日経クロステックによる主要建設会社42社を対象にしたアンケート調査によると、建設業界では、2024年4月から適用される時間外労働の上限規制により、約8割の企業が事業にマイナスの影響を受けると考えています。
調査に回答した30社のうち、20%が「マイナスの影響がある」と回答し、57%が「どちらかといえばマイナスの影響がある」と回答しました。対照的に、事業にプラスの影響があると回答したのは全体の約10%にとどまり、13%は影響がないと回答しています。
この結果は、多くの企業が規制をクリアするための対策に苦慮しており、業界全体に不安が広がっている状況が浮き彫りになりました。
不安の影響としては、最も多かったのが「売り上げや受注の減少」、次に「発注者の理解が得られない」となります。さらに「労務管理の煩雑化」、「協力会社の確保が難しくなる」、
「人件費の増加」、「利益率の悪化」と続きます。
<引用>日経クロステック:「「事業にマイナスの影響」が8割、建設業2024年問題で主要建設会社に緊急調査 建築売上高500億円以上の建設会社に聞く「2024年問題」(後編)」
(2024.3.7)
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00154/02003/
2024年問題、4月から適用される時間外労働の上限規制の直前に大手建設会社の多くが
対策が充分ではない現状がわかります。
そして、そのしわ寄せはサブコンにも影響が出てくることが予想されます。しかし、この法改正を前向きに捉えて、従来の考え方を見直す機会としてはいかがでしょうか。
時間外労働の上限規制によって、労働力の総量は減ることとなります。そのため、仕事の選別がこれまで以上に重要となります。
不安の影響とあげている「売り上げや受注の減少」は避けられません。受ける仕事は売り上げ重視から利益重視へと転換し、利益の低い仕事、遠隔地の作業現場は断る必要があるかもしれません。
「発注者の理解が得られない」という不安についても、工期を丁寧に説明しても理解が得られないのなら、社員を守るためにこちらも断る必要があるかもしれません。
マイケル・E・ポーターは、「戦略とは捨てること」といっています。 経営資源には限りがあるため、何かを選んだら何かを捨てなくてはなりません。 一方でその難しさをピーター・F・ドラッカーは「誰にとっても優先順位の決定はそれほど難しくない。難しいのは劣後順位の決定、なすべきでないことの決定である」と語っています。
このように今回の法改正は、経営者サイドにも難しい決断を迫られるのです。
そして、現場の労働力にも限りがあるため、社員を成長されることで効率を上げるしか方法がないのです。
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「建設業界2024年問題」とは?
「建設業界2024年問題」とは、2024年4月までに「働き方改革関連法」を完全に導入しなければならない課題を指します。この法律は大企業や中小企業に段階的に導入され、特に建設業界には5年の猶予がありました。主要なポイントとして、時間外労働に上限が設定(月45時間、年360時間が基本、特例で年720時間まで)され、中小企業でも60時間超の時間外労働には割増賃金率が25%から50%に引き上げられます。違反時には罰則があり、建設業界にとって労働環境改善は切迫した課題となっています。これはサブコンにおいても重要なターニングポイントと位置づけられます。
サブコンの現場社員を成長させる方法
サブコンの現場社員の成長を促し、モチベーションを向上させるためには、いくつかの重要な方策があります。まず、社員に明確な責任を与え、彼らが自身の将来を具体的に描けるようにすることが必要です。例えば、若手社員に特定のプロジェクトを任せることで、彼らのやりがいを高めることができます。
次に、定期的な評価とフィードバックを通じて、社員の現在の能力を理解し、必要な支援を提供することが効果的です。特に、若手社員への早期育成は会社の長期的な安定に寄与します。また、経験豊富な社員が若手を指導することで、双方の能力向上につながります。
異なる部署間での異動やローテーションを促すことも有効で、多角的な視点や柔軟な思考を養い、将来のリーダー育成につながります。加えて、定期的な発表の場を設けることで、社員は自己の成長を実感し、さらなる努力を促されます。
また、社員が自己成長の重要性を理解し、積極的に学ぶ意欲を持つためには、経営層からの明確なメッセージや、学びを促す企業文化の醸成が不可欠です。社員一人ひとりが自身のキャリアに対して責任を持ち、成長に取り組む環境を整えることが、「2024年問題」を乗り越える鍵となります。
「2024年問題」は経営者にとっても、現場の社員にとっても大きなハードルとなります。
しかし、これを機会に経営層と現場の社員の双方が工夫し協力し合うことで、さらに強固な関係が生まれ、会社が存続できることになるのです。
まとめ
「建設業2024年問題」は、経営者も従来の考え方を見直す絶好の機会です。
社員を成長される方法も従来の方法を踏襲するのではなく、社内や社外の知恵を集めて、再構築してみることが、会社を存続することになるのです。
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