「最近の若手は…」ではなく、評価のものさしを変えてみる

2026.08.28

若手の価値観を知ることで、年代のギャップを埋める

今回のテーマは「管理職と若手のジェネレーション・ギャップ」です。この問題はいつの時代にもある話ですが、最新の調査から昨今の傾向を考えてみます。

参考にしたのが「マイナビ ライフキャリア実態調査2026年版」です。これを過去の調査と比較してみます。

2024年版では、昇進意欲が、若い世代でも「責任が重くなる」「メリットを感じない」「家庭との両立が難しい」といった理由から昇進を避ける人が多くいました。これにより若者の「出世離れ」が注目されます。

ところが2026年版では、20代の59.1%が「昇進したい」と回答し、全世代で最も高くなりました。「様々な職業を経験したい」「将来は独立したい」など、成長や成功への意欲も高くなっています。一方で、20代・30代では「稼げても残業したくない」と「稼げるなら残業してもよい」がほぼ半々です。

つまり現在の若手は、「出世したくない」のではなく、「成長や昇進はしたいが、長時間労働や私生活の犠牲は避けたい」という価値観を持っています。

こうした違いから、役職者の65.7%が部下とのジェネレーションギャップを感じ、54.3%が「距離を保つ場面が増えた」と回答しています。管理職には、若手を「仕事への意欲が低い」と見るのではなく、「成長意欲はあるが、仕事との付き合い方が違う」と理解することが求められています。

<引用>
「ライフキャリア実態調査 2026年版」:マイナビ (2026/7/24)

https://career-research.mynavi.jp/reserch/20260724_112775/#i-4

仕事の目的を伝え、若手の主体性を育てる

この問題を、建設会社の現場の管理職という立場で考えてみます。若手とのジェネレーション・ギャップを埋めるために大切なのは、「昔の若手はこうだった」という価値観を押しつけるのではなく、若手の成長意欲を引き出すことです。

今の若手は、仕事が嫌いなのではありません。「仕事を覚えたい」「認められたい」「将来は責任ある仕事も任されたい」と考えています。その一方で、意味のない残業や、昔ながらの長時間労働には納得できないという価値観も持っています。

だからこそ管理職は、「なぜ残業しないのか」と責めるのではなく、「どんな仕事ができるようになりたいか」「どんな現場監督を目指したいか」を聞くことが重要です。目標が分かれば、次の現場で任せる仕事や資格取得など、成長につながる役割を具体的に与えられます。

仕事を任せる際は、「これをやっておいて」で終わらせず、「なぜこの仕事を任せるのか」という目的まで伝えましょう。仕事の意味が分かることで、若手は作業ではなく、自分の成長につながる経験として主体的に取り組めます。

また、管理職が「最近の若手は熱意がない」と決めつけるのも危険です。かつては長時間働くことが熱意の象徴でしたが、今は限られた時間で成果を出すことも責任感の表れです。評価すべきなのは残業時間ではなく、仕事の質や成長、責任ある仕事への挑戦です。

今回の調査では、役職者の半数以上が若手と距離を保つ場面が増えたと回答しています。その背景には、「昇進するには長時間働くのが当たり前」といった過去の常識が通用しなくなったこともあると考えます。

現場の管理職に求められるのは、若手を自分たちの世代に合わせることではありません。価値観の違いを理解し、成長できる仕事を与え、任せ、認めることです。それこそが、世代の違いを乗り越え、若手を戦力へと育てる現場マネジメントといえます。

まとめ

経営者の視点で、この問題を考えると「最近の若手は理解できない」と嘆くのではなく、若手が力を発揮できる会社の仕組みをつくることが大切なポイントです。

最新の調査では、20代の59.1%が「昇進したい」と回答し、成長や責任ある仕事への意欲は決して低くありません。一方で、長時間労働や私生活を犠牲にする働き方は望んでおらず、成長とワークライフバランスの両立を重視しています。

だからこそ、会社の評価基準も変える必要があります。これまでのように「遅くまで現場に残る人」を評価するのではなく、仕事の質や技術の習得、責任ある仕事への挑戦を評価することが、若手のやる気と定着につながります。

また、管理職には「教える人」ではなく「育てる人」の役割が求められます。若手に仕事を任せる際は、「何をするか」だけでなく、「なぜその仕事が必要なのか」という目的を伝え、将来どんな現場監督を目指したいかを対話の中で聞くことが大切です。目標に合わせて仕事や資格取得の機会を与えることで、若手は主体的に成長していきます。

建設会社の競争力は、人材が育つかどうかで決まります。価値観の違いを受け入れ、任せて、認めて、育てる文化をつくることが、会社の未来を決めるといえます。

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著者プロフィール

宮本 一英

宮本 一英

株式会社シエンワークス 代表取締役

首都圏・関東周辺を対象に『サブコン専門 人材育成支援サービス』(現場サポート・現場巡視・集合研修)を提供しております。35年間現場管理一筋で培った経験を活かし、サブコン様における「人材の育成・成長」「離職率の低減」「安全・品質の向上」を支援しています。

【資格】建築設備士/1級管工事施工管理技士/消防設備士(甲種1類)/空衛学会設備士(空調・衛生)/給水装置工事主任技術者