クライアントであるA設備工業のKさんはこんな愚痴をこぼしていました。
「うちの現場のS君は、自分から動こうとしないんですよ。指示すればやるんですが、でも言われたことしかやらない。どうしたら、いいんでしょうか?」というお悩みです。
「S君が自分から動くようにするために、Kさんが何か試されたことはありますか?」という質問をしてみたところ、こんな答えが返ってきました。
「う~ん、そうですね。これをやって欲しいんだけどな。頼めるかな?」と「お願い」をしているとのこと。
「いや、それでは、いつまでたっても自分からは動きません」と申し上げました。
では、どうすればいいのでしょうか?
質問の魔力
部下を動かしたいなら「質問」することです。人が人に対して興味を持ったり、好奇心を抱くと質問という形をとって話しかけますよね。相手のことをもっと知りたいという気持ちがあふれて口から出てくるのが、質問です。
ということは、あなたが部下に対して動いてもらおうと願うのであれば、質問をすればいいということです。つまり、部下に興味を持つこと。あなたは日頃、部下に興味を持って接していますか?
察するに、KさんもS君にはあまり興味を持っているようには見受けられません。多くの上司がそうであるように、自分の下で仕事をテキパキやってもらえれば、それでいい、という気持ちでは部下は動かないのです。
質問の魔力とは、質問された側が条件反射的にその答えを取りにいくというところにあります。
例えば、あなたが「昨日のお昼は何を食べましたか?」と聞かれたら、たぶん「えーと...」と脳が勝手にお昼の食事の記憶を取りに行くでしょう。このように、質問は相手の意識を問いの方向へ向かせる力があります。そのため、質問が相手の普段考えてもみなかった、あるいは意識の外側にあるようなものであればあるほど、相手が深く考えるようになり、気づきが生まれやすくなります。
質問はオープン・クエスチョンで
拡大質問とも呼ばれているオープン・クエスチョンが重要な質問と言われています。オープン・クエスチョンとは、「はい」「いいえ」で答えられない質問です。
例えば、「そのことに対して腰が引けているように感じるんだけど、何か引っかかることがあるの?」
とか、「本当はどうしたいの?」と質問することで、部下は本当に思っていることを話しやすくなる機会を得ます。
部下がこのオープン・クエスチョンで質問されることで、日頃、指示されてばかりいた自分の中で
気づきが生まれ、「自分だったらこうしようと思う」、「もっとこうしたほうがいいんじゃないか」という風に、自ら工夫する思考回路に変わっていくことが期待できます。
いきなり今まで指示待ち人間だった部下が、突然自発的に動き出すことは、なかなかあり得ないことでしょうが、上司が根気よく声をかけ質問を繰り返し行うことで、少しずつでも改善に向かわせるという姿勢が部下にも伝わるのです。
オープン・クエスチョンの例
オープン・クエスチョンの例として、行動を促す質問があります。これらもほとんどが、「はい」「いいえ」で答えられるものではありません。部下が自分の頭で考え、答えを出すことで、自発的に動き出す質問なのです。
「今年の管工事試験はどのように受験対策をしようと思っているの?」
「いつから始める?」
「具体的には、どういう風に勉強しようと思う?」
毎年試験に落ちる部下がいるとします。部下は仕事が忙しいからと言い訳を口にしがちですが、上司はそんな部下に対して、このような質問で自分で考えさせ、受験に対する意識をそこに向かわせることで、行動に移すことができるのです。
まとめ
「なかなか部下が自発的に動かない」「言われたことしかやらない」と多くの上司の方は口にします。しかし、何もしなければ大方の若手社員はそういうものです。だから、工夫して声をかけ、オープン・クエスチョンで良い質問をする。このことを日常の仕事の中で繰り返し実行することで、
部下は自ずとあなたのことを信頼するようになり、動き始めるようになります。
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