活動実績

サブコン25歳、現場係員Nさんのコーチング記録その1

クライアントのサブコンO社の現場は都内のマンション新築工事で現在躯体工事が進んでいます。そこで働く若手社員のNさんは入社4年目の25歳。現場所長の下で次席として、毎日のように所長に怒られながらも、日々奮闘し仕事をしています。
そんなNさんのコーチング記録を綴っていきたいと思います。

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Nさんのプロフィール

Nさんは某製図専門学校を出て、インターンで受けた現在のO社に入社しました。親が土建業を営んでいるため建築業界に興味があり、この世界に入ったとのこと。この業界の嫌なところは朝が早いことと土曜日が休めないということだそうです。一般の企業のイメージだと朝は9時出社で土日は完全休みですが、それと比較するとやはり時間的な制約があり、自分自身の時間が取りづらいのが悩みのタネかも知れません。
また、社員寮に入っているため、早く寮を出て自分のマンションに住むことが希望です。

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コーチングで現在の問題点、悩みを聴いていく

コーチングによって、Nさんの内なる声を聴き出していきます。彼に色々質問を繰り返していく過程において、他愛もないことの回答でもその人の価値観や重要視していることが伺える瞬間があります。今回の対話の中で、現在Nさんが抱えている問題点や悩みの話に移ったとき、実際の業務上の技術的なことや作業内容の課題も何点か話が出てきましたが、ちょっと気になることがありました。
それは、自分の行動や言動に対して、所長に頻繁に怒られることが今の自分に中で一番の悩みだということです。仕事上のことなので上司から怒られるのは、まあ当たり前と言えば当たり前の話ですが、人によっては親からあまり怒られたことなく甘やかされて育った子は免疫が無い分、社会に出ると自己不信感に陥る場合もあるでしょう。
Nさんの場合は周りが感じるより強く、上司からの叱責が辛く感じていたのだと思います。

上司から怒られないためには、どうしたらいい?

「所長から怒られるのは、どんなときですか?」と具体的な事例を聴きます。
①所長が質問したことに対して、曖昧な答えになってしまい、自分では意識していないが「態度が悪い」と注意された。
②机の周りが乱雑で、書類が散らかっている。
「机の上はいつもきれいにしておけ」と注意されて整理整頓するが、すぐにまた散らかる。
と、2つの内容を話してくれました。なかなか所長も厳しい人で、自分の気持ちをストレートに部下にぶつけてくるタイプです。この場合、上司にも問題がある部分もありますが、今回はNさんのコーチングに注力したいため、所長は一旦置いておきます。

自分で解決策を導き出すことが重要

この2点の問題点について解決策を考えたいのですが、コーチングではこうした方がいいよとか、この方法もあるよといったアドバイスはなるべく控えるようにします。
質問を重ねながら、彼の中から解決策あるいは回答を導き出すことを重要視します。
それは、人はいくら上司でも他人から指示命令された事は、嫌々やらされる感が強く、自発的に動きたくなくなるからです。
この場合も、
「では、態度が悪いという印象だった、曖昧な返事をしないようにするのは、どうしたら
いいと思いますか?」という質問で、Nさんに自分で考えてもらいます。
このときの答えは
「そうですね。そのときは業務内容をよく理解、把握できていなかったので、次回からは
毎日の業務についてしっかりよく考え理解し、仕事に取り組むようにします」というものでした。
また、「机の上が散らかってしまうのは、どうすれば改善できそうですか?」という問いに対しては、
「はい、書類整理用のトレーを百均で買ってきてそれを机の上に置きます」との答えが、返ってきました。
この、自分で解決策を導き出すというプロセスがコーチングの特徴であり、自発的に動く
ための手法なのです。
この答えを出したときのNさんの目は、話し始めたときより少し輝きを帯びたように感じました。

まとめ

毎日、顔を合わせている現場での上司と部下。会話することと言えば、上司からの指示、命令と部下からの数少ない報告。なかなか意思疎通が図れていないのが現状ではないでしょうか。上司の気持ちは、部下への注意や小言で何となく伝わるようですが、部下の気持ちはよほどのことがない限り、上司へは伝わりません。
その日常でも、上司から部下へのちょっとした気配り、思いやりの言葉があれば、部下は動きます。
部下が自発的に動く、心ある質問を投げかけてみる。これが重要です。

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宮本 一英
株式会社シエンワークス 代表取締役

首都圏・関東周辺を対象に『サブコン専門 人材育成支援サービス』(研修・現場教育支援・コーチング)を提供しております。大学卒業後、35年間中堅サブコンにおいて現場管理一筋で培った経験を活かし、サブコン様における「人材の育成・成長」「離職率の低減」「売上・利益の向上」を支援しています。

【資格】建築設備士/1級管工事施工管理技士/消防設備士(甲種1類)/空衛学会設備士(空調・衛生)/給水装置工事主任技術者/コーチング資格(GCS認定コーチ)

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