技術力だけでは足りない。これからの施工管理に必要な「説明力」

2026.09.28

技術だけでは認められない、説明能力が信頼と合意を生み出す

今回のテーマは「技術者の説明能力」です。若手技術者との話で、マンション改修工事現場の住民へ一軒一軒ご挨拶に伺いながら事前説明をする機会があったそうです。しかし、それがうまく伝えることができずに悔しい思いをしたと聞きました。

建設業では長い間、「現場の腕があれば、それでいい」「良い施工をすれば評価される」という考え方が主流でした。しかし今は、それだけでは信頼を得られない時代です。若い技術者にも、自分の考えや現場の状況を相手に分かりやすく伝える説明責任が求められているのです。

その理由は、建設作業には、現場のみならず、それ以外の技術に疎い多くの立場の人との信頼関係によって成り立っているからです。今はその技術の内容をよりかみ砕いて説明する必要があります。

協力会社や職人には、施工手順や工程変更、危険箇所を正確に共有し、完全に理解できるまで説明しなければなりません。

住民に対しては、騒音や通行規制、工事時間帯、設備の使用不可時間帯などを丁寧に説明することで、不安や苦情を減らし、住民との信頼関係を築く必要があります。あるいは社内の別の部署への協力要請、職場の後輩への教育にも説明能力は求められます。

さらに施工管理者は、この説明能力がより高度な技術として求められます。施工管理は、人・工程・品質・安全・原価を調整し、多くの関係者を一つの方向へ導く仕事だからです。

施主には、状況の変化が生じれば説明し、追加・変更工事が発生すれば、根拠を示して理解を得る必要があります。協力会社や職人へは、日々現場の状況を安全対策含めて、理解できるように説明する必要があります。さらには部下には、育成のための説明能力も求められます。

このように施工管理の仕事とは、「管理する」だけではなく、「伝えて納得をしてもらうこと」が必要不可欠なのです。

これからの技術者は、現場の腕だけではその責任は果たせません。専門知識を相手の立場に合わせて分かりやすく説明し、信頼と合意を生み出せる人材となる必要があります。若いうちから説明能力を磨くことが、将来優れた施工管理人へ成長するための最も大切な土台になるのです。

説明する力を身につけて、現場で人を動かせる技術者になる

説明能力は、その方法を理解すれば、誰でも伸ばせる技術です。大切なのは「知っていることを話す」のではなく、「相手が理解して行動できるように伝える」ことを目的にすることです。

若い技術者が最初に身につけたいのは、「結論・理由・現場例」の順番で話す習慣です。例えば工程変更なら、「今日はコンクリー打設のため午後から作業を変更します。理由は生コン車の出入りと動線が重なるためです。午後1時からはA班が先にB室の配管へ移ります」と伝えれば、相手は短時間で状況を理解できます。話の型を持つだけで、伝わりやすさは大きく変わります。

次に重要なのは、専門用語を相手に合わせて言い換える力です。顧客や住民に専門用語をそのまま使っても伝わりません。「養生」なら「床や壁を傷つけないための保護」、「仮設」なら「工事期間だけ使う安全設備」というように、相手の立場で説明する意識が信頼を生みます。

説明力は、聞く力によっても磨かれます。施工管理では一方的に話すよりも、「ご心配な点はありますか」「この工程で気になることはありますか」と質問し、相手の理解度を確認することが重要です。相手の疑問を把握してから説明すると、誤解や認識のズレを防げます。

さらに、毎日の報告・連絡・相談をトレーニングの場にしてください。朝礼で今日の作業を1分で説明する、終礼で問題点と改善策を簡潔に報告する、上司への相談では「現状・課題・提案」を整理して話す。この積み重ねが、現場で通用する説明能力を育てます。

若手技術者が説明能力を身につければ、人を動かす仕事である施工管理人になった時により効果を発揮します。

このように技術者にとっての説明能力は、関係者との信頼関係を生み出し、選ばれるサブコン会社になるためには重要な要素なのです。

まとめ

現在のサブコン会社は、技術力だけでは選ばれません。顧客、協力会社、ゼネコンなど多くの人との信頼関係が得られる会社が選ばれるのです。そのため、若手技術者にも分かりやすく伝える力が求められています。

特に施工管理者は、人・工程・品質・安全を管理するだけでなく、多くの関係者を納得させて現場を動かす仕事です。工程変更や追加工事も、根拠を示して説明できる人ほど信頼を得られます。

説明能力は才能ではなく、やり方を理解し、相手の立場に合わせて伝える習慣で磨けます。技術を分かりやすく伝え、信頼を築き、説明責任を果たさなければ、これからの建設会社を支える人材にはなりえないのです。

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著者プロフィール

宮本 一英

宮本 一英

株式会社シエンワークス 代表取締役

首都圏・関東周辺を対象に『サブコン専門 人材育成支援サービス』(現場サポート・現場巡視・集合研修)を提供しております。35年間現場管理一筋で培った経験を活かし、サブコン様における「人材の育成・成長」「離職率の低減」「安全・品質の向上」を支援しています。

【資格】建築設備士/1級管工事施工管理技士/消防設備士(甲種1類)/空衛学会設備士(空調・衛生)/給水装置工事主任技術者