弊社シエンワークスの新入社員研修プログラムのうち、全5日の第4日に「管工事の施工について理解する」という内容の研修があります。これは以前のコラムでご紹介した書籍、
「現場で役立つ管工事の基本と実際」をテキストに、建築設備における材料、機器、施工
について基本的なことを学習し、現場に出たときに「これ、研修で習ったことだ」と思い出し、理解を深めてもらうという主旨で研修しています。
初めて、建築設備の施工管理を行う新入社員のために、知識として現場で体験する前に知ってもらいたいと思い実施したこの技術的な研修ですが、新入社員の反応を見ると、やはり初めて聞くということもあり、「ぽかん」としているという印象でした。
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新入社員で受講する技術研修は理解度が浅い
しかし、全体を通して分からない、現場で見ていないものを理解するのは難しいという意見もありますが、実際に今年度の新入社員にこの研修の感想を聞いてみると、「配管の材料とか現場で実際に見たものが、研修で事前に習ったことで確認できた」という声もあり、
一概に効果が期待できないということではないようです。
とはいえ、新入社員の時期にいくら基本のこととは言っても、全体的に網羅して理解をすることは難しいでしょう。この研修のような、管工事の機器、材料や施工の方法といった
技術的な知識は、現場で見たり聞いたりした実体験を重ねながら学ぶという形で、よりよく吸収でき、理解が深まるという循環を作ることが必要と思います。
一方通行になりがちな講義の工夫
昨年度の新入社員の研修で、この「現場で役立つ管工事の基本と実際」のテキストを使用しての講義を実施したとき、研修の内容に工夫を凝らしました。一つはテキストの章ごとに10問程度の穴埋め問題のテストを出したこと。ただし、初めて聞く技術的な内容ということを考慮して、テキストを見ながら解答してよいということにしました。テキストを見ながらでも、自分の頭の中は回りながら考えるので、多少の効果は望めると思いました。
もう一つは、要所要所に動画を見せながら、配管の材料や施工方法など、目で見て理解ができるようにしました。紙のテキストだけではイメージが湧きにくいのと、研修が眠くなりがちだからです。この2つの工夫で、少しでも理解が増える場になったのではと思います。
同じ内容の研修を再度受講することのメリット
新入社員の最初の技術的な座学研修は、なかなか頭に入りにくい、理解度が浅いということでしたが、これと同じ研修を2年目に実施するとしたらどうか、ということをクライアントの担当者の方と打合せしました。
その担当者の方も、2年~5年目くらいの若手社員の技術的な知識が乏しくて困っているというお悩みがあり、2年生を中心に若手の技術研修の具体案を検討していく中で、新入社員研修の内容を再度できないかという話になりました。
2年目の再受講のメリットとして、新入社員時に受講した研修内容を現場での体験で2割ほどは理解できた、その後1年経過する中で現場で見聞きしたことを再度2年目で受講することで、全体の7~8割が理解できるまでになるということです。1年での現場経験は若手社員にとって大きな成長過程です。その吸収力が一番旺盛な時期にいろいろ悩み、学んだ事柄について、再度研修を受けることで「そういうことだったのか!」という気づきと自分の中での納得が得られると思います。だから、一度だけでなく少なくとも2回、現場経験を挟んで技術研修を受講することで、より理解が深まるようになるのです。
入社2年目での再受講の効果
先日、2年目研修の全3日間の最終日を終えました。みなさん、研修の内容がよく頭に入り込んでくる実感があり、また理解度が新入社員時より高まったということで、より真剣な態度で研修に臨んでいました。
研修の終わりには、必ず研修でどんなことが学べたか、気づきがあったか、どういうところがよかったか、と感想を述べてもらうようにしています。
今回も3日間の研修の総括の感想を一人ひとり発表してもらいました。共通したコメントとして、「新入社員時の研修では理解できていなかったことが、現場を経験することでこの研修を受け、更に理解が深まった」「自分では分かっていると思っていても、案外分かっていないことが多く、勉強になった」「もっと勉強し、知識を吸収しようと前向きになれた」
などがありました。全員から、「3日間の研修、どうもありがとうございました」という
感謝の言葉をいただき、これが一番私として、うれしかったことです。
まとめ
入社後、間もない時期に充実した研修で技術的な知識を学ぶことの重要性を今回は実例を交えてお話しました。入社5年目くらいまでにいかに基礎的な技術を一通り習得し、あるいは管工事の資格を取得するかは建築設備の若い技術者にとっては必須だと思います。そのためには、現場上司のOJTに一任するのではなく、計画的に教育することを組織として考える必要があると思います。
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