“気づき”を引き出すために――研修前後ヒアリングで見えた現場のリアル

2025.09.22

“安全”の本質とは何か

事故が起きてからでは遅い――。今回の研修は、弊社クライアントE社における重大労災事故を受け、「現場の安全」を改めて見つめ直すために実施されました。研修の本体だけでなく、研修前後の工事監督一人ひとりに対する丁寧なヒアリングを通して見えてきたものがあります。それは「安全=ルールを守ること」だけではない、もっと根本的な“人と現場”の関係性でした。

研修前ヒアリング――現場の声に耳を傾ける

今回のようなクライアントの会社内における、その会社ならではの特別な事情、組織的な課題、個人が抱えるそれぞれの悩みを解きほぐしていくことが、まず研修の前段に必要なのではと考えました。
研修実施の1ヶ月前、17名の工事監督全員と一人約40分の面談を行いました。年齢は27歳から53歳と幅広く、現場経験も豊富なメンバーたち。それぞれに共通していたのは、「安全は大切だが、現場では忙しさや人間関係が障害になる」というリアルな声です。
「注意喚起しても聞き流されてしまう」「ベテラン作業員には言いづらい」「焦っているときほど、確認を飛ばしてしまう」など、安全を阻む“見えない壁”が数多く挙げられました。
このヒアリングによって、単なる知識提供では不十分であり、受講者自身が“自分ごと”として安全を考え、行動に変える支援が必要であると確信しました。

研修後ヒアリング――変化の兆し

研修の約1ヶ月後、再び17名全員にインタビューを行いました。研修直後に掲げた「具体的な行動目標」が、どれだけ日々の現場で活かされたかを探るためです。
印象的だったのは、「話し方を変えたら、作業員の反応が変わった」という声の多さです。コミュニケーション理論を使って相手のタイプを意識したり、抽象的な表現を避けて“具体的に伝える”ことを意識したりと、コミュニケーションの改善が、安全管理に直接つながった事例が報告されました。
ある50代のベテラン監督は、「つい感情で怒鳴っていたが、今は“どうすれば伝わるか”を考えるようになった」と語ってくれました。行動が変われば、現場も変わる――その手応えを受講者自身が実感していました。

現場の未来は、現場にいる人が変える

“安全な現場”は、制度やマニュアルだけではつくれません。現場で働く一人ひとりが、「自分の行動が、周囲の安全をつくっている」と意識することが出発点です。
今回のヒアリングを通して、E社の監督たちには、すでにその素地があると感じました。今後もこの小さな変化の積み重ねが、確実に現場を進化させていくと確信しています。

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著者プロフィール

宮本 一英

宮本 一英

株式会社シエンワークス 代表取締役

首都圏・関東周辺を対象に『サブコン専門 人材育成支援サービス』(現場サポート・現場巡視・集合研修)を提供しております。35年間現場管理一筋で培った経験を活かし、サブコン様における「人材の育成・成長」「離職率の低減」「安全・品質の向上」を支援しています。

【資格】建築設備士/1級管工事施工管理技士/消防設備士(甲種1類)/空衛学会設備士(空調・衛生)/給水装置工事主任技術者