前回のコラムでは、ポンプの揚程計算をどういう手順で、どのような考え方で行うかの研修内容をご紹介しました。
建築設備研修 排水ポンプ揚程計算編
今回はダクト静圧計算についての研修内容をお伝えしたいと思います。研修では、どのようなアプローチをしたら受講者のみなさんに理解していただけるかを考慮したプログラムにしています。今回もポンプ揚程計算同様、いかに静圧計算の仕組み、考え方にフォーカスするかという観点で研修を企画しました。
計算式や表、図の使い方を何となく知ったとしても、その静圧計算の考え方が曖昧では理解したとは言えません。それらはあくまで付随のものであって、重要なのは目的や計算の成り立ちです。
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目次
現場で静圧計算ができない
ポンプの揚程計算同様ダクトの静圧計算についても、現場で計算したくても何となくは分かっているつもりでも、実際どう計算したらいいか分からないという現場スタッフの方は
多いのではないでしょうか。
あるいは、会社の静圧計算のフォーマットはあるが入力方法が分からない、そもそも静圧計算の意味がよく理解できていないので、入力結果が著しく違っていてもそれに気づかず
その数値で書類として提出してしまい、客先や設計事務所から指摘を受ける、といったことも考えられます。
このような不具合が起きないためにも、静圧計算の目的、計算の成り立ち、意味をよく理解することが必要です。
静圧計算の目的を理解しよう
そもそも静圧計算は、何のために行うのでしょうか。
ポンプの揚程計算は、ポンプが受け持つ配管経路の抵抗に打ち勝ち、吸い上げる水位から押し上げる水位まで水を汲み上げ、かつ所定の水量を確保するためのものでした。
ダクトの静圧計算も同様で、ファンが受け持つダクト経路の抵抗(静圧)に打ち勝ち、例えば、外壁ガラリから部屋内の吹出口まで、所定の量の換気の風を吹き出すために行います。
設計図から施工図を作図する段階で、ダクトルートが変更になったり、ダクトサイズを小さくせざるを得なかったり、ダクトの総延長が長くなったり、ダンパーやフィルターが追加になったりと、様々な変更事項が発生し、設計図のファンの能力(静圧)ではまかないきれなくなる場合があります。
このようなとき、静圧計算が必要になってきますし、現場では日常的に確認の計算を実施することになります。
研修で静圧計算するときの3つのポイント
研修では下記の3つのポイントに重点をおいて、解説しました。
圧力損失=ダクト直管+局部+部材
まず、前提としてダクトは丸ダクトで計算します。(計算過程が角ダクトより容易なため)また、静圧計算はファンが受け持つダクト経路の再延長ルートを選択します。また、分岐がある場合は長さが同等の場合、分岐した(枝分かれした)経路を選びます。
ダクトの静圧計算(圧力損失計算)は、大きく分けると、ダクト直管、曲がりや分岐などの局部、ベントキャップやガラリなどの部材の3つに分けて考えます。
局部や部材の圧力損出の求め方
エルボ、分岐、ダンパーなどの局部については、局部の種類によって局部損失係数というものが決まっています。これについては、国土交通省監修の建築設備設計基準(茶本)などの設計資料を参考にしています。
この圧力損失係数に動圧をかけて抵抗(Pa)を求めます。ここでは、動圧及び計算式の詳細の説明は割愛します。ここでは、局部はそれぞれ、局部損失係数というものがあり、それが基本となって、式から算出するということをご理解ください。
また、ベントキャップや吸出口、ガラリの圧力損失については、ベントキャップのメーカーの損失値を参考にしたり、ガラリなど一般的なものは設計資料の損失値を参考にしましょう。
静圧が大きい部分を知る
上記の内容から、ダクト抵抗計算表に数値を記入して計算していきます。
この表で計算結果を確認すると、あることに気づきます。それは、抵抗値にバラつきがあるということです。ダクトの直管や局部は比較的、抵抗値が小さいのですが、ベントキャップや吹出口、ガラリなどの部材はダクトや局部の数値の5倍~10倍の抵抗値になります。このことから、部材の圧力損失値の設定の仕方によっては大きく違いが出てくることが分かります。この、ダクト経路の部分によって圧力損失値が大きく異なること、どの部分が大きい値になるのかをよく理解しておく必要があります。
静圧計算ができるようになるメリット
現場で設計図から施工図を起こすとき、ファンや制気口の位置変更、ガラリやベントキャップの仕様変更で、ファンの静圧が設計通りでは心配な状況になることがよくあります。
ファンの静圧計算も、なるべく現場において短時間で終わらせたいもの。このようなとき、現場スタッフが静圧計算のやり方、考え方が理解できていれば、その場になって慌てなくてもスムーズに確認ができます。フォーマットに入力する場合でも、考え方が分かっていれば、大きな間違いは起きないでしょう。
まとめ
会社で作成したダクト静圧計算のフォーマットがある、あるいは簡易的な書式のものをネットで探して使用しているなど、現場ごとにやり方が違うのではないかと思います。
しかし、そのフォーマットに従って数値だけを入力するだけでは、静圧計算ができているとは言いにくい部分があります。
つまり、根本の静圧計算の目的、考え方、構成、計算結果の判断も含めて、理解し判断して、初めて習得したということになると思います。
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