お役立ちコラム

フラットデッキにおけるスリーブユニットの効果

設備のスリーブ工事は、昔からほぼ同じ工法で行われてきたと思います。型枠工事→スリーブ墨出し→鉄筋工事→鉄筋切断→スリーブ取付け→鉄筋補強といった施工手順です。一部、梁スリーブに関しては手順が変わることもありますが、概ねこんな感じです。
このような今までのスリーブ工事の施工手順を変えてみようと試みたことを、今回のコラムではご紹介します。スリーブ工事の中でも、比較的工夫が施しやすいのが床スリーブです。床スリーブをどのように工夫し改善したかをご確認いただけたらと思います。

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床スリーブの在来工法の問題点

床スリーブの問題点はどんなところにあるでしょうか。

1.多能工の待ち時間が多い

 
 比較的大型現場では、空調配管、衛生配管、ダクト、消火配管などそれぞれの工種ごとにスリーブ、インサート工事が分れていると、配管屋さん、ダクト屋さん、消火屋さん
がその都度、躯体工事の進み方に応じてその現場に行かなければならず、人工がかかりすぎてしまいます。その場合は、全部の工種を多能工さんの会社1社にまとめて施工してもらうのが効率的ですし、一般的です。
しかし、多能工の会社一社にお願いしたとしても、やはり設備工事の宿命として、床の型枠なりデッキが張れないとスリーブは取り付けられません。デッキを張る工程が遅れ、床スリーブを取り付けるまで「待ち」になるということも少なからずあります。これは、床スリーブに限らず、壁でも梁でも同様です。

2.スリーブ材の保管スペースが必要

 床スリーブの材料として、ボイド(紙製)が一般的ですが、鉄板製の予め工場で加工してあるものもあります。スラブのコンクリート打設までのある一定期間は、スリーブを加工する時間も含め、スリーブ材の保管場所が必要になります。ある程度の階数分はまとめて搬入したいため、外部のストックヤードか建屋内のある一定区画のスペースが必要になります。

3.デッキ開口が溶断のため危険

 デッキプレートの床の場合、一番の問題点がコンクリート打設後のデッキ開口を火気による溶断で行うということ。配管用の300φ以上の丸スリーブや、角ダクトの実管スリーブは開口面積が大きいため、溶断する時間もかかり、開口した板の残片を取り除く手間がかかります。また、火気を使用するため、下階でウレタンなどの可燃物への影響がないように監視は必ず一人つかなくてはいけないので工数が余計にかかるデメリットがあります。

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解決策としてのスリーブユニット

床スリーブの材来工法での問題点を3つ挙げましたが、これらを解決する工法がスリーブユニット工法です。これは、パイプシャフトや機械室など、配管、ダクトなどの設備が複数まとまっている場所に有効な工法です。例えば、パイプシャフトに100Aの冷却水配管が6本、500×500と1,000×600のダクトがそれぞれ1カ所ずつ入るとします。これらが
一列にまとまって配置される場合、スリーブユニットは1枚の鋼製鉄板の上に工場で予め
個々のスリーブがセットされて現場に納品される、というものです。

スリーブユニットのメリット

メリットは3つです。

1.多能工の手配が不要になる

 壁や梁スリーブはユニット化が難しいので、床スリーブに限ってのユニット化ですが、
スリーブユニットにすることで、スリーブを入れる多能工の手配が不要になり、ユニットを取り付ける際の取り付け工のみの人工数で済みます。

2.材料の管理が簡便になる

 ユニットの搬入時だけ材料が現場に納品されるので、材料の一定期間の保管場所は不要になります。また、ボイドなどの端材が発生しないため、ゴミの削減につながります。

3.開口溶断が不要

 在来工法の場合、デッキを開口するために火気を使用した溶断になってしまいますが、スリーブユニットの場合は最初から開口されているため、コンクリート打設後に開口する必要がありません。このため、後工程としてのデッキ開口を省略でき、また火気を使用することがないため、火災の心配がありません。

スリーブユニットを採用するまでの準備

スリーブユニットを採用するには、建築の理解と協力が必要です。なぜかというと、スリーブユニットの部分だけデッキを張らずに開口してもらい、またその開口部分を補強してもらわなければならないからです。このため、鉄骨製作前の鉄骨図作成の初期の段階で
建築に打診し、この工法を実施することでのメリットをプレゼンし、コスト面も含めた
協議をして、了解を得る段取りが第一段階です。
また、デッキの開口を溶断せずにすべてスリーブユニットにするかの判断も事前に決めておかなければなりません。例えば、100φのスリーブ1個だけポツンとスパンの真ん中に入る場合でも、スリーブユニットにするかどうかということです。私が以前これを実施した現場では、1個だけでもそこだけデッキを張らずに補強をしてもらい、セットしました。

採用の判断基準

スリーブユニットを採用するかどうかの判断基準ですが、

1.鉄骨の製作前にスリーブ位置が決定している

 建築の鉄骨製作図がある程度進んでいて、鉄骨製作が数カ月後にせまっているという時期で、スリーブの検討をこれから始めるというタイミングでは、鉄骨の補強などの対応が間に合わないため、スリーブユニットの採用は難しいです。

2.コスト比較

 在来工法とスリーブユニット工法とのコストの比較はある程度の概算でもいいので、
作った方がいいと思います。在来工法の場合の多能工の人工数(待ち時間も含めた)、デッキ開口の溶断の工数と手間(危険度も含め)、スリーブユニットの場合のユニット製作費とその製作図作成費、搬入費、現場での揚重機使用料、取付け費、そして建築のデッキ開口とその開口補強費、デッキ図作成費など。これらの要素でそれぞれ金額を出し、例えばスリーブユニット工法が高いとしても、その高い金額分のメリット(工程の短縮化、火気使用の危険度の減少)があることを考慮しての判断になると思います。

まとめ

以前、私が新築のSRC造での現場でスリーブ施工の省力化、効率化を考慮してスリーブユニット工法を採用し、実際に施工した経緯をお話ししました。
これは建築の協力がないと採用できない工法ですが、メリットを提示し理解が得られれば
実現可能なものだと考えています。
スリーブユニット工法について、詳しく知りたい、あるいは興味があるという方は下記までご連絡いただけましたら、ご案内いたします。

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宮本 一英
株式会社シエンワークス 代表取締役

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【資格】建築設備士/1級管工事施工管理技士/消防設備士(甲種1類)/空衛学会設備士(空調・衛生)/給水装置工事主任技術者/コーチング資格(GCS認定コーチ)

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