「もっと頑張れ」では若手は育たない―自信を育てる人材育成

2026.08.24

名監督に学び、若手に役割を与えて「自分はできる」と思わせる

今回のテーマは「若手社員のモチベーションを高める方法」です。クライアントの役員の方から「入社4~5年目の若手社員のやる気がなくて困っている」という相談を受けました。大きなテーマなので、野村克也氏の人材育成法を参考に考えてみます。

野村氏の「人を育てるということは、つまり自信を育てるということ」という言葉が示すように、若手に「もっと頑張れ」と言うだけではなく、「現場の一エリア、一物件の対応が一人でできるようになった」「後輩を指導できるようになった」など、具体的な成長を伝え、自信を持たせることが重要です。

また、指導者は「教える人」ではなく「気づかせる人」になる必要があります。ミスをしたときも、「なぜできない」と叱るのではなく、「どこに問題があったか」「次はどうすればよいか」と問いかけ、本人に考えさせます。「明日の仕事で起こりそうな問題を3つ考えてみよう」と促すことも、自ら考える力を育てます。

さらに、本人の将来の目標を聞き、それに合わせて少し上の仕事を任せることも大切です。失敗したときも責めるのではなく、原因と改善策を考えさせ、成長につなげます。

つまり、若手のモチベーションを高めるには、「期待する、任せる、考えさせる、認める」という循環をつくることです。やる気のない若手を叱って動かすのではなく、期待と責任を与え、本人に気づかせ、自信を育てることが、若手を自ら動く社員へ成長させるのです。

<参考文献>
「野村克也人生語録」(野村克也):講談社

「もっと頑張れ」と叱らず、若手に仕事を任せて自信を育てる

上記の野村克也氏の考え方を参考にしながら、サブコン会社の責任者が現場でどのように行動すべきかを考えてみます。

入社4~5年目の若手社員のモチベーションが低い場合、まず「本人にやる気がない」と決めつけないことが重要です。この時期は仕事に慣れる一方で、「自分は成長しているのか」「この会社で将来どんな仕事ができるのか」が見えにくくなり、意欲が低下しやすい時期です。指導者は「もっと頑張れ」と叱るのではなく、本人が成長を実感できる環境をつくる必要があります。

野村氏の「人を育てるということは、つまり自信を育てるということ」という考え方が参考になります。例えば、「以前はできなかった工程管理ができるようになった」「職人との打合せを一人でできるようになった」など、具体的な成長を伝え、「自分は成長している」と本人に気づかせます。単に「よく頑張っている」と褒めるのではなく、何ができるようになったのかを具体的に認めることが自信につながります。

また、指導者は「教える人」ではなく「気づかせる人」になることが大切です。若手が「明日の工程はどうすればいいですか」と聞いてきたら、すぐに答えを教えるのではなく、「君はどう考えている?」「何が問題になりそう?」と問いかけます。さらに「明日の現場で起こりそうな問題を3つ考えてみよう」と指示することで、単に作業をするのではなく、先を読んで考える習慣を身につけさせます。

そして、4~5年目には少し背伸びをすればできる仕事を任せます。「この工程は君に任せる」「次の協力会社との打合せをやってみよう」と責任を与えることで、当事者意識が生まれます。重要なのは放任することではなく、任せる、確認する、振り返るというサイクルをつくることです。

失敗したときも、「だからダメなんだ」と叱るのではなく、「なぜ失敗したのか」「次はどうすれば防げるか」と考えさせます。建設業では安全や品質に関わる重大な失敗は防ぐ必要がありますが、それ以外の失敗は成長の材料にすることが大切です。

さらに、「将来どうなりたいか」を本人に考えさせることも重要です。「自分で現場を任されたい」「職人から一人前として認められたい」といった本人の目標を見つけ、それを資格取得や日々の仕事と結びつけます。会社から「資格を取れ」と命じるだけではなく、「この資格を取れば、次はこの仕事を任せる」と示すことで、仕事に意味を感じられるようになります。

指導者が注意したいのは、若手の「できていないこと」ばかりを見ることです。「工程管理はまだ甘い。でも、職人とのコミュニケーションは以前より良くなった。次は工程管理を伸ばそう」というように、成長を認めたうえで次の課題を与えることが効果的です。

結局、若手のモチベーションを高めるのは、「もっと頑張れ」という精神論ではありません。
「君に期待している。だから任せる。まず自分で考えてみろ。失敗したら一緒に振り返ろう。できるようになったら、次の仕事を任せる」という関わり方です。

期待する、任せる、考えさせる、気づかせる、認める。そして、また任せる。
この循環をつくることが、4~5年目の若手社員を「指示を待つ社員」から「自ら考えて動く現場の戦力」へ育てるポイントなのです。

まとめ

経営者の視点では、若手社員のモチベーション低下は「本人のやる気の問題」という個人の問題ではなく、「会社が成長する機会と責任を与えているか」という組織の問題として考えることが大切です。

入社4~5年目には、「もっと頑張れ」と叱るのではなく、これまでの成長を具体的に認めたうえで、少し背伸びが必要な仕事を任せます。そして、本人に考えさせ、失敗したら原因と改善策を振り返らせます。

重要なのは、「期待する→任せる→考えさせる→認める→さらに任せる」という循環をつくることです。

野村克也氏の「人を育てるとは、自信を育てること」という考え方のように、若手に責任と成功体験を与え、「自分はできる」と思わせることが、将来の会社を支える人材を育てることになるのです。

弊社、シエンワークスでは、建設業に合った「人材育成プログラム」を提供しています。詳しい内容をお知りになりたいという方は、下部の「お問い合わせはこちら」からご連絡ください。無料相談を実施しております。

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著者プロフィール

宮本 一英

宮本 一英

株式会社シエンワークス 代表取締役

首都圏・関東周辺を対象に『サブコン専門 人材育成支援サービス』(現場サポート・現場巡視・集合研修)を提供しております。35年間現場管理一筋で培った経験を活かし、サブコン様における「人材の育成・成長」「離職率の低減」「安全・品質の向上」を支援しています。

【資格】建築設備士/1級管工事施工管理技士/消防設備士(甲種1類)/空衛学会設備士(空調・衛生)/給水装置工事主任技術者