あるクライアントのサブコン様の新入社員研修は今年で2年目ですが、昨年と同様に今年も月に一度、現場報告会というものを行っています。
新入社員たちが5月頃にそれぞれの現場に配属されてから半年経過した時点で、彼らが会社に月1回会社に集合し、各現場での工事の進捗状況や仕事内容、どんなことで悩んでいるかなどを発表し、フィードバックをもらうという主旨の会です。
今月の報告会は前回までの個々の発表という形ではなく、あるテーマを決めてみんなでディスカッションするという形式にしました。
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新入社員研修でディスカッションを取り入れると
今までは、新入社員一人ひとりがパワーポイントでまとめた資料をもとに、プレゼン形式で現場の状況などを発表するということで、ある程度発言することが型にはまっていたのでやりやすかったと思います。しかし、今回のようにディスカッション形式にすると、「みんな自由にしゃべっていいですよ」と言っても、活発に話が進んでいくか、という不安はありました。ところがある方法とディスカッションを進めるためのフレームワークを
取り入れたことで、新入社員の口から「あっという間に時間が経ち、楽しかったです」という言葉が出たくらい、充実した時間になりました。
新入社員のような知識も少なければ経験も僅かと言う状態でも、彼らなりに現場における課題や悩み、もっとこういうスキルを身に着けたいという気持ちは誰しも持っているはずです。そこのところを、いかに表面に「あぶり出す」かを考えました。
KJ法で新入社員の心の内をあぶり出す
今回のディスカッションでまず使ったのがKJ法と呼ばれる方法です。KJ法とは文化人類学者の川喜田二郎が考案したデータをまとめるための手法です。これは、各人が付箋などのカードに情報を書き、同じ系統のカードをグループ化して分類し、整理、分析する方法です。
例えば、KJ法を使わずに、一人ひとりに「今のあなたの課題や悩みは何ですか?」と唐突に聞いても、その場で答えるのはなかなか難しいものです。この場合、間を置かず返答しなければならないため、明確でそれも複数の回答は望めないと思います。
今回は4人のグループでKJ法を使いました。まず、4色の付箋を適当な枚数4人に配り、
現在のそれぞれの現場における課題や悩み、問題点を1つの内容を1つの付箋に書いてもらいます。5分間の時間を設定し、この時間内に書いてもらいました。平均して一人5つくらい書けたので、計20枚以上の付箋が集まりました。これを、ホワイトボードに分類しながら、貼っていきます。
ここから2つのテーマ、「上司とのコミュニケーションがうまく取れない」と「自分の仕事の計画がうまく立てられない」を4人の投票で選びました。
KJ法を使うことで、彼らの頭の中からそれぞれ20個以上の課題、悩みが抽出され、ホワイトボード上に現れました。文字で書くことで思っていた、感じていたけど言葉では出していなかったことがあぶり出され、効果がありました。
課題→原因→解決策→行動計画
このディスカッションの冒頭に、解説も交えKJ法を使うということと、どのような手順で進めていくかを4人に説明しました。進め方として、KJ法で課題の抽出、同じくその課題の原因は何か、そのための解決策として自分でできることは何か、最後にそのための行動計画を考えるという流れです。
大きく4つの手順を最初に説明したことで、彼らもこのディスカッションを主体的にスムーズに進行させることができたと思います。
まとめ
新入社員研修でディスカッション形式を取り入れることには、始めるまで多少の不安はありました。しかし、KJ法などの工夫を取り入れたり、講師がファシリテーターとしてディスカッションをうまく盛り上げるように気を配ったりすることで、場を活気に満ちた空間にできるということが今回の試みで分かりました。前出のように新入社員の口から「あっという間に時間が経ち、楽しかったです」という言葉をいただけたことは、講師冥利に尽きますが、それと同時に気づきや学びも持って帰っていただけたのでは、と実感しています。
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