お役立ちコラム

現場のレクリエーションで思わぬ事故に

もうかれこれ、20年も前の話。
私は役所の新築工事の現場代理人として、東北支店に転勤していた。自宅を新築したばかりの頃だったので、単身赴任での生活は「せっかく家を建てたのに、家族と離ればなれか」
とサラリーマンの宿命を呪ったものだ。

その現場は介護施設で3棟あり、それぞれの棟でゼネコンが分れていた。空調、衛生、電気がそれぞれのJVで3棟をすべて担当するという構成だった。そのため、各設備JVは
各々のゼネコンに対して共益費を払わなければならず、金額もさることながら、それぞれのゼネコンの所長と交渉するだけでもかなりの手間がかかった。

その3社のゼネコンの中でメインの棟を担当する統括安全衛生責任者のA所長は、何かと現場でイベントをするのが好きな所長だった。
現場が上棟する頃、「現場のレクリエーションでドッジボール大会をやるべ!」と東北弁で言ったかどうかは覚えていないが、A所長の一存でレクリエーションが決まっていた。

ドッジボールなんて小学校以来やったことないし、どんなルールだったかも覚えていない。
「まあ、みんながやるのを見ながらやっていれば何となく思い出すかも」。
ルールはゼネコン3社と設備JV3社計6社のトーナメント方式。
私は衛生JVの所長だったので、チームのリーダーとして優勝を狙っていた。

まだ当時私は40代前半で気持ち的にも張り切っており、レクリエーションの枠を超え
勝負だから勝たねばという想いが強かったように思う。だからあんな悲劇が怒ってしまったのかも知れない。
その原因の一つが足場だった。
朝礼会場は比較的広く、ドッジボール大会ができるほどの面積があった。特設のコートの周りにも椅子を並べ試合をしていないチームが観戦できるようになっている。
ところがコートの地面が一面砂利敷きになっている。これはあまりにも遊びとは言え、運動する足場としては危険だ。そのことに誰も疑問を持たなかったのか。

そう、私はドッジボールのプレー中、張り切り過ぎて思いっきりボールを相手チームの誰かに向かって投げつけたとき、足元の砂利で足が滑り、前のめりに転倒してしまった。
強烈な勢いで両手を地面に突いたとき激痛が走った。
こんな状態ではプレーは継続できないので一旦事務所に戻り、静かにしていたが左肩の痛みが一段と強くなり、副所長の車で病院へ。

病院に着いたはいいが、こういうときに限って長い時間待たされた。こんなに長い時間痛い思いをするなら、救急車を呼べばよかったと後悔しながら。
診断結果は「左肩脱臼」
生まれて初めての脱臼。情けなかった。

現場でのレクリエーションでの事故。現場の業務内での事故ではなかったため、労災にはならなかったが、なんとも恥ずかしい出来事である。
単身赴任だったため、三角巾での生活は余計に心さみしく、それ以降無理は禁物、常に現場以外でも安全を確認しながら行動しようと心に誓った。

三角巾が取れたころ、よく考えたらその年は本厄だった。

 

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ABOUT ME
宮本 一英
シエンワークス代表 ★サブコン社員が楽しく活き活きと働ける環境を作りたい!★★ 【資格】 ・建築設備士 ・1級管工事施工管理技士 ・消防設備士(甲種1類) ・空衛学会設備士(空調・衛生) 東京都出身/55歳にして自我に目覚める/筋トレ/ピアノ/人間観察/瞑想/お笑い
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