに対して適正な高さかどうかが判断できます。また、スリーブの墨出しをする際にも、このスケッチがあれば、正確な墨が出せるようになります。
まとめ
今回は、スリーブ図を書くうえで躯体図が読めないと正確なスリーブ図が書けない、というお話をしました。
スリーブ図を書く前段として、まずは躯体図のスラブ、梁、柱、壁の表記の方法、ルール、読み方を覚える、理解することが必要です。
そのためには、躯体平面図から部分的にでも、断面図を起こす練習をすることをお勧めします。上記の様な手書きでも大丈夫です。平面から立体的なイメージができるようになれば、設備施工図も徐々に書けるようになります。
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