お役立ちコラム

建設業の働き方改革を「7つの習慣」から考える

若手社員が仕事を覚えた段階で、これから現場代理人として現場を任せようとした矢先に会社を辞めてしまう。新卒採用した新人が1年持たずに退職する。このように建築現場の施工管理職の若手社員は、いつの時代でも一定数早期に会社を辞めていきます。この現象は仕方ないことと、割り切っている管理職の方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。
建設業の働き方改革については、労働時間や残業時間短縮などの対策が検討されつつありますが、その環境面だけでなく、「やりがい」面で働き方改革を考え、若い社員の離職を軽減するには、を考えたいと思います。
この記事では、世界的名著であるフランクリン・コビーの「7つの習慣」を題材に、若手社員の「やりがい」を引き出し、主体的に仕事ができる指導方法を学ぶことができます。
今回は「7つの習慣」の第1と第3の2つの習慣から解説していきます。

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主体的である

「7つの習慣」の第1の習慣が「主体的であること」です。同様の言葉に「積極的」と「自発的」があります。「積極的」は他人から働きかけがあった場合でも、肯定的、能動的に動く場合、「自発的」は物事を自分から進んで行う場合、そして今回の主題である「主体的」は自分の意思や判断に基づいて行動する場合に用いられます。例えば、若い現場監督が
主体的に仕事している状態とは、上司が現場にいない時、納まりの問題が発生し施工方法を職人から聞かれた場合、とっさに上司に電話して聞くのではなく、まず自分ならどうしたら納まるかを職人に相談しながら考えるという姿勢のことです。このことは例え新入社員でも同じことです。新入社員だから、何でもかんでも「分かりません」では何も進歩はありません。
では、どう指導するか。
新入社員には、まず一通りのことを教えたら、その内容について自分で考えるクセをつけさせ、「自分ではこうしたいと思いますが」という言葉を言わせることです。それができたら次の段階へと負荷をかけながらステップアップしていく感じです。
3~4年くらい経験を積んだ若手社員については個人差がありますが、この年代では対人関係や工事がうまく回らなくなった時の対処によって、その人の力量が分かります。例えば、建築の監督に工程や納まりの件でムカつくことを言われたとします。そこですぐに反応し、反論したり、またはこちらの主張を言えず言われたままで尻込みして悩んでしまい前に進まなくなったりという人は、主体的ではないです。この場合は、一旦建築の言うことを聞いて、相手の立場を理解しながら「建築さんの状況は良く分かります、しかし設備の工程としてはこの工程表通り進めないと終わらないので、こういう方法ではいかがですか?」と言うように、現場の状況に応じて対応できるように常に自分の頭で考えている、また、この現場をよりよく納めるために自分は仕事をしていると思える人が主体的と言えるでしょう。
このような主体性を持たせるには、上司が定期的に状況を聞き、問題点や課題についてその若手がどのように考え、判断しているかを聴き出すことです。主体的でない反応や行動をしている場合は、「どうしたらよかったか」「自分の行動のどこが問題だったか」「今度、同じことが起きたらどうするか」などの質問をして、自分の言葉で語らせると、自分の言葉で解決策が出され、主体的な考え方が身についていきます。

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最優先事項を優先する

「7つの習慣」の第3の習慣が「最優先事項を優先する」です。「7つの習慣」では、最優先事項とは目先の日常の慌ただしさから来る重要事項ではなく、もっと長期的な視野に立って捉える最も優先すべき重要事項のことを説いています。
人間活動は4つの領域に分けられるとしています、この4つを建築現場に置き換えてみましょう。

第Ⅰ領域:緊急で重要なこと(↓減らす)

 ・水漏れ対応
 ・職人が現場でケガをした
 ・ゲリラ豪雨での排水処理

第Ⅱ領域:緊急ではないが重要なこと(↑増やす)

 ・上司や職人さんとの人間関係を築く
 ・現場における仕事の段取りや計画
 ・資格試験の勉強
 ・自身のスキルアップのための勉強

第Ⅲ領域:緊急だが重要ではないこと(↓減らす)

 ・建築から現場の材料移動を依頼される
 ・急に工程が変更になり、工期に間に合わせるための段取り
 ・急な設計変更での躯体工事対応

第Ⅳ領域:緊急でも重要でもないこと(↓減らす)

 ・現場での長々とした打合せ会議
 ・ムダなネットサーフィンをしてしまう
 ・だらだらとゲームやスマホを使う

現場では工事工程表を作成しますが、自分自身の工程表つまり予定表を作ることを推奨しています。若い社員の方には特にこの予定表を作成することで、自分の時間管理を可視化して充実させることの意義を感じてほしいのです。
仕事の段取りにおける予定に加え、第Ⅱ領域の「緊急ではないが重要なこと」つまり前記の、良好な人間関係の構築、工程表に現れない計画、資格試験勉強、施工図作成や見積書作成などのスキル習得の勉強について、その予定表に組み入れ、実行していくことで仕事を主体的に捉え「やりがい」を感じることができるようになります。
このように若手社員が最優先事項について積極的、意識的に取り組むよう、その重要性を説きながら指導することが必要です。

まとめ

建設業における働き方改革を「やりがい」の面から「7つの習慣」を題材に考察してきました。若手社員の方の離職を軽減させるためには「環境面」「やりがい面」の両輪で考えなくてはいけません。今回はその中でも重要な、「やりがい」を感じて仕事に取り組むためにはどういう視点で取り組んだらいいかを「2つの習慣」から事例を入れながらご説明しました。若手社員の意識を変えるのは、まず管理職の方々の意識改革から始めることが必要だと思いますが、いかがでしょうか。

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宮本 一英
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【資格】建築設備士/1級管工事施工管理技士/消防設備士(甲種1類)/空衛学会設備士(空調・衛生)/給水装置工事主任技術者/コーチング資格(GCS認定コーチ)

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