前回のコラムでは、工程表の書き方研修の内容をご紹介しました。そのときのサブコンの社長様から、アイソメ図の書き方研修も同じタイミングでやってもらえないかというご要望をいただきました。
特に改修工事や営繕工事で、既設の配管を盛り替えるときに、既存配管のルートをアイソメ図でスケッチし、管サイズや実寸長を書き加えたり、更新配管のイメージ図を書いたりという場面があるので、アイソメ図をマスターさせたいとのことでした。
また、施工図を作図するときにCADソフトで3D画面が表示されますが、これに慣れてしまうと、平面図から自分の頭の中で立体的なイメージを作るという作業が省略され、いざ3D画面がない状況では、それがイメージできないというリスクが生じます。
やはり、自分の頭で立体をイメージできるのが建築現場では必須の能力と言えるので、
新人の頭が柔らかいうちから、アイソメ図をマスターして現場でも数多くアウトプットしておくといいと思います。
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アイソメ図の書き方が分からない
アイソメ図を見たことはあるけど、書いたことがない。自己流でスケッチを書くとき、何となく立体的ではあるが、違和感がある。配管ルートのスケッチを立体的に書いて配管屋さんに渡したが、部分的に理解してもらえなかった。など、アイソメ図の書き方が分からずに、何となく自己流でスケッチを書き、済ませてしまっているという状況は多いのではないでしょうか。
施工図も同じで、CADソフトの操作上のルールやスキル、施工上の納まりの前提として知っておくべき決まりや機能上の知識など、これらは一つひとつの事柄を学ばないと自己流の感覚知では到底書けません。
アイソメ図はアイソメ図の書き方のルールがあり、それらを知っておくことで、誰が見ても理解できる、きれいな図が書けます。
アイソメ図の書き方のルールを知ると意外と簡単
アイソメ図の書き方の基本的なルールは4つ。このルールを押さえておけば、誰が見ても理解できるきれいなアイソメ図が書けます。
1.X、Y、Z軸が120°間隔になるように作図する
2.天地・奥行の表現を正確にする
3.配管が交差する箇所は奥側の配管を隠線(=線を切る)にする
4.同じ方向に伸びている配管は平行に作図する
アイソメ図作図例題で実際に書いてみる
このルールに則って、実際にアイソメ図を書いてみましょう。
研修で出した例題は、1階の屋内消火栓ポンプ(下部消火水槽)から各階(1階~4階)の屋内消火栓へ配管を配り、屋上の消火補給水槽までの一連の流れの配管を平面図と系統図から読み解き、アイソメ図を作図するというものです。
研修で受講者の方が、課題の平面図(系統図)からアイソメ図を起こしていく過程を見てみると、平面図上でのX軸、Y軸方向がアイソメ図上でどちらの方向に向かって行くかの
判断で悩んでいることが多かったようです。
また、アイソメ図自体がノースケールのため、配管の長さに厳密に比例した寸法でアイソメ図化する必要はありませんが、平面図の寸法に比べて極端に長さが違うと第三者が図をみたときに違和感を感じることがあるため、ある程度実際の寸法に合ったバランスの長さ、高さでアイソメ図を書くといいでしょう。
アイソメ図が書けるようになるメリット
アイソメ図作図の課題が終わり、一通り書けた段階で、正解のアイソメ図を受講者の方に
配布し、答え合わせをしました。
みなさん、正解を見ながら自分が作図したアイソメ図と見比べて、その違いに新鮮な発見があったようで、またその場で書き直したことで納得感があったようです。
このような比較的簡単なアイソメ図ですが、書き方のルールや抑えるべきポイントが分からないまま自己流で作図していると、上手く書けず途中で書かなくなってしまうということになりがちです。
基本的なことを学び、それを基に練習を重ねれば誰でも簡単にアイソメ図を書けるようになります。
アイソメ図が書けるようになるメリットとして、
1.現場で配管屋さんに自分がイメージしている配管ルートの説明を正確に伝えられる
2.既設配管の寸法取りと、数量拾いのネタが作れる
3.施工図を書く際に、イメージ図を予め書いておき、大まかなルートや納まりの準備が
できる
以上のようなメリットがあります。これらがスムーズに進むことで、現場業務の効率化が図れることが期待できます。
まとめ
今回は、アイソメ図の書き方研修の内容をご紹介しました。
入社間もない若手社員の方は、あらゆる建築設備の技術的なスキルをなるべく早く習得することが求められています。しかし、何となく先輩の書いた図面を見ながらそれを見よう見まねで覚えていくということが多い業界で、きちんとした基本的なルールや目的、手順をしっかりと学び、習得させる仕組みが今後の若手社員の育成に欠かせないスタンスだと思います。
現在、アイソメ図書き方研修を実施しています。
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