私が新入社員研修で気をつけていることは、新入社員の方が講師である私に興味を持ち、この人の話なら聞いてみたいと思ってもらえること。
そのために私が、新入社員研修のときに実際に行っている講師との信頼関係を築き、場の空気を和らげる方法をご紹介しましょう。
研修の前に事前に個人面談をする
例えば新入社員が5名で、全体の研修プログラムが5日間あるとすると、そのプログラムの前に、事前に5名の新入社員一人ひとりと個人面談をやります。
目的は、個人面談を行うことで新入社員一人ひとりが、どういう経緯でこの会社を希望し、何を目指してこの会社に入社したのか、あるいは趣味趣向、何に価値観を持っているか、どういう性格かなどを、講師である私と話をすることで、彼らの人となりを知っておきたいからです。
もちろん、私自身の個人的なことも自己開示してお話をします。ここがミソで、一方的にこちらが相手のことだけを聞くだけでは、尋問みたいになってよくありません。
そこで、具体的な面談方法ですが、面談マンダラシートというものを使用します。
これは、日本産業メンタルマネジメント協会で提供しているシートで、9マスの真ん中に自分の名前を書き、その周りの8マスに自分の好きなこと、最近楽しかったこと、自分の性格、悩み、過去の失敗、夢などランダムに書きます。
私もそのシートに自分のことを書き、シートを交換します。
相手のシートを見て、気になるキーワードから質問していきます。一つ質問し、その内容で相手が自分のことを話し、それに対して会話するという感じです。次は質問者が交代し、順番に質問し合うというように進めていきます。
こうすることで、変にありきたりの質問をすることなく、本人の気になっていることがキーワードとして記入されているので、楽しく、また真実を話そうとしてくれるのです。
当初、時間配分をひとり30分と決めていたのですが、勢いあまって15分も時間が過ぎていることを忘れ、話し込んでしまうこともありました。
それほど、このマンダラシートは使えるツールとして、私は重宝しています。
新入社員同士で自己紹介し合う
事前に個人面談して、講師である私と新入社員個々との距離が少し近くなったことを実感したうえで今度は新入社員同士の一体感を作るために、2つめの演出をしました。
それは、前回個人面談したときの、マンダラシートを研修の第1日の冒頭で一人ひとりスライドで写し、それを見ながら他の新入社員が気になるキーワードについて質問していくというものです。
これをやることで、一人ひとりの人間性や内面的な一面をみんなに知ってもらえることができると思います。
単に、一人ひとり前に出て自己紹介するということも自己PRという意味ではいいかもしれませんが、それ以上にこのマンダラシートを使うことで、よりその人となりがよく分かり、それぞれが各人に対し、興味を持つことができるのではないかと思います。
先日、とある会社様で新入社員研修をやらせていただきましたが、これをやったことでの成果として、研修を企画された人事担当の方から、後日、
「事務所で新入社員同士の会話がほとんど見受けられなかったのが、研修が終わってからは活発に会話するようになりました。研修の成果があったのではと思います」というお言葉をいただきました。
新入社員同士の一体感が生まれたのではと、少し嬉しくなりました。
ニックネームで呼び合う
3つ目は、ニックネームで呼び合うようにする、ということ。
これもゲームを取り入れ、楽しい演出にしました。
まず、新入社員全員に自分が呼ばれたいニックネームを考えてもらいます。
できれば、突飛な面白いものがいいです。今回も思わずニンマリするものが出ました。
机の配置は口の字にしてみんなの顔が見えるようにします。コロナ感染防止のために机の前面にはアクリル板はセットしてあります。
ニックネームが出そろったら、初めの人が例えば、
「バナナが好きな、家康です」と言ったら、その次の人が
「バナナが好きな家康の隣の、バイクが好きなカルロスです」と言い、その次の人が
「バナナが好きな家康の隣の、バイクが好きなカルロスの隣の、〇〇が好きな△△です」と言って最後の人まで回すことをします。
今度は逆回りで同じようにやると、みんなのニックネームをその場で覚えるようになります。これはなかなか場が盛り上がり、研修が持つ一般的な重苦しい雰囲気を覆す演出となりました。
研修の前準備で、研修自体の学びを充実させるねらい
これらの準備や演出は、研修を受ける前にいかに、研修自体を充実したもの、学びの場としてよりよく知識を吸収し、気づきを得るためのものにできるかをねらいとして、計画しました。
講師と受講者との信頼関係構築、新入社員同士の一体感、場の雰囲気の向上など。これらを意図し、準備することで受講者が気持ちよく研修に臨み、少しでも多くの学びを得られれば、講師としての仕事を十分成し遂げることができたのではと思います。
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