お役立ちコラム

入社2年目で2級管工事資格を取得するには

建築設備の施工管理をするうえで必須の資格は、1級管工事施工管理技士というのは周知の通りですが、その前段として入社2年目くらいの若いうちから2級管工事施工管理技士の資格に挑戦させる会社も多いようです。
その理由として、早い段階で資格試験の受験に慣れて、試験問題の感覚をつかんでおくことが一つ、もう一つは実務経験年数で1級管工事の受験資格が来るまで時間がかかる場合は2級管工事を取得していれば、1級管工事が受験できるので早く取得できるということ。
例えば、指定学科以外の大学卒業者の場合で考えてみましょう。
入社後その年に(17歳以上なので)2級管工事の第一次検定試験が受験でき、また二次検定試験は、卒業後1年6カ月以上の経験があれば受験可能です。この場合、入社2年目の秋の第二次検定に合格すれば、入社3年目の春に晴れて、2級管工事施工管理技士の資格者となります。また、その年に1級管工事にトライできることになります。

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2級管工事の資格は入社2年目で取得できるが、取得できずに時間が経過

入社2年目で取得可能な2級管工事の資格ですが、誰もが取得できるかというと、そうでもありません。願書を出し、受験はするものの不合格。一次検定は受かったけれど、二次検定で落ちる、というように社内で全員が順当に資格を取得できていないのが実情という会社が多いです。1級管工事では、さらにその傾向が強い。
では、なぜ管工事の資格が取得できないのでしょうか。
私が資格取得のお手伝いをさせていただくクライアント様の社員の方の状況を見ていると、入社して長らく取得していない人は、やはり資格を取ろうという意欲が薄いということ。入社後3年くらいの間に会社から半強制的に研修を受けさせたり、そのモチベーションを上げる声かけを強くやらないと、だらだらと時間が経過してしまう、というのが実情です。

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2級管工事資格取得対策は

では、どうすれば管工事の資格取得者を一人でも多く出すことができるのか。
それは、入社後なるべく早い段階で、2級管工事受験のための教育を計画的に実施することが必要です。研修を行うことで、管工事資格の重要性が理解でき、そしてその勉強内容を知り、学ぶことで現場で体験したこと、苦労したこと、失敗したことなどが思い出され、
自身の経験と照らし合わせることで、「そういうことだったのか」と気づく瞬間がきっと
あると思います。その学ぶことでの気づきが生まれることで、資格取得にモチベーションをつなげていくということが研修の意図するところでもあります。
ただ、「2級管工事を受験しろ」「資格取得しないと上に上がれないぞ」と言ってみたところで、ピンと来ていない人は少なからずいます。研修を受け、「理解した」「分かった」という実体験を積むことで、意識が変わり、学ぶサイクルを日常に入り込ませることが合格への道筋なのではないか、と思います。

2級管工事の研修はこのようにやっている

今、あるサブコンさんの入社2年目研修で行っている、2級管工事受験ポイントでの一部をご紹介しましょう。今回の研修では、第二次検定の記述に関する項目を取り上げます。

1.施工経験記述

施工経験記述は、品質管理、工程管理、安全管理の3つの管理項目の中から2つが出題され、それぞれについて自身の施工経験にもとづき、その管理上「特に重要と考えた事項」
とそれについてとった「措置または対策」を解答し記述するというものです。解答は、解答用紙に2~3行程度なので、ポイントをいかに簡潔に書くかが重要です。
施工経験が2年弱という受講生にとって、3つの施工管理をすべて担当できていたかというと疑問です。安全管理は担当していたが、工程管理はやっていなかったなど、3つのうち1~2つは経験が無いということもあります。
この場合は、担当していない管理項目でも、現場自体を自分で見たり、あるいは職人さんとの会話で聞いたりしているのであれば、何かしら状況が分かるはずです。工程管理を担当していなくても、建築工程が遅れ、設備工程に影響を及ぼしそうになったとき、上司が
配管作業班を2班から3班に増員し対処したことがあったな、ということを思い出し、それを記述するということでもいいのです。要は、自分が体験した、あるいは見聞きした施工管理について、自分がそれをどう解釈し自分の中に取り入れたかが重要なので、すべて担当したことでなくても、現場の内容をよく考えましょう、と研修でも説明しています。

2.施工要領図に関する記述

各年度の二次検定試験には、施工要領図が数題出題されます。その要領図の適切でない部分の理由と改善策を解答する、あるいは材料の図が示され、その材料の使用場所と使用目的を解答するなどが出題ポイントです。
例えば、カセット型のパッケージ型室内機の設置されている断面図で、室内機の支持を天井下地に直接乗せて持たせている図があるとき、この場合の適切でない部分の理由とその改善策を記述するというものがあります。

この設問を研修の導入部で2年目の社員3人に尋ねたところ、3人とも首を傾げていました。現場では、取り付けている状況は見てはいるのでしょうが、意識して見ていない、あるいは施工の意味が分かっていないということだと思います。この施工要領図の設問で、その図を視覚的に捉えて考えることで、技術的なことを知る「楽しさ」というものが、感じられ、学ぶこと、吸収することの足がかりとなってもらえれば研修の意味があったと思います。
ちなみに、この設問の解答は屋内機を天井下地だけで支持すると、自重に耐えられずに天井が破断し、落下する恐れがあるので、上部スラブから4本吊りとする、が正解です。

まとめ

入社間もないころから計画的に1級管工事施工管理技士の資格取得について、社員の方にその必要性を説き、早い段階で2級管工事を受験する体制を整えてあげることが必要と思います。受験することに慣れておく、資格取得の前はそのための勉強をする習慣を身に着けることを2級管工事のときから準備しておけば、1級管工事のときはその延長線上にあるので、掛ける労力は少なくて済むはずです。
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宮本 一英
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【資格】建築設備士/1級管工事施工管理技士/消防設備士(甲種1類)/空衛学会設備士(空調・衛生)/給水装置工事主任技術者/コーチング資格(GCS認定コーチ)

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