期待していた若手社員が、突然退職してショックを覚えたことはないでしょうか?経営者や管理職なら多くが経験したことのある話かと思います。この問題に参考になる事例をご紹介します。
ANA沖縄空港株式会社の取り組みです。こちらの会社では新入社員(特に高卒社員)の定着に悩みを抱えており、解決策として新人一人一人にメンターとして先輩社員を指名する「エルダー制度」を導入しました。その結果、定着率を向上させました。空港の運営業務は、台風による欠航や機材トラブルによる遅延など、様々なイレギュラーな事態への対応を迫られます。若手はピリピリした現場の雰囲気に気おされ、不安になります。相次ぐクレームへの対応も経験がものをいう仕事だけに新人には負担です。そこでメンターとなる先輩社員が支えになります。新人が抱えがちな「私のやり方で大丈夫なのか」「この仕事に向いていないかも」といったネガティブ感情を取り除くために、積極的に声をかけ相談にのるのです。 とりわけ重視したのは、トラブルなどで業務の負荷がかかった直後の対応です。「今回の対応はよかったですよ」「次回はこの点も付け加えると、もっと喜ばれますよ」といった言葉で自信を与え、若手に成長実感を与えるのです。困難な仕事ほど、若手の成長にはよい機会となります。それを先輩・上司が意識することが、非常に効果的なのです。
若手社員の早期離職は、多くがその背後に、彼らの「成長実感と成長予感」の欠如が大きく関係しています。入社3年以内での転職を考える主な要因として、「上司や先輩に対する罪悪感」や「自分の居場所を見つけられない」という感情が挙げられます。これらは、職場の人間関係や労働環境、人材育成の方針などが大きく影響しています。全てを一度に整えるのは難しいかもしれませんが、最低限、若手が心から安心して仕事に取り組める環境を整え、成長の機会を提供しているかをチェックする必要があります。
そして、もう一つ重要なキーワードが「不の解消マネジメント」です。経験が浅い若手が仕事をうまくこなせないのは、当然のことと思われがちです。しかし、そのまま放置してしまうと、彼らは自らの成長や未来への期待を持てなくなります。その結果、別の職場での新たな挑戦を選び、離職してしまうのです。
(参考記事)
入社後3年以内に3割退職、入社後すぐに50%が転職サイトに登録するといった内容で若手社員に非があるような記事をよく見かけます。しかし、表層上の数字ではわからない若手社員の心理状態を理解し、寄り添った対策を取ることが必要かと考えます。
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目次
「建設業界2024年問題」とは?
「建設業界2024年問題」とは、2024年4月までに「働き方改革関連法」を完全に導入しなければならない課題を指します。この法律は大企業や中小企業に段階的に導入され、特に建設業界には5年の猶予がありました。主要なポイントとして、時間外労働に上限が設定(月45時間、年360時間が基本、特例で年720時間まで)され、中小企業でも60時間超の時間外労働には割増賃金率が25%から50%に引き上げられます。違反時には罰則があり、建設業界にとって労働環境改善は切迫した課題となっています。これはサブコンにおいても重要なターニングポイントと位置づけられます。
若手社員早期育成のための3つの対策とは?
2024年問題を受けて、サブコンの現場でも一層の人手不足が深刻になる状況です。現場では離職対策と若手社員早期育成という両方が求められます。この難しい課題にどのような取り組みがあるのか、考えてみました
1.新入社員~3年目社員を対象としたマニュアル作り
現場において、最初の地中梁のスリーブから躯体工事を経て仕上げ工事、そして器具を取付け、最後の試運転調整、そして竣工検査を受け、竣工図書を作成し提出して完了するという、一連の工事の流れを体験しないまま、次の現場へ行くということがあると思います。
入社3年目でもスリーブ入れを知らない、竣工図書を作成したことがないといったこともあります。なるべく入社して早い段階で、工事の最初から最後までの流れと段階ごとの施工管理内容、チェックポイント、注意すべきこと、作成書類、検査内容等々が網羅されたマニュアルが若手社員にとって実は必要なものなのです。
この指標(指針)があれば、若手社員は工事の流れを把握でき、経験がなくてもイメージすることができます。分からないことがあれば、この指標を観ながら先輩に質問することもできます。
そんなに何十ページにも及ぶ大作でなくても、A4一ページに工事のフローが書かれていてその脇に注意事項が書かれているものでもいいと思います。
マニュアルは新人にとっては基本として必要なもの。経験を重ねていく段階で、次はマニュアルを作れる人に教育することが組織として今後のステップになります。
2.入社後、早い段階で自分の現場以外の現場を見学あるいは体験させる
私が入社して5年目くらいの頃、上司で鬼のように怖い人がいました。彼の下の若手社員が次々と退職してしまうことから、「新人殺し」と異名をとっていたほどです。
このような部下がヘマをしでかすと、でかい声で怒鳴り散らすような上司では、そこに配属された新人はたまったものではありません。今ではパワハラで訴えられてしまうのでこういう人は少ないと思いますが、一人の上司の下で長い期間働かせるのは酷です。
また、上司だけではなく、新築や改修、大規模現場や小規模現場、空調や衛生、マンションや病院、事務所ビルなど、現場の種類、建物用途なども新人の内から多くの環境に身を置くということが、新人の視野を広め、「いろんな上司がいて、いろんな現場があるんだ」ということを理解することにつながります。このような、配置や見学を意識して取り入れることで若手社員の仕事への興味、関心も広がり、狭い視野で悩んだり、一人で考え込んだりということもなくなると思います。
3.現場報告会で同期との交流を図り、刺激を受ける
弊社シエンワークスで取り組んでいる新入社員研修の一つとして、「現場報告会」というものがあります。これは、新入社員が入社後5カ月ほど経過した段階で、月1回会社に集合し、自分の現場の概要、工程進捗状況、工事内容、自分がやっている仕事内容などを、
発表し合う場です。一人ひとり発表し、他の人がそれに対して質問したり、感想やフィードバックするようにしています。
現場の写真をスライドで映し、状況を説明したり、失敗談や学んだことの情報を交換するため、彼らの口から「同期との交流の場が月1回あることで、他の現場の状況や他の人の仕事内容が分かり、自分とのレベルの違いなども認識でき、とても有意義です」という意見が出ています。
このような会を設けることで、同期との一体感や連帯感が養成され、一人で悩んだり、孤立するということもなくなり、視座が上がることで仕事に対する意識も変わってくると思います。
若手の成長が会社の未来を創る
冒頭の空港関連会社の事例のように、新入社員にメンターをつけるといった方法もあるかと考えます。新入社員を孤独にさせず、不安を取り除き、安心して仕事ができる環境が若手の離職防止となります。さらに適切なタイミングでのアドバイスが成長を促すのです。
若手社員が成長しながら元気よく仕事ができれば、それは中堅、ベテラン社員にも良い循環を生み出します。そしてその成長した若手社員が会社の未来を担うことになるのです。
*弊社では「メンターの部下育成のための指導」を行っています。
まとめ
「建設業2024年問題」は若手の離職対策、育成方法を見直す絶好の機会です。これまでのやり方を踏襲するのではなく、社内や社外の知恵を集めて、再構築してみることが大切かと考えます。
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