少子化、人手不足が進む日本で、国をあげて取り組んでいるのが、 リスキリング(学び直し)です。今いる人材に対して、変化に適応し新たなスキルを獲得することを目的としています。そこで現状、日本の企業はどの程度、社員教育予算を使っているのか調べてみました。
人事労務分野の情報機関である産労総合研究所の「2023年度(第47回) 教育研修費用の実態調査」からの抜粋です。
従業員一人あたりの研修費用の推移では、2022年度の従業員1人あたりの研修費用は32,412円です。コロナ禍となった2020年に大きくに減少しましたが、コロナ前の水準に戻りつつある傾向がみてとれます。一方で、オンライン化による研修の効率化(回数や交通費の削減など)、必要な研修の整理・統合などを図っている企業もあります。
教育研修費用総額の今後(1~3年)の方向性については、かなり増加する見込み」が9.7%、「やや増加する見込み」が53.1%で、合わせて62.8%と6割強です。
増加見込みの企業はだいたい5割前後で推移しており、2023年度調査ではここ10年ほどで最も高い増加傾向です。
「増加」見込みの理由としては、「コロナ禍が落ち着いたことで研修全体の見直しを検討しているため」「コロナ禍で中断していた研修を再開するため」「経営方針として人材育成に力をいれるとしているため」「キャリア教育やデジタル教育、リスキリング関連の教育を新設・強化するため」といった声があります。
2023年度に重点的に取り組む教育研修としては、階層別教育としては「新入社員教育」「中堅社員研修」、職種別・目的別教育は「選抜型幹部候補者育成教育」が多い傾向となります。
<引用>産労総合研究所:「2023年度(第47回) 教育研修費用の実態調査」(2023.11.7)
https://www.e-sanro.net/research/research_jinji/kyoiku/kyoikukenshu/pr2311.html
設計事務所を対象とした日経アーキテクチュアの調査でも、9割以上の企業が人材不足を実感している状況の中、社員のスキルやモチベーションを向上させるために育成に力を入れる動きが広がっています。
特に、新入社員や若手社員の育成に注目が集まり、彼らの成長を加速させるためのロードマップの提示や専門的な研修制度の導入など、様々な試みが行われています。3年以内に社員の育成方法を見直したと回答した企業は3割を超えており、この数字は人材育成への関心の高さを示しています。
このような取り組みの背景には、新型コロナウイルスの影響もあります。リモートで行われていた新人研修を対面式に切り替える際、若手や中堅社員の成長を促す内容へと研修を見直す企業が増加しています。さらに、人材確保のために新卒や中途採用を強化する動きも見られ、人材不足を避ける、あるいはその影響を軽減するために、多くの設計事務所が積極的に対策を講じていることが分かります。
このように、設計事務所における人材不足の問題に対して、新人教育の見直しやメンター制度の採用、階層別研修の開始など、多角的なアプローチで対応しようとする動きが活発化しています。これらの取り組みは、社員一人ひとりの能力向上だけでなく、業界全体の発展にも寄与することが期待されます。
<引用>日経クロステック:「「社員育成を見直した」が3割超、OJT改革で若手を伸ばす」
(2023.9.14)
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/na/18/00219/090600002/
このような記事からも社員教育費用に対して、増加傾向であり、今後人材育成を強化する会社が6割以上に及びことがわかります。さらには、設計事務所の事例では3割以上が「社員育成を見直した」と回答しています。
人手不足が深刻化する中、人材育成を強化した上でやり方を見直す動きがみてとれます。
サブコンを対象とした調査は見当たりませんが、弊社のお客様からお聞きすると、「2024年問題」を直前に控えて、同様の動きがあります。
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「建設業界2024年問題」とは?
「建設業界2024年問題」とは、2024年4月までに「働き方改革関連法」を完全に導入しなければならない課題を指します。この法律は大企業や中小企業に段階的に導入され、特に建設業界には5年の猶予がありました。主要なポイントとして、時間外労働に上限が設定(月45時間、年360時間が基本、特例で年720時間まで)され、中小企業でも60時間超の時間外労働には割増賃金率が25%から50%に引き上げられます。違反時には罰則があり、建設業界にとって労働環境改善は切迫した課題となっています。これはサブコンにおいても重要なターニングポイントと位置づけられます。
社員育成が、会社の未来をつくる
離職率の高い会社で、せっかく社員育成にお金をかけてもすぐに辞めるので無駄になるといった声も聞いたことがあります。しかし、話が逆ではないでしょうか?
長期に人材育成に投資することは、従業員が会社に対してより強い帰属意識を感じることにつながります。結果として、優秀な人材が会社に留まりやすくなり、採用コストや新人研修のコストを削減できるのです。
それ以外にも以下のようなメリットがあります。
1)スキルと能力の向上: 人材育成プログラムを通じて、社員は新しいスキルを習得し、既存の能力を強化できます。これは、組織が変化する市場の要求に迅速に対応し、業界の新しい技術に適応する能力を高めます。
2)社員の満足度とモチベーションの向上: 社員が自己成長とキャリア発展の機会を提供されると、職場における満足度とモチベーションが向上します。これは、仕事への取り組み方や労働生産性の向上に直接影響します。
3)イノベーションと創造性の促進: 継続的な学習とスキル開発は、従業員が新しいアイデアを考え、問題を独創的な方法で解決する能力を促進します。これは、組織のイノベーション能力を高め、競争優位性を確立します。
4)組織文化の強化: 人材育成は、学習と成長を重視する組織文化を育成します。これは、チームワーク、協力、および組織全体のコミュニケーションを強化するのに役立ちます。
5)リーダーシップの発展: 人材育成プログラムを通じて、将来のリーダーを早期に特定し、彼らのリーダーシップスキルを開発することができます。これは、会社の将来の成功に不可欠です。
6)会社の適応性の向上: 効果的な人材育成戦略は、会社が変化する環境や不確実性に柔軟に対応できるようにします。従業員が新しい技術や手法を迅速に学び、適用する能力は、会社の長期的な生存と成功に重要です。
このように会社として、人材育成に投資することは、従業員と会社双方にとっての投資であり、そのリターンは生産性、イノベーション、競争力の向上という形で現れます。会社が未来に向けて成長し続けるためには、人材育成への継続的な投資が不可欠です。
まとめ
「建設業2024年問題」は社員育成投資を考える絶好の機会です。
人材育成は社員の帰属意識を高め、離職率を下げ、スキル向上やモチベーションの向上につながります。また、イノベーション促進、組織文化の強化、リーダーシップ開発、会社の適応性向上など多くのメリットがあります。
社員育成のやり方を社内や社外の知恵を集めて、再構築してみることが、人手不足を防ぎ、永続的な会社の明るい未来を築くことになるのです。
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