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現場で通用する交渉力を引き出すロールプレイングの注意点

今回のテーマは「現場監督の交渉力アップのためのロールプレイングのやり方」です。
現場監督は、顧客対応、協力会社や作業員などと様々な難しい交渉が求められます。

例えば、顧客とのやり取りでは、急な追加工事や強い口調での要求に対し、どのような対応をすべきなのか?あるいは協力会社の作業員とのやり取りでは、若手現場監督がベテランの作業員に対して、習慣化している危険行動を修正させたい場合の対応はどうすればいいのか?

このように現場監督が悩んでいる現状に交渉力をアップさせたいとの、ある建設会社の人事部からの問い合わせがありました。その改善の方法として、現実の仕事や対人関係の場面を想定し、特定の役割になりきって疑似体験するトレーニングであるロールプレイングの研修を実施しました。

まず気をつけなければならないのが、実践力を高めるために有効とされるロールプレイング研修ですが、やり方を誤ると効果を失ってしまう点があります。研修で「理解はしたが行動できない」ということにならないようにすることが大切です。そのためには、講義中心ではなく、実際に話し、動く双方向の演習が重要です。しかし、ロールプレイングには実践性を損なう「五つのわな」があります。

1)セリフを一言一句用意して暗記させることです。これでは現場で応用できず、自分らしい表現も身につきません。キーワードだけを示し、自分の言葉で試行錯誤することが大切です。
2)状況を細かく設定しすぎることです。実際の現場は多様であり、自分の現状に即した想定の方が実践に役立ちます。
3)事前に準備や下書きをさせることです。準備すると再現練習に終始し、即興で考えながら話す力が鍛えられません。
4)相手や第三者が細かく指導することです。他人の指摘よりも、自分自身で録画を見て振り返り、修正点に気づく方が行動変容につながります。
5)組む相手をあらかじめ決めてしまうことです。重要なのは組み合わせではなく、「やらされ感」をなくし、主体的に取り組める環境をつくることです。ロールプレイングは定説にとらわれず、正しく活用することで、実践で使える話法と行動力を高められるのです。

<参考文献>
「本番で役立たずに…絶対やってはいけないロールプレイング研修のやり方とは?」
:ダイヤモンドオンライン

https://diamond.jp/articles/-/332662

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「分かっている」を「現場でできる」に変えるための工事監督のロールプレイング

このような内容で、ロールプレイング研修を行う目的は、「現場で使える行動に変えること」にあります。

工事監督の交渉は、マニュアル通りには進みません。急な追加工事の依頼、感情的な顧客、年上で経験豊富な作業員など、相手も状況も毎回違います。講義で「正解」を聞いただけでは、実際の場面で言葉が出ず、結局これまで通りの対応に戻ってしまうことが多いのが現実です。ロールプレイングは、この「分かっているが、できない」壁を越えるための最も有効な手段です。

今回の研修のように、セリフを暗記させず、状況を作り込みすぎず、即興で話させる設計にすることで、工事監督自身が「自分の言葉で相手と向き合う力」を身につけることができます。これは、現場で突然求められる判断や説明に直結します。

頭で考えてから話すのではなく、「考えながら話す」「相手の反応を見て言い直す」経験を安全な場で積める点が、大きな効果です。

また、録画を使った自己振り返りを重視している点も重要です。他人から細かく指摘されるよりも、「自分の話し方」「声のトーン」「間の取り方」に自ら気づくことで、納得感を伴った行動修正が起こります。これは、ベテラン作業員への指示や注意といった、デリケートな交渉場面で特に効いてきます。

さらに、「やらされ感」をなくし主体性を引き出す設計は、研修を一過性で終わらせない効果があります。自分で考え、試し、失敗し、修正した経験は、現場に戻っても自然と再現されます。その結果、顧客対応では無理な要求をそのまま受けてしまうリスクが減り、協力会社との関係では信頼を損なわずに行動を変えてもらえる交渉ができるようになります。

大切なことは、このロールプレイングをやることで、交渉の「正解を知る研修」ではなく、「現場で使える行動を体に覚えさせる研修」にすることです。工事監督の判断力・説明力・対人対応力を同時に鍛え、現場の安全性・品質・信頼関係を底上げする点に、この研修の本質的な価値があります。

まとめ

建設会社の経営者の視点で考えると、このロールプレイング研修は、工事監督の交渉力を「個人の経験任せ」にせず、会社の現場力として再現可能な力に変えるための投資です。

交渉力不足は、追加工事の安易な受注や協力会社による事故を招き、安全・品質・利益に直結する経営リスクです。講義やマニュアルだけでは「分かっているができない」状態は解消できません。即興型のロールプレイによって、自分の言葉で考えながら話す力を鍛えることが、現場対応力の底上げにつながります。

セリフを暗記させず、自己振り返りを重視し、「やらされ感」をなくす設計は、判断力と主体性を育て、行動を現場に定着させます。結果として、監督が現場で自律的に判断・交渉できるようになり、事故防止、品質向上、協力会社との信頼強化につながります。

このような研修は単発で終わらせず、定期的に現場事例を題材に継続することで、交渉力を組織の資産に変えるべきものです。

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ABOUT ME
宮本 一英
株式会社シエンワークス 代表取締役

首都圏・関東周辺を対象に『サブコン専門 人材育成支援サービス』(研修・現場教育支援・コーチング)を提供しております。大学卒業後、35年間中堅サブコンにおいて現場管理一筋で培った経験を活かし、サブコン様における「人材の育成・成長」「離職率の低減」「売上・利益の向上」を支援しています。

【資格】建築設備士/1級管工事施工管理技士/消防設備士(甲種1類)/空衛学会設備士(空調・衛生)/給水装置工事主任技術者/コーチング資格(GCS認定コーチ)