テーマ「残業を減らすための現場の取り組み」に合致した事例を他業種ですが見つけました。この方法は建設業のサブコン会社の皆様も参考になるではないかと思います。
新潟県の165名の金属部品メーカーの例です。月間の残業を17.6時間からわずか2時間に削減させました。これを実現するため、まず工場の生産性をデータによって詳細に把握しました。社員は作業の各段階を専用の端末で計測し、定義された標準作業時間を基にその生産性を評価したのです。そして、その残業代を原資として、3年間で基本給を12%、平均年収を26%上昇させることができたのです。
さらに、従来は経験や感覚に基づいて行われていたメンテナンスも、データ駆動のアプローチに変えることで効率化を果たしました。特に、材料を成形する金型のメンテナンスタイミングを自動で知らせるシステムを導入したことで、生産性が向上しました。
社長は、残業を減少させることでさらなる改善や知識を生み出すことができると考えています。この工夫が業績向上に貢献した結果、社員には高いボーナスや賃金上昇として還元されました。この成功例は、働き方改革を推進し、生産性を向上させることで、良好な労働環境を築くことができることを示しています。加えて優秀な人材の獲得につながっているようです。
https://www3.nhk.or.jp/news/contents/ohabiz/articles/2023_1011.html
(参考記事)
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目次
「建設業界2024年問題」とは?
「建設業界2024年問題」とは、2024年4月までに「働き方改革関連法」を完全に導入しなければならない課題を指します。この法律は大企業や中小企業に段階的に導入され、特に建設業界には5年の猶予がありました。主要なポイントとして、時間外労働に上限が設定(月45時間、年360時間が基本、特例で年720時間まで)され、中小企業でも60時間超の時間外労働には割増賃金率が25%から50%に引き上げられます。違反時には罰則があり、建設業界にとって労働環境改善は切迫した課題となっています。これはサブコンにおいても重要なターニングポイントと位置づけられます。
これからサブコンで求められる残業を減らすための現場の取り組みとは?
2024年問題を受けて、サブコンの現場でも残業を減らすこと、法令遵守の環境を求められています。どのような取り組みの可能性があるのか、考えてみました。
1.毎日の夕礼の実施
2人以上のスタッフで一つの現場、あるいは一つの拠点営業所等で複数の現場を管理している場合の複数人数での事務所も、夕方みんなが現場から戻ってきた頃合いを見計らってミーティングを毎日のルーティーンとして実施することが必要です。
朝礼は現場として建築主導で行われているので、否応なしに参加せざるを得ません。しかし、サブコン単体のミーティングとなると、その現場代理人や営業所責任者の考えで、夕礼を実施している現場と実施していない現場があります。
夕礼において今日一日現場で起きたイレギュラーなこと、工程通り進んでいない要因、数日後の搬入予定の段取り状況、新たな工事が始まることでの事前の分担決め等をスタッフ全員で確認し合う。毎日現場で起こることが頻繁に変更になったり、建築工程があいまいな状況であったりと、日々連絡調整することがてんこ盛りなはずです。
スタッフ間での情報共有、連絡調整が不十分だと、工程に対する段取りが遅れたり、後戻り工事が多発したりと、それらが累積し、現場自体での残業もそうですが、管理調整の事務作業も増え、残業時間が嵩んできます。
これらを未然に防ぐためにも、毎日の夕礼が必須となります。現時点で夕礼を実施していない現場があれば、今日からでも5分から始めてみてはいかがでしょうか。
2.現場を施工ユニット化し管理時間を短縮
以前私が現場をやっていたとき、9階建ての市役所の庁舎で冷却水配管150A×6本の竪配管を東西の空調機械室内に計12本ライザーユニットで立ち上げたことがあります。
ライザーユニットは高層ビルでないと費用対効果が少ないと言われますが、費用も含め、工程短縮、付随工事の削減、現場管理時間の短縮、品質管理の分業等トータルで考え、メリットがあると判断しての施工でした。このことで、スタッフの品質管理や工程管理の時間が大幅に短縮されました。
みなさんの現場でも、現場特有のユニット化できる要素が何かしらあるはずです。社内の現場施工検討会において、ユニット化できるものをぜひ、探し出してみてはいかがでしょ
う。
3.品質管理のツールを使用する
現場施工管理のデジタルツールは、今やどのサブコン様でも導入されていると思います。ただし、そのツールが施工図管理や情報の共有、工事写真管理などいわゆる管理する上で便利なツールという位置づけであると思います。実際に気密試験や水圧試験の圧力のデジタル化であったり、排水配管の勾配を遠隔で測定したり、配管の吊り支持ピッチを測定するということまでは、トータルの品質管理ツールとして確立されていないようです。
この場合、個々の測定や管理ツールを積極的に探して、取り入れてみることがまず第一歩であるかと思います。いかに管理時間を減らすかが、残業時間短縮の一つの要因であると考えると、その意識を持つことが重要です。
4.若手社員教育の充実
残業時間を減らすことが、時間の数字が減ること、つまり表面的なことに意識が向いてしまって、テクニックやツールに頼るだけでは、根本的な働き方改革にはつながらないと考えています。一番重要なことは、これから会社を担う若い社員たちの教育です。教育を充実させることで、自分がこの会社で何を達成しなければならないのか、自分がこの会社でどういう立場でこれから建築設備業として、どういう働き方をしたいのかをはっきりさせ、働くことへの主体性を育むことが重要です。
ただ残業時間を減らすことに意識が行ってしまい、教育が疎かになってしまうと、社員の働くことへの意義の意識やモチベーションが失われていくのではと危惧しています。
これらの取り組みを組み合わせることで、現場の効率を向上させ、残業の発生を抑制することが期待できます。
これらを現場まかせで、行うことは現実的ではないでしょう。会社全体で取り組むテーマであり、加えて社員だけで実現できる物でもないと考えます。これまで使ってこなかった専門分野の社外スタッフも活用して、現場の仕事全体を見直す機会と前向きに捉えてはいかがでしょうか?
良好な労働環境が会社の未来を創る
先述した金属部品メーカーの事例のように、社員に残業を抑制する代わりに賃金を上げるといった還元策を採用する方法もあるかと考えます。これにより社員のモチベーションを上げ、良好な労働環境をつくるのです。
加えて、残業を減少させるという目的意識が、次の改善や知識を生み出し好循環となります。社員からも残業を減らす工夫を積極的に出してもらい、知恵を出すことで業績向上につながれば会社と社員の相互にメリットとなるのです。
社員が活き活きと仕事できる環境が会社を持続可能な発展を支えることになり、さらには優秀な人材の獲得にもつながります。
まとめ
「建設業2024年問題」は現場の仕事全体を見直す絶好の機会です。これまでの経験や感覚で従来の当たり前と考えていた仕事や考え方を社内や社外の知恵を集めて、再構築してみることが大切かと考えます。
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