マンションなどの共同住宅において、11階以上の階ではスプリンクラー設備を設置しなければならないとされています。これは消防のはしご車が10階までしか届かず消火活動に支障をきたすからです。この共同住宅におけるスプリンクラー設備配管に新工法が取り入れられたという記事を見つけたので、ご紹介します。
三井住友建設は、ヤマトプロテックや三井化学産資と共同で、共同住宅におけるスプリンクラー配管の「パラソループ工法」を開発した。新工法は、天井スラブ面に敷設するスプリンクラーの主管をループ状にするもので、在来工法(ヘッダー工法)と比べて配管長を40%削減し、敷設作業の省力化により生産性を約20%高めた。
建設BUILT 2022.4.7
スプリンクラー配管の従来のヘッダー工法の場合、ユニットバスなどの天井点検口が設置された天井スラブにヘッダーを配置し、そこから放射状にスプリンクラーヘッドまで個々に配管を延ばしていました。このヘッダー工法は給水、給湯配管の床コロガシ配管にも採用されていますが、給水、給湯配管の先分岐工法に比べると配管の総延長長さが長くなってしまうというデメリットがありました。この従来のヘッダー工法をスプリンクラー配管において改良したのが、今回ご紹介する主管がループ方式の配管工法です。
この工法の場合、配管の起点から住宅の各部屋をループ状に主管が円を描くように通過し、
その主管からスプリンクラーヘッドに枝配管が分岐していくという形状です。
この配管工法のメリットは記事にもあるように、配管の長さが従来に比べて短くなること、またこれによる配管工費が削減でき、マンションの場合は一戸当たりの工数が削減できるため、建築工程と調整しながら短期間で工事を進めることができます。
この例は、配管の材質を変えるとか接続方法を省力化する、あるいはシステムを変えるなどの大がかりな新工法というものではありませんが、ちょっと頭を柔らかくして考えると
誰でも思いつきそうで、なかなか思いつかない「なるほど」とうなずける工法です。
このような発想をいつも情報として集め、他に転用できないかとか、今現場で抱えている問題のヒントにならないかなどと考える手がかりにするのもよいのではないでしょうか。